運営 / 更新 2026-10-13

訪問介護員に派遣労働者を使えるか:運営基準第30条第2項と喀痰吸引等の例外

訪問介護事業所は、運営基準第30条第2項で、その事業所の訪問介護員等によって訪問介護を提供するものとされています。留意事項通知は、この「事業所の訪問介護員等」に、労働者派遣契約による派遣労働者も含めています。ただし、喀痰吸引等を業として行う訪問介護員等には派遣労働者を認めない例外があります。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の管理者が、人手が足りないときに派遣労働者を訪問介護員等として使えるかを、運営基準第30条第2項と留意事項通知の解釈、喀痰吸引等を業として行う場合の派遣の制限、労働者派遣法の派遣可能期間の原則から確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、派遣労働者の受け入れ前確認表(担当させる業務、喀痰吸引等の有無、派遣可能期間の起算と管理、勤務表への記載、指定権者への確認事項)を作成できる状態を目指します。

事業所の訪問介護員等とは、管理者の指揮命令下にある者

運営基準の第30条第2項は、訪問介護事業者は、事業所ごとに、その事業所の訪問介護員等によって訪問介護を提供しなければならないと定めています。外部の事業者に訪問介護そのものを任せる形は、この規定に照らして指定権者に確認する事項です。

留意事項通知(老企第25号)は、第30条第2項の「事業所の訪問介護員等」を、雇用契約、労働者派遣法に規定する労働者派遣契約その他の契約により、その事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等と説明しています。契約の名前ではなく、管理者の指揮命令下で働くかが基準になっています。

つまり、通知の文言では、派遣会社から来た派遣労働者も、事業所の管理者の指揮命令下で働くなら訪問介護員等に当たります。通知は「その他の契約」も含めていますが、業務委託などの契約の形が基準に合うかは、通知からは読み取れないため、指定権者に確認します。

喀痰吸引等を業として行う訪問介護員等は、原則として派遣労働者にできない

通知は、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の第1条各号に規定する口腔内の喀痰吸引その他の行為を業として行う訪問介護員等について、派遣労働者であってはならないと書いています。除かれるのは、紹介予定派遣と、労働者派遣法第40条の2第1項第3号または第4号に当たる場合です。

労働者派遣法第40条の2第1項の第3号は、事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務で一定の期間内に完了することが予定されているもの、または1か月に行われる日数が派遣先の通常の労働者の所定労働日数に比べて相当程度少なく、厚生労働大臣の定める日数以下である業務を挙げています。第4号は、派遣先の労働者が産前産後休業や育児休業をする場合のその労働者の業務などです。

喀痰吸引等の行為と、訪問介護員が行える範囲は介護福祉士の喀痰吸引等と訪問介護員の資格と業務範囲で整理しています。派遣で補いたい業務に喀痰吸引等が含まれるかを、先に確認します。

派遣労働者の扱い(留意事項通知と労働者派遣法で確認、2026-10-13)
場面通知・条文の扱い確認する事項
身体介護・生活援助などを担当させる通知は、管理者の指揮命令下にある派遣労働者を訪問介護員等に含める資格要件と、人員基準に数えられるかは指定権者に確認
喀痰吸引等を業として行わせる派遣労働者は原則不可。紹介予定派遣、法第40条の2第1項第3号・第4号に当たる場合は除く例外に当たるかを指定権者に確認
派遣を3年を超えて受ける同一の事業所の同じ業務で原則3年(法第40条の2第2項)。例外と手続きは同条の定め派遣会社と労働局の案内で確認

派遣可能期間と、派遣が禁止される業務

労働者派遣法の第40条の2は、派遣先が、事業所その他の派遣就業の場所ごとの業務について、派遣可能期間を超えて継続して派遣を受けてはならないと定めています。派遣可能期間は3年です(同条第2項)。無期雇用の派遣労働者に係る派遣など、第1項に列挙された例外があります。

3年を超えて受けようとするときは、事業所の過半数労働組合等から意見を聴くなどの手続きが同条第3項から第5項に定められています。受け入れ開始日を記録しておくと、期間の管理に役立ちます。

同法の第4条第1項は、港湾運送業務、建設業務、警備業法の業務その他政令で定める業務について労働者派遣事業を行ってはならないと定めています。政令で定める業務の具体的な範囲は、このページでは確認していません。派遣で補う業務が禁止の対象に当たらないかは、派遣会社と指定権者に確認します。

確認した範囲と、事業所が準備すること

このページが確認したのは、運営基準の第30条(e-Gov法令検索)、留意事項通知(老企第25号)の訪問介護の勤務体制の確保等の項、労働者派遣法の第4条と第40条の2(e-Gov法令検索)です。派遣労働者を人員基準に数えられるか、派遣料金や派遣会社の許可の確認は扱っていません。

準備としては、派遣で補いたい業務に喀痰吸引等が含まれるかを確認し、受け入れ開始日と派遣可能期間を記録し、派遣労働者を勤務体制と研修の確保の勤務表にどう載せるかを決めます。自社で登録ヘルパーを雇う場合の労働条件は登録ヘルパーの雇用で確認してください。個別の可否は、指定権者に確認する事項です。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 派遣で補いたい業務を書き出す。身体介護や生活援助が中心か、喀痰吸引等を業として行う訪問介護員等が必要か、どの期間・どの日数で必要かを分けて書く
  2. 喀痰吸引等を業として行う訪問介護員等が必要な場合は、留意事項通知が派遣労働者を認めない例外(紹介予定派遣、事業の開始等の業務や日数が少ない業務、産前産後休業・育児休業の代替)に当たるかを確認表に書く。当たるかどうかは指定権者に確認する
  3. 派遣の受け入れ開始日を記録し、派遣可能期間(原則3年)の管理表を作る。3年を超えて受けたい場合の手続きと例外の有無は、派遣会社と労働局の案内で確認する
  4. 派遣労働者が管理者の指揮命令下で働く訪問介護員等として、月ごとの勤務表にどう載るかを決める。人員基準に数えられるか、契約の形が運営基準第30条第2項に合うかは、指定権者に確認する事項として質問を書いておく

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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