運営 / 更新 2026-10-08

訪問介護の従業者の健康診断:雇入れ時・定期健康診断の対象とパート・登録ヘルパーの扱い

訪問介護事業所を開くと、訪問介護員、サービス提供責任者、管理者、事務の職員を雇うことになり、事業者として従業者の健康診断を行う義務が生じます。根拠は労働安全衛生規則で、第43条が雇入れ時、第44条が定期の健康診断を定めています。この記事は、条文で確認できた対象、項目、記録の保存、結果の報告を整理し、短時間で働く訪問介護員や登録ヘルパーが対象になる条件を、厚生労働省の労働局が掲載した通達の抜粋で確認します。腰痛の健康診断は別の指針の定めで、訪問介護員の腰痛予防で扱います。

この記事で決めること

訪問介護事業所を開く事業者が、労働安全衛生規則が定める雇入れ時と定期の健康診断の対象、項目、記録の保存、結果の報告を確認し、短時間で働く訪問介護員が対象になる条件を整理するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、従業者の健康診断の対象者一覧と実施・記録の管理表を作成できる状態を目指します。

雇入れ時の健康診断(第43条)

労働安全衛生規則の第43条は、事業者が常時使用する労働者を雇い入れるときは、その労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならないと定めています。項目は、既往歴と業務歴の調査、自覚症状と他覚症状の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査などです。

例外として、医師による健康診断を受けてから3か月を経過しない者を雇い入れる場合に、その結果を証明する書面を提出したときは、書面で足りる項目の健康診断は行わなくてよいとされています。採用時に、直近の健康診断の結果を提出してもらうかどうかを、あらかじめ決めておきます。

定期健康診断(第44条)と、結果の記録・報告

第44条は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に医師による健康診断を行わなければならないと定めています。項目は雇入れ時とほぼ同じで、胸部エックス線検査に喀痰検査が加わる点が違います。特定業務従事者など第45条の労働者の健康診断は、この記事では扱いません。

一部の項目は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略できます。

第51条は、健康診断の結果に基づいて健康診断個人票を作成し、5年間保存しなければならないと定めています。第52条は、常時50人以上の労働者を使用する事業者が定期の健康診断を行ったときは、遅滞なく、結果を労働基準監督署長に報告するよう定めています。開業直後の小規模な事業所は50人に満たないことが多いですが、人数が増えたときに報告が必要になります。

労働安全衛生規則が定める健康診断の義務の整理
項目条文内容
雇入れ時の健康診断第43条常時使用する労働者を雇い入れるときに行う。3か月以内の結果の証明書面の提出で足りる例外がある
定期健康診断第44条常時使用する労働者に1年以内ごとに1回行う
結果の記録第51条健康診断個人票を作成し、5年間保存する
結果の報告第52条常時50人以上の労働者を使用する事業者が、定期の健康診断の結果を報告する

パート・登録ヘルパーが対象になる条件

訪問介護事業所では、短い時間で働く訪問介護員や登録ヘルパーが多くなります。静岡労働局が掲載した、平成26年7月24日付けの基発0724第2号の抜粋によると、「常時使用する労働者」のほか、次の2つの要件をどちらも満たす短時間労働者も、雇入れ時と定期の健康診断の対象になります。

1つ目は、期間の定めのない労働契約で使用される者であることです。期間の定めのある契約でも、1年以上使用されることが予定されている者や、更新により1年以上使用されている者は含まれます。2つ目は、1週間の労働時間数が、その事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であることです。

登録ヘルパーのように、勤務時間が月ごとに変わる場合に、この要件にどう当てはめるかは、この記事では確認していません。通達の全文も確認していないため、個別の従業者が対象に当たるかは、労働基準監督署または都道府県労働局に確認してください。

開業前後の準備と、ほかの制度との関係

従業者ごとに契約の期間と1週間の所定労働時間を一覧にして、対象者を分け、受診の時期と医療機関、結果の記録の方法、個人票の保存の場所を決めておきます。人数が増えてきたら、50人以上になる時期の見通しも確認します。

特定事業所加算 体制要件・人材要件チェックの準備書類にも、健康診断の実施記録が含まれます。加算の要件の確認は、加算の記事で行ってください。勤務体制や研修の定めは訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条)で扱っています。

この記事は、労働安全衛生規則の条文と、労働局が掲載した通達の抜粋で確認できた範囲の整理です。個別の事業所の対応が適切かを判断するものではなく、最終的には労働基準監督署などに確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 従業者全員について、雇用契約の期間(期間の定めの有無、1年以上の使用の見込み)と1週間の所定労働時間を一覧にし、同じ事業所の通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上かどうかを確認して、健康診断の対象者を分ける
  2. 新しく雇い入れる従業者には、雇入れ時に健康診断を行うか、3か月以内に受けた健康診断の結果を証明する書面を提出してもらうかを決め、書面の受け取り方を決める
  3. 対象者の定期健康診断を1年以内ごとに1回実施する時期と、受診する医療機関を決め、受診日と結果を従業者ごとに記録する管理表を作る
  4. 健康診断個人票を5年間保存する場所と担当者を決める。常時使用する労働者が50人以上になったら、定期健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する準備をする

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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