参入判断 / 更新 2026-10-14
訪問介護を法人で開業したときの役員報酬:定期同額給与と、途中で変えられる場合
訪問介護を法人で開業すると、代表者も法人から役員報酬を受け取ります。役員報酬は、決め方によっては法人の損金にならないことがあります。このページは、国税庁の資料で、損金になる役員給与の3種類、毎月同額にする定期同額給与の条件、期の途中で変えられる場合を整理します。
この記事で決めること
訪問介護を法人で開業する代表者が、自分の役員報酬を損金にできる3つの給与の種類、定期同額給与の条件、期の途中で金額を変えられる場合、事前確定届出給与の届出期限を、国税庁の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、役員報酬の決定メモ(支給日、毎月の金額、決議日、改定の予定と理由、届出の要否)を作成できる状態を目指します。
損金になる役員給与の3種類
国税庁のタックスアンサーNo.5211によると、法人が役員に払う給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のどれにも当たらない額は、損金にならないとされています。この3種類に当たる給与でも、不相当に高額な部分は損金にならないと書かれています。
訪問介護の小さな法人で多く使うのは、毎月同じ額を払う定期同額給与です。業績連動給与は、タックスアンサーで要件が多く挙げられており、同族会社は同族会社以外の法人との間に完全支配関係がある場合に限られます。このページでは、定期同額給与と事前確定届出給与を扱います。
定期同額給与:毎月の支給額を同じにする
定期同額給与は、支給時期が1か月以下の一定の期間ごとの給与で、事業年度の各支給時期の支給額が同額のものです。タックスアンサーは、源泉所得税や社会保険料などを引く前の額でも、引いたあとの額でも、同額であればよいと説明しています。
毎月25日に払うと決めた法人なら、事業年度の各月の支給額を同じにします。売上が増えた月だけ多く払うやり方は、定期同額給与に当たりません。
期の途中で金額を変えられる場合
タックスアンサーは、改定した場合でも、改定の前の期間と後の期間のそれぞれで同額なら定期同額給与として扱うと説明しています。改定が認められるのは、次の3つの場合です。
1つ目は、事業年度の開始日の属する会計期間の開始の日から3か月を経過する日までにする改定です。2つ目は、役員の職制上の地位の変更や、職務の内容の重大な変更などの臨時改定事由による改定です。3つ目は、法人の経営状況が著しく悪化したなどの業績悪化改定事由による減額の改定です。
この3か月と、事前確定届出給与の4か月は原則の月数です。確定申告書の提出期限の延長の指定を受けた法人は月数が変わると、同じ資料に書かれています。
同じ資料に、法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標に届かなかっただけの場合は、業績悪化改定事由に含まれないと書かれています。売上が立つまでの数か月が苦しいという理由だけでは、この3つ目の改定に当たらない可能性があります。
事前確定届出給与:決めた日に決めた額を払う
事前確定届出給与は、役員の職務について、所定の時期に確定した額を支給する旨の定めに基づいて払う給与です。タックスアンサーによると、原則として届出書の提出が必要で、期限は、株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日と、会計期間の開始の日から4か月を経過する日のうち、早い日です。
新設法人が設立の時に開始する役員の職務について定めをした場合は、設立の日以後2か月を経過する日が期限です。期限までに届出がなかった場合でも、届出がなかったことにやむを得ない事情があると認められるときは、期限までに届出があったものとして扱われるとされています。
訪問介護の開業計画に当てはめる
指定を受けて売上が立つまでは、人件費や家賃は先に出ていき、介護報酬が入るのは請求を出したあとになります。代表者の役員報酬を、売上が立つ前の月も含めて毎月払い続けられる額かを、資金繰りの計画で確認してから決めます。
決議の日程は、事業年度の開始日と設立日から逆算します。開業までの順番は「訪問介護開業の順番:法人設立・人員・指定申請・開業」で、開業費用と運転資金は「訪問介護の開業費用」と「訪問介護の資金繰り」で整理しています。
このページの範囲
このページが確認したのは、国税庁タックスアンサーNo.5211(令和8年4月1日現在法令等)です。役員報酬をいくらにするか、所得税や社会保険料を含めてどう組み合わせるかは判断しません。
使用人兼務役員の扱い、退職給与、不相当に高額かどうかの判断も、このページでは扱いません。金額を決める前に、顧問税理士へ確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 設立日と事業年度の開始日を確認し、開始日から3か月を経過する日までに役員報酬の金額を株主総会等で決議する日程を決める
- 毎月の支給日と金額を書き出し、事業年度の各月で同額になっているか、社会保険料などの控除前の額が毎月変わらないかを確認する
- 売上が立つ前の月の資金繰りと突き合わせ、運転資金を残したうえで払える金額か、開業初期の収支計画で確認する
- 期の途中で金額を変える可能性がある場合は、臨時改定事由か業績悪化改定事由に当たるかを、顧問税理士に決議の前に確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」(確認日 2026-10-14)