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事業計画 / 更新 2026-08-09

訪問介護の開業費と月次費用の分け方

訪問介護の開業費に全国共通の正解額はありません。初期支出、毎月の固定費、提供量に連動する費用、入金前の運転資金を分け、見積書と支払月から必要資金を積み上げます。

開業費の4区分(四つの箱)

法人・申請準備、物件・工事、備品・ICT、採用・開業告知など、営業開始前に支払うものを初期支出として並べます。敷金等の返還可能性がある支出も、開業時に現金が出る以上、資金繰りには含めます。

家賃、通信、システム、保険等は固定費、移動や消耗品等は提供量に応じる費用、人件費は月給分と時間に連動する分を分けます。税務上の勘定科目ではなく、まず現金が出る時期と増減要因で整理します。

下の表は、四象限ごとに支払時期の型と資金繰り表への反映方法を対応づけた記録テーブルの型です。実際の見積りでは、この型に自事業所の項目・金額・根拠をひも付けます。

開業費の四象限と資金繰りへの反映方法(記録テーブルの型)
区分代表的な項目支払時期の型資金繰りへの反映方法
初期支出法人設立・指定申請準備、物件契約(敷金・礼金・仲介料)、内装・改修工事、備品・ICT導入、採用・開業告知契約時・開業前に一括で発生開業前の必要資金として、支払月ごとに現金の出金予定へ一括で積む。敷金等の返還可能性がある支出も、開業時に現金が出る以上は資金繰りに含める
固定費家賃、通信費、業務システム利用料、保険料等契約に基づき毎月定額で発生提供量に関わらず発生する現金支出として、資金繰り表の各月に同額で計上する
提供量に応じる費用(変動費)移動費(燃料・交通費等)、消耗品、記録・請求システムの従量課金部分等提供量に応じて月ごとに変動基準・保守など想定提供件数のシナリオ別に再計算し、提供量が下振れした場合の圧縮可能額を分けて把握する
人件費月給部分、時間に連動する部分(訪問・移動・記録・研修・待機等)、社会保険料の事業主負担分給与は契約上の支払月・支払日、社会保険料は別途の納付期限勤務計画から積み上げ、初回入金までの支払月を国保連請求の入金予定月と照合し、現金が不足する月を特定する

この記事で決めること

初期費用・固定費・変動費を根拠別に積み上げるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、根拠資料と支払月を持つ初期費用・固定費・変動費一覧を作成できる状態を目指します。

開業費に入れる金額と根拠(相場ではなく見積など)

各項目に見積書、料金表、契約候補、給与条件などの根拠をひも付けます。金額が未確認なら平均値を埋めず、未確定として担当者と確認期限を置きます。

初期費用だけで比較せず、契約期間、解約条件、更新費用、利用人数や端末数による増額条件も確認します。安価に見える案でも、運営開始後の固定費が重い場合があります。

開業費に含める人件費と入金待ちの期間

職員原価は訪問中の時間だけではありません。採用、研修、同行、移動、記録、待機など、事実に応じて賃金が発生する時間を勤務計画から積み上げます。

売上計上と現金入金を同じ月に置かず、国保連請求の対象年度・地域の公式日程を別途確認します。初回入金までの給与、社会保険、家賃等を払った後の月末現金で資金の持続性を見ます。

初期資金と運転資金の計算ワークスルー例

以下は、上の四象限の記録テーブルに架空の金額を入れた計算例です。数値は例示であり、実際の見積りでは各項目に見積書等の根拠をひも付けてから入力します。

初回入金までの期間は、モデル上の仮定として3か月と仮置きしています。実際の請求から入金までの期間は国保連の公式日程・地域・個別の請求状況によって変わるため、自事業所の見積りではこの仮定の月数を公式日程で確認した値に置き換えます。

初期資金と運転資金の計算例(架空の仮定を含む)
項目計算例(架空の仮定を含む)
初期支出の合計法人設立・指定申請準備30万円+物件契約(敷金等)100万円+内装・改修工事150万円+備品・ICT50万円+採用・開業告知20万円=350万円
固定費(月額)家賃15万円+通信・システム3万円+保険1万円=19万円/月
人件費(月額)管理者1名(月給30万円)+サービス提供責任者1名(月給28万円)+訪問介護員2名(時給1,300円×月80時間=10.4万円×2名=20.8万円)=78.8万円/月
固定費+人件費(月額)19万円+78.8万円=97.8万円/月
初回入金までの運転資金初回入金までを3か月と仮置きすると、97.8万円×3か月=293.4万円
開業に必要な資金の目安初期支出350万円+運転資金293.4万円=643.4万円

開業資金の合計と運転資金の月数を計算する

見積書などで確かめた初期費用と、毎月の支出・手持ち資金を入れると、初期費用の合計と、入金までに必要な運転資金、手元の資金が支出を何か月まかなえるかを計算します。

初期費用と毎月の支出を入力すると、合計と運転資金を表示します。

運転資金は、売上がなく支出だけが先に出る期間の支出を単純に足した目安です。実際の入金月は国保連の公式日程で確かめ、返戻や未収は含みません。この結果は入力値によるモデル計算で、必要な資金を保証するものではなく、最終的な判断は事業者自身が行います。

収支の試算へ進む →

リンク先では、初期費用が初期投資、毎月の支出が月次固定費、用意できる資金が開始時点の現金、入金までの月数(初回入金までの月数から1を引いた値)として入力済みになります。訪問件数・単位数・1単位単価を入れると、資金残高の推移まで試算できます。

見積差と延期時の損失を試算する

基準ケースだけでなく、採用の遅れ、利用開始の遅れ、移動費の増加、返戻による入金遅れを保守ケースへ反映します。変える前提は記録し、結果だけを並べないようにします。

指定や採用が遅れた場合に発生し続ける家賃・人件費と、解約できる契約を区別します。事業計画ツールでは初期投資、固定費、変動費、初期現金を分けて入力し、最も現金が少なくなる月を確認します。

助成金・補助金を開業費に入れるか

助成金は支給が決まるまで金額が確定しないため、開業費の積み上げには入れず、別に管理します。国の3つの助成金の対象と事前申請の要否は訪問介護の開業で確認する公的な助成金・補助金で表にしています。

人材紹介を使う場合の採用費

有料の人材紹介で採用する場合の手数料は、厚生労働省の公表で介護の平均が59万7千円(令和6年度実績)です。見積りの置き方は訪問介護員の人材紹介手数料の相場と採用費の見積り方で整理しています。

パソコンや備品の購入と少額減価償却資産の特例

法人で開業して青色申告をする場合、1品の取得価額が40万円未満の備品は、取得した年度の損金にできる特例があります。対象と上限は、「訪問介護の開業時の備品の経費化:少額減価償却資産の特例(40万円未満)」で整理しています。

代表者の役員報酬の決め方

法人で開業すると、代表者の役員報酬も開業直後から毎月の支出になります。損金になる役員給与の種類と、期の途中で変えられる場合は、「訪問介護を法人で開業したときの役員報酬:定期同額給与と、途中で変えられる場合」で整理しています。

開業後にかかる税の確認

開業時に購入する設備には、償却資産税がかかる場合があります。申告の期限と免税点は、訪問介護の償却資産税:1月31日までの申告・免税点150万円・税率1.4%で確かめられます。

開業資金の目安が情報源で違うとき

調べた総額の目安が200万〜500万円と800万〜1,000万円のように大きく違うときは、運転資金を含むかを先に確かめます。2つの民間解説の読み比べは訪問介護の開業資金の目安が大きく違う理由にあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 契約前・開業前・開業後の支出に分ける
  2. 見積書や契約候補を費目へ結び付ける
  3. 一時費用と毎月発生する費用を分ける
  4. 未確認額を確定額として扱っていないか確認する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問介護の開業費はいくら必要ですか?

全国共通の正解額は置けません。物件、採用、設備、ICTなどの見積りと、初回入金までに先行する支出を月別に積み上げて判断します。

初期費用だけを用意すれば開業できますか?

初期支出に加え、給与、社会保険、家賃など、売上入金より先に支払う運転資金を確認します。利益と月末現金は分けて計算します。

費用が未確定の項目はどう扱いますか?

根拠のない相場で埋めず、未確定として担当者と確認期限を置きます。見積書、料金表、契約条件を取得した時点で支払月と金額を更新します。

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。

事業計画ツールを開く →

この例で収支を試算する →(月約700回の事業所規模のモデル例を入力した状態で開きます。厚生労働省の調査の月平均から換算したモデル値で、公定値ではありません)

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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