事業計画 / 更新 2026-10-20
稼働実績から見直す訪問介護の受入可能件数
売上を生む提供時間と、賃金が発生し得る移動・待機・記録等の時間を分けると、受入可能件数と人件費を同じ計画で確認できます。
職員別の時間記録の項目
職員ごとに有給時間、提供時間、移動、記録、研修・同行、キャンセル対応を記録します。
この記事で決めること
提供・移動・待機時間の実績記録から、運営後に受入可能件数を再計算するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、提供時間と非提供時間を分けた職員別の稼働表を作成できる状態を目指します。
労働時間に含めるかどうかの考え方
移動時間は、事業場から利用者宅への移動や利用者宅間の移動に通常要する時間程度であれば、使用者がその移動を命じ自由利用が保障されていない限り労働時間に該当します。待機時間も同様に、急な需要に備えて事業場等で待機を命じられ自由利用が保障されていなければ労働時間に該当します。
記録作成時間は、介護保険制度や業務規定で義務付けられ、使用者の指揮監督のもとで作成している場合に労働時間に該当します。研修・同行の時間も、使用者の明示的な指示がある場合や、不受講に不利益な扱いがある・業務との関連性が強く実質的に出席が強制されている場合は労働時間に該当します。
いずれも「使用者の指揮命令下にあるか」「自由利用が保障されているか」という共通の考え方で判断されます。急なキャンセルが生じた場合の待機や対応も同じ枠組みで判断されますが、通知に個別の記載はなく、業務内容や指示の実態から事業所ごとに確認します。
提供時間比率(productiveRate)の計算例
シミュレーターは、時給職員ごとの有給時間とうちサービス提供時間の合計から、提供時間比率=サービス提供時間の合計÷有給時間の合計で算出します。
例えば職員Aの有給時間が月160時間・うちサービス提供時間120時間、職員Bが有給時間140時間・うちサービス提供時間98時間だったとすると、有給時間の合計は300時間、サービス提供時間の合計は218時間となり、提供時間比率は218÷300で約72.7%になります。
移動時間・記録時間の欄の計算範囲
シミュレーターの職員行には「1人あたり移動時間」「1人あたり記録時間」の欄がありますが、現在の計算では、この2つは提供能力にも人件費にも反映されません。使われるのは入力チェックだけで、提供時間・移動時間・記録時間の合計が月間有給時間を超えるとエラーになります。
同じ職員行の「人数」は、1人あたり提供時間を掛けて月間の提供可能時間に入ります。受入余力は、この提供可能時間から、利用者数×1人あたり月間訪問回数×1訪問の想定提供時間で出した必要提供時間を引いた時間で、サービス行の開始月から終了月までの月だけ必要提供時間に数えます。
人件費は有給時間と時給で、提供時間比率は提供時間と有給時間で計算されるため、移動や記録の時間を増やしても結果の数字は動きません。移動・記録時間を原価や受入可能件数へ反映した結果は、この計算では出せないため、別に確認します。
提供時間比率の見直しと安全確保
提供時間比率を高めることだけを目的にせず、緊急対応、記録、休憩、移動の安全を確保します。圏域や時間帯を変えた場合は保守シナリオを再計算します。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 職員別に有給時間を記録する
- 提供・移動・待機・記録等へ時間を分ける
- 圏域と時間帯ごとの空きを確認する
- 安全と記録時間を残した受入上限を決める
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
受入可能件数を実績から見直すには、何を記録しますか?
提供時間だけでなく、移動時間と待機時間の実績も記録します。これらをそろえて、運営後に受入可能件数を再計算します。
提供時間だけの稼働率で判断してはいけませんか?
提供時間だけの稼働率では、移動や待機の負担が見えません。この記事では提供・移動・待機を分けて確認します。
再計算した件数をそのまま勤務表に反映できますか?
勤務表を自動で確定するものではありません。再計算した件数は、勤務体制を検討するときの参考値として使います。
事業計画ツールで確かめる
記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(記 1 定義等ほか(通達本文の「記」以下))(確認日 2026-10-20)