指定申請 / 更新 2026-10-09

訪問介護の指定申請・開業後の届出を自分で行う場合と専門職に依頼する場合の法令上の線引き

行政書士・社会保険労務士・司法書士・税理士の法律は、いずれも「他人の依頼を受けて(求めに応じて)」行う業務を、資格者に限っています。この文言から、事業者が自社の書類を自社の役員や職員の手で作ることは、条文が制限している業務とは別の話だと読めます。一方、登記の申請や税務代理のように、他人に頼む場合に資格者でなければ受けられない業務もあります。開業までに出す書類を、条文で確認できる範囲で分けます。

この記事で決めること

訪問介護の指定申請書類や開業後の届出書類を自社で作るときと、行政書士・社会保険労務士・司法書士・税理士に依頼するときで、法律が資格者に限っている業務の範囲を、各法の条文で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、届出・申請書類ごとの作成担当の振り分け表(書類・提出先・自社で作る/依頼する・確認した条文)を作成できる状態を目指します。

指定を受けるのは事業を行う者で、介護保険法第70条は書類の作成者を限定していない

介護保険法第70条第1項は、指定は「居宅サービス事業を行う者の申請により」、居宅サービスの種類と事業所ごとに行うと定めています。申請の主体は事業を行う者であり、申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定されません(同条第2項第1号)。条例の内容は指定権者ごとに確認します。

第70条には、申請書類の作成者を資格者に限る定めはありません(省令の申請様式の定めは確認していません)。ただし指定申請の書類を他人に有償で頼む場合の扱いは、次の節の行政書士法で確認します。自社で作る場合も、提出の方法や添付書類は指定申請で確認する全国標準様式チェックリストと、指定権者の窓口で確認します。

官公署に出す書類:行政書士法

行政書士法第1条の三は、行政書士の業務を「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」と定めています。第19条は、行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業としてこの業務を行うことを禁じています。

条文の要件は「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」です。法人が自分の申請書類を自分で作る場合は、他人の依頼を受けるものではありません。一方、書類の作成を有償で頼むときの相手が行政書士かどうかは、頼む側が確認できます。

他の法律に別段の定めがある場合や、総務省令で定める例外もあるため、個別の書類が当たるかは各士業の会や窓口で確認してください。

登記・労務の届出・税務の書類:3つの士業

司法書士法第3条は、司法書士が「他人の依頼を受けて」登記または供託に関する手続の代理と、法務局に提出する書類の作成を業とすると定めています。第73条第1項は、司法書士または司法書士法人でない者がこれらの業務を行うことを禁じています。法人の設立登記を他人に頼むときは、この業務に当たります。

社会保険労務士法第2条第1項は、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、提出手続の代行、事務代理、帳簿書類の作成、労務管理や社会保険の相談を社会保険労務士の業務としています。第27条は、資格者でない者が他人の求めに応じ報酬を得て、このうち作成・代行・事務代理・帳簿書類の作成を業として行うことを禁じています。

税理士法第2条第1項は、税理士が「他人の求めに応じ」、税務代理、税務書類の作成、税務相談を業とすると定め、第52条は税理士でない者が税理士業務を行うことを禁じています。税務署へ出す法人設立届出書などの届出が、この税務書類に当たるかは、個別の書類ごとに税務署や税理士会で確認します。

開業までの書類と、条文で資格者に限られている業務(確認日2026年10月9日)
書類・手続関係する法律と条文条文が資格者に限っている業務
指定申請書類(指定権者へ提出)行政書士法 第1条の三・第19条他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を業として作成すること
法人の設立登記司法書士法 第3条・第73条他人の依頼を受けて、登記の手続を代理し、法務局に出す書類を作成すること
労働保険・社会保険の届出社会保険労務士法 第2条・第27条他人の求めに応じ報酬を得て、労働社会保険諸法令の申請書等の作成・提出手続の代行・事務代理・帳簿書類の作成を業として行うこと
税務署への申告・申請等税理士法 第2条・第52条他人の求めに応じて、税務代理・税務書類の作成・税務相談を業として行うこと

このページで確認していないこと

介護保険法に基づく指定申請書が、社会保険労務士法の対象となる「労働社会保険諸法令」(同法の別表第一)に含まれるかは、このページでは確認していません。行政書士法の例外規定(総務省令)の中身も確認していません。また、各条文には「他の法律に別段の定めがある場合」などの例外があり、このページは条文の骨格だけを並べています。

どの書類をだれが作るかを決めるときは、書類ごとに、提出先の窓口か、各士業の会に取扱いを確認してください。依頼を受けることができるかは、依頼先の資格と、依頼する業務の範囲(作成・提出の代行・相談)によって変わります。このページは特定の専門職の推薦や、書類が資格者の業務に当たるかの個別の判断をするものではありません。

法人設立後の届出の期限と提出先は訪問介護の法人設立後に出す労働保険・社会保険・税務署への届出の期限と提出先に、指定申請から開業までの全体の順序は訪問介護の指定申請と開業ロードマップにあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 開業までに出す書類を、指定申請書類、登記、労働保険・社会保険の届出、税務署への届出に分けて一覧にし、提出先を書き込む
  2. 書類ごとに、自社の役員や職員が自分で作るか、他人に依頼するかを決める。依頼する場合は、その書類に関わる法律の業務の範囲に当たるかを、各士業の会や窓口に確認する
  3. 依頼する書類は、依頼先の資格と、依頼する業務の範囲(作成、提出の代行、相談)を依頼前に書面で確認する
  4. 指定申請の書類は、指定権者の窓口で事前相談を受け、提出者の取り決めがあるかを確認してから分担を確定する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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