事業計画 / 更新 2026-10-30
介護老人保健施設の事業計画書と収支:基本型の要介護1は717単位・入所者3人に職員1以上
介護老人保健施設(老健)の事業計画書の収支は、開設の許可、員数と設備、月の収入、自社の費用の4つに分けると書けます。開設は都道府県知事の許可、員数と設備は基準、月の収入は告示の1日あたりの単位数で決まります。この記事は、原文を2026年10月30日に確かめ、収入の式と数値例を整理し、建物の費用や給与の平均値は扱いません。
事業計画書の収支に入れる項目と、数字の根拠
下の表は、収支に入れる項目ごとに、数字の根拠と、自社で確かめる点を並べたものです。基準や告示で決まる項目と、自社の数字を入れる項目を分けています。
老健は、入所者に対し、1日ごとに施設の区分と要介護度で決まる単位数を算定します。医師とリハビリ職を置く分、看護職員・介護職員以外の職種の人件費が固定費に加わります。
| 項目 | 根拠の数字 | 自社で確かめる点 |
|---|---|---|
| 開設 | 都道府県知事の許可(介護保険法 第94条第1項) | 予定する所在地の都道府県の窓口 |
| 看護職員・介護職員 | 合計は常勤換算で、入所者3人またはその端数ごとに1以上(基準 第2条第1項第3号) | 勤務表と、前年度の平均の入所者数(新規は推定数) |
| 医師・リハビリ職 | 医師と、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、それぞれ常勤換算で入所者の数を100で除した数以上(同項第1号・第5号) | 常勤換算の人数と採用の見込み |
| そのほかの職種 | 支援相談員は1以上、介護支援専門員は1以上、栄養士または管理栄養士は入所定員100以上で1以上(同項第4号・第6号・第7号) | 兼務できる職員と、定員の規模 |
| 療養室 | 定員は4人以下で、入所者1人当たりの床面積は8平方メートル以上。地階には設けない(基準 第3条第2項第1号) | 図面の床面積 |
| 基本の収入 | 区分(Ⅰ)の(i)は要介護1が717、2が763、3が828、4が883、5が932単位(1日につき。告示 別表2 イ) | 区分と要介護度ごとの入所者数の見込み |
| 賃料・食材・給与ほか | この記事は数字を示さない | 見積書と求人条件で確かめた自社の数字 |
この記事で決めること
介護老人保健施設(老健)の開設を考える事業者が、事業計画書の収支に何を入れるのかを、開設許可・基準の員数と設備・告示の1日あたりの単位数から知り、入所者数から月の収入を見積もる式を確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、介護老人保健施設の収支計画の入力表(入所定員と療養室数、療養室の床面積、医師・看護職員・介護職員・支援相談員・理学療法士等・介護支援専門員の人数、区分と要介護度別の入所者数と月の日数、1単位の単価、人件費と固定費)を作成できる状態を目指します。
開設の許可から決まる準備:都道府県知事の許可
介護保険法の第94条第1項は、介護老人保健施設を開設しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。訪問介護のような指定ではなく、開設の許可です。
開設者の要件と申請の手順は、この記事では確認していません。収支の見積もりより先に、予定する所在地の都道府県の担当窓口に確かめてください。基準の全体は介護老人保健施設の基準にまとめています。
員数から決まる固定費:入所者3人ごとに看護職員と介護職員の合計1以上
老健の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準の第2条第1項は、看護職員と介護職員の合計を、常勤換算方法で、入所者の数が3またはその端数を増すごとに1以上としています。入所者が50人なら17以上です。内訳は、看護職員が総数の7分の2程度、介護職員が7分の5程度を標準とします。
医師は、常勤換算方法で入所者の数を100で除して得た数以上で、50人なら0.5以上です。理学療法士、作業療法士または言語聴覚士も同じ数以上です。支援相談員と介護支援専門員は各1以上で、栄養士または管理栄養士は入所定員が100以上の施設で1以上です。
入所者の数は前年度の平均値で、新規に許可を受ける場合は推定数によります(同条第2項)。サテライト型小規模と医療機関併設型小規模には員数の特例があり、この記事では扱いません。
設備から決まる固定費:療養室は1人8平方メートル以上
基準の第3条第2項は、療養室の定員を4人以下とし、入所者1人当たりの床面積を8平方メートル以上としています。入所者が50人なら、療養室の床面積の合計は400平方メートル以上です。療養室は地階に設けられません。
療養室のほか、診察室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、洗面所、便所、サービス・ステーション、調理室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室を設けます。機能訓練室と食堂の面積、構造の基準、ユニット型の設備の基準は、この記事では確認していません。
月の収入の式:区分・要介護度別の入所者数×単位数×日数×1単位の単価
告示の別表2のイは、介護保健施設サービス費を、区分(Ⅰ)の(i)で要介護1が717、要介護2が763、要介護3が828、要介護4が883、要介護5が932単位(1日につき)としています。(ii)から(iv)と、区分(Ⅱ)から(Ⅳ)は単位数が異なります。
月の収入は、区分と要介護度ごとの入所者数に単位数を掛けて足し、月の日数と1単位の単価を掛けた額です。1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で決まります。減算の細目と加算の単位数はこの記事で扱わず、介護老人保健施設の単位数にまとめています。
数値例:区分(Ⅰ)の(i)で入所者50人の場合の月の収入
式を確かめるための仮の数字を置きます。区分(Ⅰ)の(i)で、入所者が50人、内訳は要介護1が3人、要介護2が8人、要介護3が14人、要介護4が15人、要介護5が10人、月の日数は30日、1単位は仮に10円とします。
1日の単位数は、3人×717+8人×763+14人×828+15人×883+10人×932=2,151+6,104+11,592+13,245+9,320=42,412単位です。月は42,412×30日=1,272,360単位で、月の収入は12,723,600円で、加算、減算、地域の割合は入れていません。
この規模で、看護職員と介護職員の合計は50÷3の端数を数えて17以上、医師は0.5以上です。入所が定員に届かない月は、入所者数を少なくして見積もり、入所が進むまでの月に、収入が人件費と賃料を下回る期間を、月ごとの表で見積もります。
費用側で自社の数字を入れる項目
費用は、医師・看護職員・介護職員・リハビリ職・支援相談員・介護支援専門員・栄養士などの給与と社会保険料、建物の償却または賃料、食材費、医薬品と介護用品、記録や請求のシステム、研修費に分けて書きます。この記事は、給与や建物の費用の平均値を示しません。求人条件、見積書、契約条件で確かめた自社の数字を入れます。
同じ施設サービスの特別養護老人ホームは特別養護老人ホームの事業計画書と収支で、組み立てを比べられます。
この記事で確認した範囲
確認したのは、従業者の員数と療養室の設備の基準の原文と、区分(Ⅰ)から(Ⅳ)の基本の単位数で、2026年10月30日に読んだ内容です。員数と設備は介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準の第2条・第3条と介護保険法第94条をe-Gov法令検索で、単位数は厚生労働省の告示で確かめました。
各減算の細目、各加算の届出基準、在宅復帰・在宅療養支援等指標、処遇改善加算の率、開設者の要件、サテライト型小規模などの特例、ユニット型の設備の基準、都道府県の条例の個別の定め、地域区分ごとの単価の値、給与や建物の費用の平均値は確認しておらず、扱っていません。個別の施設の収支は、自社の数字と、施設を置く都道府県への確認で決めてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 開設許可を受ける都道府県の窓口に、開設者の要件と許可の手順を確かめる。入所定員を仮置きし、療養室の定員が4人以下か、入所者1人当たりの床面積が8平方メートル以上か、地階に設けていないかを、図面で確かめる
- 入所者の見込みの数から、医師は入所者の数を100で除した数以上、看護職員と介護職員の合計は入所者3人またはその端数ごとに1以上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は入所者の数を100で除した数以上となる常勤換算の人数を、勤務表で確かめる。支援相談員と介護支援専門員は各1以上を置く
- 月の収入は、施設の区分と要介護度ごとに、入所者数に1日の単位数を掛けて足し、月の日数を掛ける。入所が定員に届かない月は、入所者数を少なくして見積もる。加算は、届出の見込みがあるものだけを足す
- 1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で告示の表から確かめる。医師、看護職員、介護職員、リハビリ職の給与、建物の償却または賃料、食材費、医薬品や介護用品は、見積書と求人条件の自社の数字を入れ、入所者が少ない開設直後の月に収入が人件費を下回る期間を月ごとの表で見積もる
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隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
介護老人保健施設の事業計画書の収入は、何で決まりますか?
施設の区分と要介護度で決まる1日の単位数です。区分(Ⅰ)の(i)は、要介護1から5まで717・763・828・883・932単位です。月の収入は、区分と要介護度ごとの入所者数に単位数を掛けて足し、月の日数と1単位の単価を掛けて出します。
介護老人保健施設の開設には、どこの許可が必要ですか?
介護保険法の第94条第1項は、介護老人保健施設を開設しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。訪問介護のような指定ではなく、開設許可です。開設者の要件と申請の手順は、予定する所在地の都道府県に確かめてください。
介護老人保健施設に必要な看護職員と介護職員は、何人ですか?
基準の第2条は、看護職員と介護職員の合計を、常勤換算で入所者3人またはその端数ごとに1以上としています。入所者が50人なら17以上です。このほか医師は入所者の数を100で除した数以上、支援相談員と介護支援専門員は各1以上を置きます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 2 介護保健施設サービス イ〜マと注」(別表 2 介護保健施設サービス イ 介護保健施設サービス費、ロ ユニット型介護保健施設サービス費、注1〜注22、ハ 初期加算〜マ サービス提供体制強化加算(1ページ目の後半と2ページ目。基本部分と注はhttps://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0255&dataType=0&pageNo=1))(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省老健局「介護報酬の算定構造(令和8年6月改定箇所入り)「Ⅲ 指定施設サービス等介護給付費単位数の算定構造 2 介護保健施設サービス」」(Ⅲ 指定施設サービス等介護給付費単位数の算定構造 2 介護保健施設サービス)(確認日 2026-10-19)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(第一条の二 基本方針、第二条 従業者の員数、第三条 施設、第四条 構造設備、第二十三条 管理者、第三十八条 記録の整備)、介護保険法第九十四条・第九十七条」(介護老人保健施設基準(平成11年厚生省令第40号)第1条の2、第2条第1項〜第5項、第3条第1項・第2項第1号、第4条第1項、第23条、第38条第2項、介護保険法第94条第1項・第3項第1号・第4項、第97条第1項〜第4項)(確認日 2026-10-24)