運営 / 更新 2026-10-24

介護老人保健施設の基準:看護・介護職員は入所者3人に1以上・療養室は1人8平方メートル以上

介護老人保健施設(老健)は、入院治療の必要はなく、看護、医学的管理の下での介護、機能訓練を受けて自宅へ戻ることを目指す人が入る施設です。この記事は、訪問介護の事業者が、利用者が退所して自宅に戻る前の受け皿になる老健の基準を確かめるときのために、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)と介護保険法第94条・第97条を読み、開設の許可、従業者の員数、施設と設備、管理者、記録の決まりを整理したものです。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

開設は都道府県知事の許可:「指定」ではなく「開設許可」

介護保険法第94条第1項は、介護老人保健施設を開設しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。訪問介護のような「指定」ではなく「開設許可」で、入所定員などを変更するときも許可が必要です(第2項)。

開設者が、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者でないときは、許可を与えられません(第3項第1号)。また、営利を目的として開設しようとする者には、許可を与えないことができます(第4項)。

第97条は、療養室、診察室、機能訓練室は厚生労働省令、医師と看護師の員数も厚生労働省令で定め、介護支援専門員と介護その他の業務に従事する従業者の員数は都道府県の条例で定めるとしています。ただし、その従業者とその員数は、省令の基準に従って条例を定めます(第4項)。条例の中身は都道府県ごとに確かめる必要があり、この記事では読んでいません。

基準第1条の2は、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護、機能訓練その他必要な医療、日常生活上の世話を行い、入所者が能力に応じて自立した日常生活を営めるようにするとともに、居宅における生活への復帰を目指すことを基本方針としています。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が、利用者が退所して自宅に戻る前の受け皿である介護老人保健施設の人員・施設の基準を、条文で確かめたい人向け。開設の許可、従業者の員数、施設と設備、管理者、記録の保存を知り、在宅への復帰を支える自社の体制と並べて考える。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、介護老人保健施設の基準との比較表(職種ごとの基準員数と自社の職員数・看護・介護職員の合計と入所者3人ごとに1以上の確認・療養室の定員と1人当たり床面積8平方メートルの確認・耐火建築物と廊下幅の確認・管理者の常勤の可否・施設サービス計画を作る介護支援専門員・都道府県の窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。

従業者の員数:看護・介護職員は常勤換算で入所者3人ごとに1以上

基準第2条第1項は、置く職種と員数を定めています。医師は、常勤換算で、入所者の数を100で除して得た数以上です。薬剤師は、施設の実情に応じた適当数です。

看護職員(看護師または准看護師)と介護職員の合計(看護・介護職員)は、常勤換算で、入所者の数が3またはその端数を増すごとに1以上です。内訳は、看護職員が総数の7分の2程度、介護職員が7分の5程度を標準とします。

支援相談員は1以上です。入所者が100人を超えるときは、常勤の支援相談員1人に加えて、100を超える部分を100で除して得た数以上を常勤換算で置きます。理学療法士、作業療法士または言語聴覚士は、常勤換算で、入所者の数を100で除して得た数以上です。

栄養士または管理栄養士は、入所定員が100以上の施設で1以上です。介護支援専門員は1以上で、入所者が100またはその端数を増すごとに1を標準とし、専らその職務に従事する常勤の者です(第5項)。入所者の処遇に支障がなければ、施設の他の職務に従事できます。

入所者の数は前年度の平均値で、新規に許可を受けるときは推定数を使います(第2項)。常勤換算は、従業者の勤務延時間数の総数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、常勤の員数に直す方法です(第3項)。従業者は、入所者の処遇に支障がない場合を除いて、施設の職務に専ら従事する者です(第4項)。

定員29人以下のサテライト型小規模介護老人保健施設と医療機関併設型小規模介護老人保健施設には、員数の特例があります(第6項・第7項)。この記事では詳しくは読んでいません。

施設と設備:療養室は定員4人以下で1人8平方メートル以上

基準第3条第1項は、療養室、診察室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、洗面所、便所、サービス・ステーション、調理室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室を有することを求めています。

療養室は、1室の定員が4人以下で、入所者1人当たりの床面積が8平方メートル以上です。地階には設けられず、一つ以上の出入口は避難上有効な空地、廊下または広間に直接面して設けます。寝台またはこれに代わる設備、身の回り品を保管できる設備、ナース・コールを備えます。

浴室は、身体の不自由な人が入浴するのに適したものとし、一般浴槽のほかに、入浴に介助が必要な人に適した特別浴槽を設けます。便所は、療養室のある階ごとに設け、ブザーまたはこれに代わる設備と常夜灯を付けます。

基準第4条は、構造設備を定めています。建物は耐火建築物とします。ただし、療養室などを2階にも地階にも設けない場合などの要件を満たす2階建てまたは平屋建ては、準耐火建築物にできます。

療養室などが2階以上にあるときは、屋内の直通階段とエレベーターをそれぞれ1以上設けます。廊下の幅は1.8メートル以上で、中廊下は2.7メートル以上です。階段と廊下には手すりを付けます。

これらの施設は、入所者の処遇に支障がない場合を除いて、施設の専用です(基準第3条第3項)。機能訓練室、談話室、食堂の面積と、ユニット型の基準は、この記事では読んでいません。

管理者と記録:運営で求められる決まり

基準第23条は、管理者を、専ら施設の職務に従事する常勤の者とします。管理上支障がない場合は、他の事業所、施設等の職務に従事できます。

基準第38条は、従業者、施設及び構造設備、会計に関する記録を整備することを求めています。施設サービス計画、在宅で日常生活を営めるかの検討の記録、提供したサービスの内容の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知の記録、苦情の記録、事故の状況と処置の記録は、その完結の日から2年間保存します。

条文の内容の一覧

ここまでの条文を、項目ごとにまとめます。報酬の単位数と、開設許可の申請手順は、この記事では読んでいません。

介護老人保健施設の人員・施設の主な基準(基準第2条・第3条・第4条・第23条・第38条、介護保険法第94条)
項目基準の内容条文
開設都道府県知事の許可。開設者が地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者でないときは許可を与えられない法第94条
医師常勤換算で入所者の数を100で除した数以上基準第2条
看護・介護職員常勤換算で入所者3人またはその端数ごとに1以上(看護職員7分の2程度、介護職員7分の5程度が標準)基準第2条
リハビリ職理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は常勤換算で入所者の数を100で除した数以上基準第2条
支援相談員・栄養士・介護支援専門員支援相談員1以上、栄養士は入所定員100以上で1以上、介護支援専門員は1以上(100人またはその端数ごとに1を標準)基準第2条
療養室定員4人以下、1人当たり8平方メートル以上、地階には設けない基準第3条
建物・廊下耐火建築物(要件により準耐火建築物)。廊下幅1.8メートル以上、中廊下2.7メートル以上基準第4条
管理者専ら従事する常勤。管理上支障がなければ他の職務等との兼務可基準第23条
記録の保存施設サービス計画などを完結の日から2年間基準第38条

訪問介護の事業者が確かめる順番

老健の基準は、在宅への復帰を目指す施設の決まりです。訪問介護の事業者は、自社の体制と並べて違いを洗い出すと、退所後の利用者をどう受け止めるかを考えやすくなります。

開設者の要件と許可の手順は、この記事では読んでいません。予定する所在地の都道府県の担当窓口に確かめてください。

報酬の単位数は「介護老人保健施設の単位数:従来型個室の基本型は717単位・ユニット型は802単位」、同じく病院・診療所・老健・介護医療院が事業所になれる訪問リハビリテーションの基準は「訪問リハビリテーションの指定基準:事業所は病院・診療所・老健・介護医療院に限る」、訪問介護の人員の決まりは「訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)」で読めます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 考える入所定員を書き、前年度の平均の入所者数(新規は推定数)から、医師(100人で除した数)、看護・介護職員(3人ごと)、理学療法士などのリハビリ職(100人で除した数)、介護支援専門員(100人ごとに1を標準)の必要人数を計算し、いまの職員の人数・資格・勤務時間と並べて、足りない職種に印を付ける
  2. 療養室の定員(4人以下)と1人当たりの床面積(8平方メートル以上)、診察室・機能訓練室・浴室・サービス・ステーションなど必要な施設の有無、建物が耐火建築物かどうか、廊下の幅を書く
  3. 管理者の候補が専ら従事する常勤の者かを書き、施設サービス計画の作成から交付までの流れと、記録を2年間保存する体制を決める
  4. 開設は都道府県知事の許可で、開設者の要件と条例の上乗せがある。許可の手順と条例の中身は、予定する所在地の都道府県の担当窓口に確かめて、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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