運営 / 更新 2026-10-20
訪問リハビリテーションの指定基準:事業所は病院・診療所・老健・介護医療院に限る
訪問リハビリテーションは、利用者の居宅で理学療法や作業療法などのリハビリテーションを行うサービスで、指定は都道府県知事が行います。この記事は、訪問介護の事業者がこのサービスを事業に加えられるかを考えるときに、指定居宅サービス基準第75条〜第77条・第81条を読み、事業所の要件・従業者・計画の決まりを訪問介護の基準と比べるための整理です。
指定するのは都道府県知事:訪問介護と同じ居宅サービスの基準
介護保険法第41条第1項は、居宅介護サービス費の対象を、都道府県知事が指定する者(指定居宅サービス事業者)から受けた居宅サービスと定めています。訪問リハビリテーションも、訪問介護と同じ指定居宅サービス基準の中にあり、市町村長が指定する地域密着型サービスではありません。
基準第75条の基本方針は、利用者の居宅において、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものとしています。身体介護や生活援助を行う訪問介護とは、提供する内容が別です。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が訪問リハビリテーションを事業に加えられるかを考えるときに、指定する者、事業所の要件、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の員数、計画の作成の基準を条文で確かめ、訪問介護の基準との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問リハビリテーションの基準チェック表(自社が運営する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の有無と種類・事業所を置く都道府県と担当窓口・常勤の医師の候補・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の候補と人数・専用の区画と設備及び備品等の見込み・計画の作成と交付の流れ・都道府県に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
事業所になれるのは病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院
基準第77条第1項は、指定訪問リハビリテーション事業所を、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院であって、事業の運営に必要な広さの専用の区画を設け、提供に必要な設備及び備品等を備えているものと定めています。訪問介護のように、法人が事務所を借りて指定を受ける形にはなりません。
このため、訪問介護だけを運営する事業者が、訪問リハビリテーションを事業に加えるには、条文のうえで、これらの医療機関や施設を運営していることが前提になります。条文は施設の種類を定めているだけで、設置や開設の手続きは、この記事では読んでいません。
従業者の員数:医師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
基準第76条第1項は、事業所ごとに置く従業者を2つに分けています。医師は、指定訪問リハビリテーションの提供に当たらせるために必要な1以上の数で、第2項により常勤でなければなりません。理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は1以上です。
訪問介護の訪問介護員等が常勤換算方法で2.5以上であるのに対し、この条文には常勤換算の数え方での要件はありません。員数として管理者を置く規定は第76条・第77条にありませんが、第83条が第52条(管理者の責務)を準用しており、管理者が従業者の管理や業務の実施状況の把握を一元的に行う決まりが及ぶとされています。準用先のほかの条文は、この記事では読んでいません。
第3項は、事業所が介護老人保健施設又は介護医療院で、介護保険法第72条第1項によりみなし指定を受けている場合に、それぞれの施設の基準の人員を満たせば足りるとしています。これらの施設の基準の中身は、この記事では読んでいません。
訪問リハビリテーション計画:医師の診療に基づき作成し、説明・同意・交付
基準第80条は、サービスの提供を理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行うものとし、医師の指示と計画に基づいて行うと定めています。訪問介護とは、サービスの担い手が別です。第80条のほかの項目と第82条の運営規程は、この記事では読んでいません。
基準第81条第1項は、医師と理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、医師の診療に基づき、利用者の病状、心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、目標と具体的なサービスの内容を記載した計画を作成するとしています。居宅サービス計画がすでにある場合は、その内容に沿って作成します。
計画の内容は利用者又はその家族に説明して同意を得て、作成したら利用者に交付します。医療機関から退院した利用者は、医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等で、これまでのリハビリテーションの情報を把握します。
訪問介護の基準との比較
指定する者は同じですが、事業所の要件、従業者、計画に関わる者は訪問介護と大きく異なります。
| 項目 | 訪問リハビリテーション | 訪問介護 |
|---|---|---|
| 指定する者 | 都道府県知事(法第41条第1項) | 都道府県知事 |
| 事業所 | 病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院で、専用の区画がある(第77条) | 専用の区画と必要な設備及び備品等(居宅サービス基準第7条) |
| 従業者 | 常勤の医師1以上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士1以上(第76条) | 訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上(居宅サービス基準第5条第1項) |
| 計画 | 医師と理学療法士等が、医師の診療に基づき作成(第81条) | サービス提供責任者が訪問介護計画を作成(居宅サービス基準第24条) |
訪問介護の事業者が確かめる順番
まず、自社が条文の定める病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院のいずれかを運営しているかを確かめます。運営していない場合は、第77条の事業所の要件を満たさないため、自社で訪問リハビリテーションの指定を受ける対象になりません。
運営している、または運営する予定がある場合は、事業所を置く都道府県の担当窓口に、指定の手続きを相談します。単位数は訪問リハビリテーション費の単位数:1回308単位・同一建物90%と85%、指定の主体と人員をほかのサービスと比べるなら訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で確認できます。
訪問看護の指定基準は訪問看護ステーションの指定基準で、訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)で整理しています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 自社が運営している病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院があるかを書き、ない場合は、連携先の医療機関や訪問看護事業者の候補をチェック表に書いて、自社での指定を前提にするかを決める
- 事業所を置く予定の都道府県を決め、担当窓口に、指定の手続きと専用の区画の確認の進め方を確かめ、確かめた日と回答をチェック表に書く
- 提供に当たる常勤の医師の候補と、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の候補と人数(1以上)を書き、介護老人保健施設又は介護医療院の場合は、その施設の人員の基準を担当窓口に確かめる
- 医師の診療に基づく訪問リハビリテーション計画の作成、利用者・家族への説明と同意、交付、居宅サービス計画との整合の流れを書き、様式案とあわせて担当窓口に相談し、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第75条 基本方針、第76条 従業者の員数、第77条 設備及び備品等、第81条 訪問リハビリテーション計画の作成)、介護保険法第41条第1項」(基準第75条〜第77条、第81条(訪問リハビリテーション)、法第41条第1項)(確認日 2026-10-20)