運営 / 更新 2026-10-20

訪問介護事業所の社会保険の事業主負担:令和8年度の料率と月額の計算

協会けんぽに加入している訪問介護事業所の事業主負担は、保険料額表の「折半額」の列にある健康保険・介護保険・厚生年金保険・子ども・子育て支援金の金額に、事業主だけが負担する子ども・子育て拠出金(率0.36%)を足して求めます。令和8年度の東京支部の表で、標準報酬月額20万円の職員1人の事業主負担は、介護保険第2号被保険者に当たらない場合で月29,100円です。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

事業主負担の内訳:折半する保険料と、事業主だけの拠出金

協会けんぽの令和8年度の保険料額表は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金のそれぞれに「全額」と「折半額」の列を設けています。事業主が負担するのは折半額で、残りの折半額は被保険者(ヘルパー本人)が負担し、事業主が給与から控除して納める形が一般的です。

子ども・子育て拠出金は別の仕組みです。協会けんぽの表の脚注は、事業主が児童手当の支給に要する費用等の一部として拠出金を負担すると定め、被保険者の負担はないとしています。額は、被保険者ごとの厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額に、拠出金率(0.36%)を乗じた額の総額です。

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や経理担当者が、協会けんぽに加入している事業所で、ヘルパーの健康保険・厚生年金保険・介護保険・子ども・子育て支援金の保険料のうち事業主が毎月いくら負担するか、事業主だけが負担する子ども・子育て拠出金をどう足すかを、協会けんぽの令和8年度保険料額表(東京支部)と日本年金機構の案内で確認するため。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、社会保険料の事業主負担の月次計算記録(職員ごとの標準報酬月額・介護保険第2号被保険者の該当・折半額・拠出金・事業主負担の合計)を作成できる状態を目指します。

令和8年度の料率(東京支部の保険料額表)

次の表は、協会けんぽの「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」から写した率です。健康保険料率は都道府県ごとに異なるため、東京以外の事業所は所在地の支部の表で確認します。厚生年金保険料率は、日本年金機構が、平成29年9月を最後に引上げが終わり18.3%で固定されていると案内しています。

令和8年度の保険料率(協会けんぽ・東京支部の保険料額表)
項目率負担のしかた
健康保険料9.85%折半(事業主と被保険者)
介護保険料(第2号被保険者に該当する場合に加わる)1.62%(健康保険料と合わせて11.47%)折半
子ども・子育て支援金(令和8年4月分・5月納付分から)0.23%折半
厚生年金保険料18.300%折半
子ども・子育て拠出金0.36%事業主のみ(被保険者の負担なし)

標準報酬月額20万円の職員1人の計算例

東京支部の保険料額表で、標準報酬月額200,000円は等級17(厚生年金保険は14等級)の行です。この行の折半額は、健康保険料9,850.0円、介護保険第2号被保険者に該当する場合は健康保険料と介護保険料を合わせて11,470.0円、子ども・子育て支援金230.0円、厚生年金保険料18,300円です。

拠出金は、200,000円に0.36%を乗じて720円です。次の表の合計は、この例の事業主負担の月額です。職員の報酬や年齢で等級と列が変わるため、実際は職員ごとに表から拾います。

標準報酬月額20万円の事業主負担の例(令和8年度・東京支部)
項目第2号被保険者に該当しない第2号被保険者に該当する
健康保険料(介護保険料を含む)の折半額9,850円11,470円
子ども・子育て支援金の折半額230円230円
厚生年金保険料の折半額18,300円18,300円
子ども・子育て拠出金(200,000円×0.36%)720円720円
事業主負担の合計(1人・月額)29,100円30,720円

端数と賞与の扱い

協会けんぽの表の脚注によると、事業主が給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下なら切り捨て、50銭を超えるなら切り上げて1円とします。ただし、事業主と被保険者の間に特約があれば、特約に基づく端数処理もできます。納入告知書の保険料額は、被保険者ごとの保険料額を合算した金額で、合算額の円未満の端数は切り捨てです。

賞与の保険料は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に料率を乗じます。標準賞与額の上限は、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金が年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計)、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金が月間150万円です。賞与支払届などの手続きは、賞与の社会保険料と賞与支払届の記事で別に確認します。

事業所で決めておくこと(運用の例)

次の表は、上の決まりに合わせた確認の例で、国が定めた様式ではありません。誰が社会保険の加入対象になるかは、訪問介護員の社会保険の加入要件の記事で確認します。労災保険・雇用保険の事業主負担は、訪問介護の労働保険料の記事に分けてあります。

社会保険料の事業主負担で確認すること(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる資料
加入先が協会けんぽか健康保険組合かを確かめ、協会けんぽなら所在地の支部の表を使う協会けんぽの保険料額表
職員ごとの等級を表で確かめ、介護保険第2号被保険者に当たる人は介護込みの列を使う協会けんぽの保険料額表
折半額の列で事業主負担を拾い、拠出金は厚生年金の標準報酬月額に0.36%を乗じて足す協会けんぽの保険料額表の脚注
使った表の年度を記録し、料率が改定された年度の始めに表を差し替える協会けんぽの保険料額表

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、協会けんぽの令和8年度保険料額表(東京支部)と、日本年金機構の厚生年金保険料額表の案内を読んで書きました。東京支部以外の健康保険料率、健康保険組合や国民健康保険の保険料、介護保険第2号被保険者の範囲、保険料の納期限は扱っていません。

保険料の額や加入の判断は、事業所ごとの事情で変わります。迷う点は、加入している健康保険の窓口や年金事務所、社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 加入している健康保険が協会けんぽか健康保険組合かを確かめ、協会けんぽの場合は事業所の所在地の支部の令和8年度の保険料額表を入手する
  2. 職員ごとの標準報酬月額の等級を保険料額表で確かめ、40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者に当たる人には介護保険料込みの列を使うと記録する
  3. 折半額の列で健康保険・子ども・子育て支援金・厚生年金の事業主負担を拾い、子ども・子育て拠出金は厚生年金の標準報酬月額に0.36%を乗じて事業主負担へ足す
  4. 合計額を月次の人件費の記録に残し、納入告知書の金額と照らし合わせる。料率が改定された年度の始めは、使った表の年度を併せて記録する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問介護事業所が負担する社会保険料の事業主負担は、保険料の半分ですか?

健康保険・介護保険・厚生年金保険・子ども・子育て支援金は、協会けんぽの保険料額表の「折半額」を事業主と被保険者が負担します。子ども・子育て拠出金は事業主だけが負担し、被保険者の負担はありません(協会けんぽの令和8年度保険料額表)。

令和8年度の協会けんぽの健康保険料率は、どこの事業所も同じですか?

健康保険料率は都道府県ごとに異なります。この記事で数値を確認したのは東京支部(9.85%)の保険料額表で、介護保険料率(1.62%)・子ども・子育て支援金率(0.23%)・厚生年金保険料率(18.3%)は表のとおりの率です。所在地の支部の表で確認してください。

子ども・子育て支援金は事業主も負担しますか?

協会けんぽの令和8年度保険料額表では、子ども・子育て支援金(率0.23%、令和8年4月分・5月納付分から)にも「折半額」の欄があり、事業主と被保険者が折半する形で示されています。事業主だけが負担する子ども・子育て拠出金(率0.36%)とは別の負担です。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護員の社会保険の加入要件:4分の3基準・週20時間以上の短時間労働者・賃金要件の撤廃 →