運営 / 更新 2026-10-15

訪問介護の労働保険料(労災・雇用保険):事業主負担の料率と計算例(令和8年度)

訪問介護事業所が毎年払う労働保険料は、労災保険と雇用保険の保険料の合計です。令和8年度の事業主負担は、労災保険率が1,000分の3(事業の種類が94の場合。全額事業主負担)、雇用保険が1,000分の8.5で、どちらも労働者に支払う賃金の総額に率を乗じて求めます。このページは、厚生労働省の料率表と労働局の案内をもとに、人件費に上乗せされる額の見積もり方を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や経理担当者が、人件費に上乗せされる労働保険料の事業主負担を、令和8年度の労災保険率(その他の各種事業)、雇用保険の事業主負担率、一般拠出金率と、賃金総額に乗じる計算例で見積もるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、労働保険料の事業主負担の見積表(労災保険の対象となる賃金総額、雇用保険の被保険者の賃金総額、労災保険率、雇用保険の事業主負担率、一般拠出金率、年間の事業主負担額)を作成できる状態を目指します。

労働保険料は、賃金の総額に労災と雇用の率を乗じて決まる

大阪労働局の案内によると、労働保険料は、労働者に支払う賃金の総額に、労働保険料率(労災保険率と雇用保険率)を乗じて得た額です。労災保険料は全額が事業主の負担で、雇用保険料は事業主と労働者の双方で負担します。

厚生労働省のリーフレットも、労災保険分は全額事業主負担、雇用保険分は事業主と労働者双方の負担と書いています。労災保険率と雇用保険率は事業の種類ごとに定められているため、保険料は事業の種類で変わります。

毎年度の申告と納付の手順は「訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)」にあります。このページは、その前に必要になる金額の見積もりを扱います。

労災保険率は、事業の種類「94 その他の各種事業」で3/1,000

厚生労働省の令和8年度の労災保険率の表(令和7年度と同率)では、事業の種類「94 その他の各種事業」が3/1,000です。労災保険率適用事業細目表を見ると、94の細目に「9432 社会福祉又は介護事業」があります。

細目表には「訪問介護」という語は出てきません。訪問介護事業所がこの区分に当たるかどうかは、このページでは断定できないため、労働基準監督署か年度更新の申告書の案内で、事業所の事業の種類を確かめてください。細目表の改正履歴は平成28年2月までで、現行かどうかも併せて確認します。

労災保険率は事業の種類ごとに決まり、従業員の人数や勤続年数では変わりません。この表の率は令和8年度の値で、年度ごとに料率表が公表されます。

雇用保険は、事業主8.5/1,000・労働者5/1,000(令和8年度)

令和8年度(令和8年4月1日から令和9年3月31日まで)の一般の事業の雇用保険料率は、労働者負担が5/1,000、事業主負担が8.5/1,000で、合計13.5/1,000です(山形労働局の案内)。

雇用保険の被保険者になるのは、厚生労働省の申告書の書き方によると、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある労働者が原則です。常用、パート、アルバイトなど名称は関係しません。要件の詳しい確認は「訪問介護員の雇用保険の加入要件:週20時間・31日以上の見込みと資格取得届の期限」を見てください。

雇用保険の労働者負担分は、毎月の賃金総額に労働者負担率を乗じた額を、給与から控除します(大阪労働局の案内)。控除の端数処理には決まりがあるため、給与計算ソフトの設定を確認してください。

令和8年度の労働保険料率(事業の種類が94の場合・事業主負担と労働者負担)
保険事業主負担労働者負担
労災保険(94 その他の各種事業)3/1,000なし
雇用保険(一般の事業)8.5/1,0005/1,000
一般拠出金0.02/1,000なし

一般拠出金は、賃金総額に1,000分の0.02

一般拠出金は、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づいて事業主が負担するもので、労働保険の確定保険料の申告と併せて申告・納付します。算定方法は、賃金総額(千円未満は切り捨て)に1,000分の0.02を乗じる方法です。

この率は労働保険料の本体に比べて小さく、見積もりで見落としても額への影響はわずかですが、年度更新の申告書には記入欄があります。この表の一般拠出金は令和8年度の申告書の書き方で確認した率です。

計算例:年間の賃金総額2,400万円の事業所

次の数字は、仕組みを見るための仮定の例です。年間の賃金総額が2,400万円で、うち雇用保険の被保険者の賃金が1,800万円だとします。この例は、各労働者が実際に雇用保険の対象かどうかによって変わります。

労災保険料は2,400万円に3/1,000を乗じて7万2,000円です。雇用保険料は1,800万円に13.5/1,000を乗じて24万3,000円で、そのうち事業主負担は1,800万円に8.5/1,000を乗じた15万3,000円、労働者負担は9万円です。一般拠出金は2,400万円に0.02/1,000を乗じて480円です。

事業主の負担は、7万2,000円、15万3,000円、480円の合計で22万5,480円です。この例では賃金総額の約0.94%で、健康保険と厚生年金の事業主負担は別にかかります。人件費全体の見方は「訪問介護の人件費率は67.8%(令和7年度調査)|自事業所の数字で比べる計算つき」にあります。

このページの範囲と、確認する先

このページが確認したのは、厚生労働省の令和8年度の労災保険率表、労災保険率適用事業細目表、山形労働局の雇用保険料率の案内、大阪労働局の労働保険料の計算方法、令和8年度の年度更新申告書の書き方です(2026-10-15に確認)。労災保険のメリット制による率の増減や、健康保険・厚生年金の保険料は扱いません。

自分の事業所の事業の種類と、実際に払う金額は、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家に確認してください。代表者や役員を労災に特別加入させる場合の保険料は「訪問介護の代表者・役員の労災特別加入:対象の人数・事務組合への委託・給付基礎日額」で扱っています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 前年度の賃金台帳から、労災保険の対象となる全労働者の賃金総額と、雇用保険の被保険者の賃金総額を、年度更新の賃金集計表に合わせて集計する
  2. 事業の種類(社会福祉又は介護事業)の労災保険率と、雇用保険の事業主負担率、一般拠出金率を、厚生労働省の最新の料率表で確認して見積表に書く
  3. 賃金総額に各率を乗じて、年間の事業主負担額を求め、月次の人件費計画と収支計画に法定福利費として入れる
  4. 雇用保険の労働者負担分(5/1,000)は毎月の給与から控除する設定になっているかを給与計算で確認し、事業の種類が不明なときは労働基準監督署に相談する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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