運営 / 更新 2026-10-25
高額医療合算介護サービス費:8月〜翌7月の医療と介護の自己負担を合算・基準日は7月31日
高額医療合算介護サービス費は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担を合算し、世帯の基準額を超えた分が払い戻される制度です。1か月ごとの上限を見る高額介護サービス費とは別の制度で、支給するのは市町村です。計算の期間と合算の基準額を、介護保険法第51条の2と同法施行令第22条の3から整理しました(2026年10月25日にe-Govで確認)が、申請の窓口と書類は、基準日に利用者が被保険者となっている市町村で確かめてください。
支給するのは市町村で、医療と介護の自己負担の合計が著しく高額なとき
法第51条の2第1項は、市町村が、要介護被保険者の介護サービスの利用者負担額と、医療保険各法などが定める一部負担金等の額の合計額が著しく高額であるときに、その被保険者へ高額医療合算介護サービス費を支給すると定めています。介護の負担額は、高額介護サービス費が支給される場合はその支給額を引いた額、医療の負担額は、高額療養費が支給される場合はその支給額を引いた額で数えます。
事業所が払い戻す制度ではなく、事業所が利用者から受け取る1割から3割の利用料が、合算される介護の負担額のもとになります。月ごとの上限と払い戻しは訪問介護の利用者負担の月額上限(高額介護サービス費)で整理しています。要支援者の分は別に、法第61条の2が高額医療合算介護予防サービス費として定めており、額の定めは施行令第29条の3が第22条の3を準用しています。
この記事で決めること
利用者や家族から医療費と介護費の合計の負担を相談された訪問介護の事業者が、高額医療合算介護サービス費の計算期間、基準日、合算の対象者、医療保険の区分ごとの基準額を条文で確かめるための記事。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、医療と介護の自己負担の合算制度に関する利用者説明メモ(1枚):計算期間と基準日、合算の対象者、問い合わせ先の記録欄を作成できる状態を目指します。
計算期間は8月1日から翌年7月31日で、基準日は7月31日
施行令第22条の3第2項第1号は、毎年8月1日から翌年7月31日までを計算期間、その末日を基準日と定めています。基準日にその市町村の介護保険の被保険者である人が基準日被保険者で、この人が計算期間に受けた居宅サービスなどの利用者負担額(高額介護サービス費の支給額を引いた額)が合算の対象です。基準日より前に別の市町村の被保険者として受けた分も入ります(第3号)。
合算に入るのは、基準日被保険者本人の分に加えて、同じ医療保険の合算対象者の分です(第4項)。被用者保険の被保険者本人ならその被扶養者、被扶養者なら扶養している被保険者本人と同じ被保険者に扶養されている他の被扶養者が当たります。国民健康保険と後期高齢者医療の被保険者は、それぞれ同じ世帯の他の被保険者です。
基準日にどの医療保険に入っているかで、使う基準額が決まります。年の途中で医療保険の資格を失い、その後新たに加入しない場合などは、資格を失った日の前日を基準日とみなす定めがあり(第9項)、細目は厚生労働省令に委ねられています。この記事では省令の細目を確かめていません。
後期高齢者医療の被保険者の基準額:一般56万円・低所得31万円・19万円
合算した額が医療合算算定基準額に支給基準額を加えた額を超えるとき、超えた分が支給の対象になります(第2項)。支給基準額は、支給の事務に要する費用を勘案して厚生労働大臣が定める額で、この記事では金額を確かめていません。
後期高齢者医療の被保険者の算定基準額は、次の表のとおりです(第6項第3号)。まず後期高齢者医療の区分を示します。70歳以上の分には別の計算があり(第3項)、その基準額(第7項)は第6項と一部が異なります。
| 区分 | 基準額 |
|---|---|
| 下の区分以外の人(一般) | 56万円 |
| 現役並み所得者で、所得の額が690万円以上 | 212万円 |
| 現役並み所得者で、所得の額が380万円以上690万円未満 | 141万円 |
| 現役並み所得者で、所得の額が380万円未満 | 67万円 |
| 市町村民税世帯非課税者(下の区分を除く) | 31万円 |
| 世帯主と全ての世帯員に、各種所得の金額がない世帯 | 19万円(計算期間に複数の人が介護保険の被保険者として居宅サービス等を受けた場合は31万円) |
被用者保険・国民健康保険の基準額:67万円を基本に、212万円から34万円まで
被用者保険の被保険者とその被扶養者の基準額は、次のとおりです(第6項第1号)。標準報酬月額等が83万円以上なら212万円、53万円以上83万円未満なら141万円、28万円未満なら60万円(市町村民税の非課税者は34万円が優先)で、どれにも当たらない人は67万円です。
国民健康保険の被保険者は、世帯の全ての国民健康保険の被保険者の基準所得額を合計して区分します(第6項第2号)。合計が901万円を超えると212万円、600万円を超え901万円以下で141万円、210万円以下で60万円、世帯の全員の市町村民税が非課税などの場合は34万円で、これらに当たらない場合は67万円です。個々の世帯がどの区分に当たるかは、所得や課税の状況で決まるため、市町村や加入している医療保険者の窓口で確かめます。
事業所が利用者に伝えるときの範囲と、確かめた範囲
事業所が利用者へ説明する方法を示した公式の文書は、確認した範囲では見つかりませんでした。条文からは、医療と介護の負担を合算する1年単位の制度があること、毎年8月1日から翌年7月31日の期間で見ることまでを伝え、支給の可否や額は、世帯の医療保険と所得で決まるため市町村に確かめてもらう、という範囲に収まります。特定の世帯の支給額を事業所が断定することは避けます。
利用料の負担を軽くする他の制度は訪問介護の利用者負担の軽減制度の記事に、負担割合の判定は区分支給限度基準額と利用者負担割合の記事にあります。
この記事は、介護保険法第51条の2と同法施行令第22条の3を2026年10月25日にe-Govで確かめた内容です。支給基準額、申請の手続を定める厚生労働省令、70歳以上の分の計算の細目、申請の窓口と必要書類は確かめておらず、書いていません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 法第51条の2と施行令第22条の3を読み、支給の主体が市町村であること、計算期間が毎年8月1日から翌年7月31日であること、基準日が7月31日であることを説明メモに書き写す
- 利用者や家族から医療費と介護費の合計の負担を相談されたら、高額介護サービス費との違い(月ごとか、1年かの別)を伝え、支給の可否と額は世帯の医療保険と所得で決まるため市町村で確かめてもらうと案内する
- 相談を受けた日、案内した窓口(市町村の介護保険の担当課)、説明した内容を、利用者ごとの相談記録に残す
- 市町村の窓口から、申請に必要な書類と受付の時期の案内を得たら、確認した日と窓口名を添えて説明メモに加え、次回の相談から使えるようにする
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法 第51条の2(高額医療合算介護サービス費の支給)」(第51条の2第1項・第2項)(確認日 2026-10-25)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法施行令 第22条の3(高額医療合算介護サービス費)」(第22条の3第1項〜第9項)(確認日 2026-10-25)