運営 / 更新 2026-10-20

訪問介護事業所の休日の振替と代休:割増賃金の違いと振替の4つの措置

休日に出勤してもらうとき、事前に休日を入れ替える「休日の振替」と、出勤したあとで別の日を休みにする「代休」では、割増賃金の扱いが変わります。この記事は、厚生労働省のよくある質問と群馬労働局のリーフレット、e-Govの労働基準法第35条・第37条を読み、訪問介護事業所の勤務表に当てはめるための違いを整理したものです。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

休日の振替と代休の違い

厚生労働省のよくある質問は、休日の振替を、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることと説明しています。もとの休日は労働日になるので休日労働にならず、休日労働の割増賃金を支払う義務も発生しません。

代休は、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものです。前もって休日を振り替えたことにはならないため、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。休みを後から与えても、休日に働いた事実は消えません。

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や労務担当者が、法定休日にヘルパーへ出勤を頼むとき、休日の振替と代休で割増賃金の扱いがどう変わるか、振替に必要な措置は何かを、厚生労働省と労働局の資料で確かめるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、休日出勤の振替・代休の判断メモ(就業規則の振替規程・振替休日の日付と通知日・出勤週の労働時間・代休の賃金の差し引き)を作成できる状態を目指します。

休日の振替を行うときの4つの措置

群馬労働局のリーフレットは、休日の振替を行う場合に必要な措置を4つ挙げています。就業規則に振替休日の規程を置くこと、振替休日を特定すること、4週4日の休日が確保される範囲でできるだけ近接した日にすること、休日労働を行う前日までに通知することです。

休日は原則として毎週1日以上(法定休日)与える必要があり、例外として4週間に4日以上の休日を与えることもできます(労働基準法第35条)。完全週休2日制の場合、法定休日は2回の休日のうちいずれかの日です。訪問介護の勤務表で法定休日をどの日に置いているかは、訪問介護事業所の法定休日:勤務表と実績の確認手順で確認できます。

賃金の違い:振替は割増なし、代休は3割5分

次の表は、群馬労働局のリーフレットの内容を並べたものです。法定休日の割増率は、労働基準法第37条に基づく政令で3割5分と定められています。

ただし、休日の振替でも、出勤した結果として週の法定労働時間を超える場合は、時間外労働の割増賃金(2割5分)が必要です。リーフレットの例では、日曜日に出勤し、その前の平日に振替休日を取った場合の日曜日から金曜日までの労働が40時間を超えれば、超えた分に2割5分の割増が付きます。週の法定労働時間は特例事業場では44時間と書かれていますが、事業所が当たるかどうかは労働基準監督署に確認します。

休日の振替と代休の賃金の違い(群馬労働局のリーフレットから)
項目休日の振替代休
休みを決めるタイミング休日労働の前に、休日と労働日を入れ替える休日に働いたあとで、以後の労働日を休みにする
もとの休日に出勤した日通常の労働日になるので、休日の割増賃金は不要休日労働になるので、3割5分の割増賃金が必要
出勤した週の労働時間が週の法定労働時間を超えたとき超えた分に時間外労働の割増賃金(2割5分)が必要休日労働の割増賃金(3割5分)が必要

代休の賃金の差し引きの例

リーフレットの例は、土曜日・日曜日が所定休日で、日曜日が法定休日の事業所です。賃金締切日は末日で、7月15日の日曜日に出勤した分として135%の賃金が発生します。同じ月の17日の火曜日に代休を取ると、代休の日の賃金100%を差し引けるので、支払うのは35%の割増賃金になります。

差し引けるのは、同じ賃金算定期間内に代休を取得した場合で、完全月給制は除かれます。代休を月をまたいで与える場合や、月給制の賃金から何を引けるかは、就業規則の定めと給与規程の内容に左右されます。個別の事業所での扱いは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認します。

訪問介護事業所の勤務表での使い分け(運用の例)

次の表は、上の資料に合わせた確認の例で、国が定めた様式ではありません。利用者の急な依頼や欠員で、ヘルパーに休日の出勤を頼む場面を想定しています。

休日の出勤を頼むときの確認の例(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる資料
就業規則に、休日の振替ができる旨と手続きを書いているかリーフレットの措置①(就業規則に規程を置く)
出勤を頼む前日までに、振替休日の日付を特定して本人に伝え、記録に残したかリーフレットの措置②・④(特定する、前日までに通知する)
振替休日が、4週4日の休日が確保できる範囲で近い日になっているかリーフレットの措置③
出勤日を含む週の労働時間が、週の法定労働時間を超えていないかリーフレットの例(振替でも週40時間超は2割5分)
前日までに振替を決められず、後日休みを与えるときは、休日労働の割増賃金を計算に入れたか厚生労働省のよくある質問(代休は割増賃金が必要)

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、厚生労働省のよくある質問「振替休日と代休の違いは何か」、群馬労働局の「代休・休日の振替の適正運用について」、e-Govの労働基準法第35条・第37条を読んで書きました。法令や通達は改正されることがあるため、実際に運用する前に最新の内容を確認します。

割増賃金の計算の基礎になる賃金の範囲、深夜や月60時間超の割増との重なり、特例事業場に訪問介護が当たるかどうかは、この記事では扱っていません。割増率と基礎賃金は訪問介護事業所の割増賃金:時間外・休日・深夜の割増率と、計算の基礎に入れない手当、就業規則の作成は訪問介護事業所の就業規則と36協定:作成・届出が必要な人数、意見聴取、周知の方法で確認できます。個別の事業所が適法かどうかは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 就業規則に、休日の振替ができる旨と手続きを定めているかを確認する。定めがなければ、休日の出勤を頼む前に、就業規則の見直しを社会保険労務士や労働基準監督署に相談する
  2. ヘルパーに休日の出勤を頼むときは、出勤日の前日までに振替休日の日付を特定して伝え、通知した日と内容を記録する。振替休日は、4週4日の休日が確保できる範囲でできるだけ近い日にする
  3. 出勤した日を含む週の労働時間を勤務実績で確かめ、週の法定労働時間を超えた分があれば、時間外労働の割増賃金(2割5分)の対象として給与計算に回す
  4. 前日までに振替を決められず、出勤のあとで休みを与える場合は、代休として扱う。休日労働の割増賃金(3割5分)を支払い、同じ賃金算定期間内に取得した代休の日の賃金を差し引けるかは、就業規則と給与規程で確かめる

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

休日の振替と代休では、割増賃金がどう変わりますか?

厚生労働省のよくある質問によると、休日の振替ではもとの休日が労働日になるため休日労働にならず、休日労働の割増賃金を支払う義務は発生しません。代休は休日労働を行ったあとに別の日を休みにするもので、休日労働分の割増賃金の支払いが必要です。ただし振替でも、出勤した週の労働時間が週の法定労働時間を超えれば、時間外労働の割増賃金(2割5分)が必要です。

休日の振替をするとき、どんな措置が必要ですか?

群馬労働局のリーフレットは、就業規則に振替休日の規程を置くこと、振替休日を特定すること、4週4日の休日が確保される範囲でできるだけ近接した日とすること、休日労働を行う前日までに通知することの4つを挙げています。個別の事業所の運用が適切かどうかは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

代休を取らせたとき、その日の賃金は差し引けますか?

群馬労働局のリーフレットによると、同じ賃金算定期間内に代休を取得した場合は、休日労働の135%のうち100%の部分を差し引くことができ、支払うのは35%の割増賃金になります。完全月給制は除かれます。月をまたぐ場合や月給制の取扱いは就業規則と給与規程に左右されるため、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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