運営 / 更新 2026-10-22
介護保険の住宅改修費:生涯20万円・6種類の工事・事前申請が原則
介護保険の住宅改修費は、手すりの取付けなど6種類の工事が対象で、支給限度基準額は生涯20万円です。原則として工事の前に市町村へ申請書を出し、工事の完成後に領収書等を提出して保険給付を受けます。訪問介護員は工事を決める立場ではありませんが、利用者宅の動作の困りごとに気づく立場で、ケアマネジャーへの連絡の材料になります。
根拠は厚生労働省の審議会資料
このページが根拠にしているのは、社会保障審議会介護給付費分科会 第259回(令和8年6月29日)の資料7「福祉用具・住宅改修」の、介護保険における住宅改修の概要の部分です。
審議会の説明資料で、通知や告示そのものではありません。申請書や理由書の様式、受領委任払いの取扱いは、資料に載っていません。
この記事で決めること
介護保険の住宅改修費の支給について、対象となる6種類の工事、生涯20万円の支給限度基準額と給付割合、事前に市町村へ申請する流れとやむを得ない場合の事後申請、限度額が再設定される場合を、厚生労働省の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、住宅改修の連絡メモ(利用者の気づき、転倒や動作の困りごとの場所、ケアマネジャーへ伝えた日、工事の種類の候補、事前申請の有無、見積書の取得状況、これまでの住宅改修の利用有無)を作成できる状態を目指します。
住宅改修の対象になる6種類の工事
資料は、在宅介護を重視し、高齢者の自立を支援する観点から、福祉用具の導入の際に必要となる段差の解消や手すりの設置などの住宅改修を保険給付の対象としていると説明しています。
対象は、手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、これらに付帯して必要となる住宅改修の6種類です。個別の工事が対象に当たるかは、ケアマネジャーと保険者に確認してください。
支給限度基準額は生涯20万円
支給限度基準額は、要支援・要介護の区分にかかわらず、生涯20万円の定額です。資料は、住宅改修が個人資産の形成につながる面があることと、賃貸住宅等に居住する高齢者との均衡を考慮したと説明しています。
保険給付は原則9割で上限18万円、所得に応じて8割で上限16万円、7割で上限14万円です。限度額の範囲内であれば、複数回に分けて申請することもできます。
要介護状態区分が重くなったとき(資料は三段階上昇時と記載)と、転居した場合は、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。
事前申請から保険給付までの流れ
住宅改修を行うときは、住宅改修が必要な理由書等の必要な書類を添えて、事前に市町村へ申請書を提出します。工事の完成後に領収書等を提出すると、保険給付されます。
やむを得ない事情がある場合には、工事完成後に申請することも可能とされています。資料は、平成27年度に事前申請時の見積書類の様式を国が示し、複数の事業者から見積もりを取ることを介護支援専門員等が利用者に説明する義務が規定されたことも記載しています。
申請書や理由書の様式、提出期限、添付書類は市町村ごとに異なる場合があります。工事の前に保険者の案内を確認してください。
訪問介護事業所が押さえておきたいこと
訪問介護員は住宅改修の要否や工事の内容を判断する立場ではありませんが、段差、手すりが必要な場所、便器や扉まわりでの動作の困りごとに気づく立場です。気づいた場所と動作の様子を支援記録に残し、ケアマネジャーへ伝える流れを決めておくのは、事業所の運用の一例です。
伝え先の整理は訪問介護の変化の伝え先早見表(ケアマネ・主治医・訪問看護・福祉用具・住宅改修)で確認できます。福祉用具との組み合わせは軽度者の福祉用具貸与:車いす・特殊寝台など7種目は原則対象外、例外給付ありと福祉用具の選定の判断基準で訪問介護員に求められること(老高発0802第2号)で整理しています。
このページで扱わないこと
このページは厚生労働省の審議会資料の要約です。個別の利用者の工事が支給の対象になるか、限度額が残っているかは、保険者とケアマネジャーが判断します。個別の利用者への助言や、給付の可否の判定ではありません。
市町村ごとの申請書・理由書の様式、受領委任払いの取扱い、工事の設計や業者の選び方は、このページでは確認していません。保険者の案内で確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問時に、段差、手すりが必要な場所、便器や扉まわりでの動作の困りごとに気づいたら、場所と動作の様子を支援記録に残す
- 手すりの取付け、段差の解消、床や通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替えのどれに近いかを整理し、ケアマネジャーへ伝える日と方法を決める
- 工事の前に市町村へ事前申請が必要であること、やむを得ない事情がある場合だけ工事完成後の申請も可能なことを、利用者・家族への案内で確認する
- 生涯20万円の支給限度基準額に対し、これまでの利用の有無を利用者と家族に確認する材料を用意し、限度額の扱いは保険者に確認する
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
介護保険の住宅改修費はいくらまで支給されますか?
厚生労働省の審議会資料によると、支給限度基準額は生涯20万円で、要支援・要介護の区分にかかわらず定額です。保険給付は原則9割で上限18万円、所得に応じて8割で上限16万円、7割で上限14万円です。限度額の範囲内であれば、複数回に分けて申請することもできます。
住宅改修の対象になる工事は何ですか?
審議会資料は、手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、これらに付帯して必要となる住宅改修の6種類を挙げています。個別の工事が対象かどうかは、ケアマネジャーと保険者に確認してください。
住宅改修は工事の前に申請が必要ですか?
審議会資料によると、住宅改修が必要な理由書等の書類を添えて、事前に市町村へ申請書を提出し、工事完成後に領収書等を提出することで保険給付されます。やむを得ない事情がある場合には、工事完成後に申請することも可能とされています。申請書や理由書の様式は市町村ごとに異なるため、保険者の案内で確認してください。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修(社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料7・令和8年6月29日)」(「福祉用具の貸与価格の上限設定の考え方」、福祉用具貸与の給付の仕組み(現に要した費用)、制度改正の経緯(平成30年度・令和3年度)、介護保険における住宅改修の概要(住宅改修の概要・種類・支給限度基準額))(確認日 2026-10-22)