運営 / 更新 2026-10-22
軽度者の福祉用具貸与:車いす・特殊寝台など7種目は原則対象外、例外給付あり
要支援1・2と要介護1の軽度者は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置の7種目が、原則として福祉用具貸与の給付対象外です。ただし、厚生労働大臣が定める告示に当たる人は、基本調査の結果やケアマネジメント、市町村の確認によって、例外的に給付されることがあります。
根拠は厚生労働省の説明資料
このページが根拠にしているのは、厚生労働省の説明資料「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」です。原則対象外となる種目、基本調査結果に基づく判断、市町村による判断、別表が載っています。
告示や通知そのものではなく、その内容を整理した説明資料で、資料に発出日の記載はありません。個別の判断では、保険者の案内とケアマネジャーの確認を重ねてください。
この記事で決めること
要支援1・2と要介護1の軽度者に対して、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置が原則として福祉用具貸与の給付対象外となる仕組みと、基本調査結果または市町村の確認による例外給付の判断の流れを、厚生労働省の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、軽度者の福祉用具貸与の確認表(利用者の要介護度、貸与する種目、該当する告示の区分、根拠にした基本調査項目または医師の所見、サービス担当者会議の日、市町村への確認の有無と日付、居宅サービス計画書に記載された理由の見直し日)を作成できる状態を目指します。
軽度者に原則給付されない7種目
資料は、要支援・要介護1の者(軽度者)に対する次の種目について、介護保険給付は原則対象外としています。車いす(付属品を含む)、特殊寝台(付属品を含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置の7つです。
自動排泄処理装置は、尿のみを自動的に吸引するものを除き、要介護2及び要介護3の者も原則給付の対象外です。資料は要支援・要介護1の軽度者について述べており、要介護2以上の扱いは、この自動排泄処理装置の注記以外には記載がありません。
例外給付が認められる2つの判断の道筋
例外的に給付が可能なのは、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者です。資料は、要介護認定における基本調査結果に基づく判断があった場合、または市町村が医師の所見・ケアマネジメントの判断等を書面等で確認の上、要否を判断した場合を挙げています。
基本調査結果に基づく判断では、別表のとおり要否を判断します。車いすの「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」と、移動用リフトの「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」は、該当する基本調査結果がありません。この2つは、主治の医師から得た情報と、福祉用具専門相談員のほか軽度者の状態像について助言が可能な者が参加するサービス担当者会議等を通じたケアマネジメントにより、指定居宅介護支援事業者が判断します。
この2つの判断の見直しは、居宅サービス計画に記載された必要な理由を見直す頻度(必要に応じて随時)で行うとされています。
別表で種目ごとに挙げられた対象者
車いすは、日常的に歩行が困難な者(基本調査1-7で「できない」)か、日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者です。特殊寝台は、日常的に起きあがりが困難な者(1-4)か、日常的に寝返りが困難な者(1-3)で、床ずれ防止用具と体位変換器は、日常的に寝返りが困難な者(1-3で「できない」)です。
認知症老人徘徊感知機器は、意見の伝達や記憶・理解に支障がある者で、かつ移動において全介助を必要としない者の両方に当たる場合です。主治医意見書に認知症の症状がある旨の記載がある場合も含まれます。
移動用リフトは、日常的に立ち上がりが困難な者(1-8)、移乗で一部介助または全介助を必要とする者(2-1)、生活環境において段差の解消が必要と認められる者のいずれかです。自動排泄処理装置は、排便(2-6)と移乗(2-1)の両方で全介助を必要とする者です。
市町村が書面等で確認する3つの類型
次のⅰ)からⅲ)までのいずれかに該当する旨が医師の医学的な所見に基づき判断され、サービス担当者会議等を通じたケアマネジメントにより福祉用具貸与が特に必要と判断されている場合は、市町村が書面等で確認して要否を判断します。
ⅰ)は、疾病その他の原因により状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって別表の対象者に当たる場合で、資料はパーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象を例に挙げています。ⅱ)は、状態が急速に悪化し、短期間のうちに別表の対象者に当たることが確実に見込まれる場合で、例はがん末期の急速な状態悪化です。ⅲ)は、身体への重大な危険性や症状の重篤化の回避等の医学的判断から別表の対象者に当たると判断できる場合で、例はぜんそく発作等による呼吸不全、心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避です。
届出書の様式、提出期限、添付書類は市町村ごとに異なります。資料にも載っていないため、保険者の案内で確認が必要です。
訪問介護事業所が押さえておきたいこと
訪問介護員は福祉用具の貸与を判断する立場ではありませんが、利用者宅で状態の変化に気づく立場です。起きあがりや寝返り、歩行、立ち上がり、移乗の様子の変化は、ケアマネジャーが居宅サービス計画の理由を見直す材料になります。
気づいた点を支援記録に残し、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員へ伝える流れを決めておくのは、事業所の運用の一例です。資料は、サービス担当者会議に参加する助言可能な者の範囲を示していません。
福祉用具に関わる専門職としての訪問介護員の位置づけと貸与・販売の選択制は福祉用具の選定の判断基準で訪問介護員に求められること(老高発0802第2号)で整理しています。貸与価格の上限は福祉用具貸与の価格の上限:月平均100件以上の商品は全国平均貸与価格+1標準偏差で確認できます。
このページで扱わないこと
個々の利用者が例外給付に当たるかどうかは、基本調査の結果、医師の所見、サービス担当者会議の内容、市町村の確認で決まります。このページは厚生労働省の説明資料の要約で、個別の利用者への助言や、給付の可否の判定ではありません。
基本調査の選び方、市町村ごとの届出書の様式と提出期限は、このページでは確認していません。保険者の案内とケアマネジャーに確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 要支援1・2または要介護1の利用者に車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置のいずれかを貸与する前に、種目が原則給付対象外に当たるかを確認表に記録する
- 別表の対象者に当たるかを、基本調査結果で判断できる種目と、ケアマネジメントや医師の所見で判断する種目(車いすの移動支援、移動用リフトの段差解消)に分けて確認し、根拠にした項目と資料を記録する
- 状態が変動しやすい、急速に悪化する、医学的判断で重篤化を避ける必要があるといった事情がある場合は、医師の医学的な所見とサービス担当者会議の記録をそろえ、保険者への確認の要否と手続きを窓口で確認する
- 居宅サービス計画書に記載された必要な理由を見直す頻度に合わせて、状態の変化を確認する日と連絡先(ケアマネジャーと福祉用具専門相談員)を決める
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
要介護1の人は車いすや特殊寝台を介護保険で借りられますか?
原則として借りられません。厚生労働省の資料によると、要支援1・2と要介護1の軽度者は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置が原則給付対象外です。ただし、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者は、例外的に給付が可能です。
例外的に給付されるのは、どのように判断されますか?
要介護認定の基本調査結果が別表の項目に当たる場合は、その結果に基づいて判断します。車いすの移動支援と移動用リフトの段差解消は該当する基本調査結果がなく、主治の医師から得た情報とサービス担当者会議等を通じたケアマネジメントで、指定居宅介護支援事業者が判断します。医師の所見に基づく場合は、市町村が書面等で確認して要否を判断します。
自動排泄処理装置は要介護2・3でも対象外ですか?
厚生労働省の資料によると、自動排泄処理装置は、尿のみを自動的に吸引するものを除き、要介護2・3の人も原則給付の対象外です。要支援・要介護1の別表では、排便と移乗の両方で全介助を必要とする者が対象者に挙げられています。個別の判断は、ケアマネジャーと保険者に確認してください。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(軽度者が原則給付対象外となる福祉用具、要介護認定における基本調査結果に基づく判断、市町村による判断のⅰ)〜ⅲ)、別表(要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与の判断))(確認日 2026-10-22)