運営 / 更新 2026-10-22
福祉用具の選定の判断基準で訪問介護員に求められること(老高発0802第2号)
訪問介護員は、福祉用具に関わる専門職として、ケアマネジャーに助言する立場に置かれています。令和6年8月2日の通知(老高発0802第2号)は、サービス担当者会議などでの助言を求め、使い方の説明の対象としても訪問介護員を挙げています。福祉用具を選ぶのはケアマネジメントで、訪問介護員が決めるものではありません。
根拠は令和6年8月2日の通知(老高発0802第2号)
根拠は、令和6年8月2日の厚生労働省の通知です。老健局高齢者支援課長が各都道府県・指定都市の介護保険主管部(局)長に出した「介護保険における福祉用具の選定の判断基準について」(介護保険最新情報Vol.1296)で、平成16年6月17日の老振発第0617001号は、この通知の適用で廃止されました。
この通知は地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言です。福祉用具の特性と利用者の心身の状況が合った選定を進めるための標準的な目安で、通知自体が個別の利用者に福祉用具の使用を指示するものではありません。
この記事で決めること
令和6年8月2日の厚生労働省老健局高齢者支援課長通知(老高発0802第2号)が、福祉用具に関わる専門職として訪問介護員をどう位置づけているか、福祉用具の使い方の説明を受けた後に訪問介護員が何を確認すればよいか、貸与と販売の選択制の対象となる種目を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、福祉用具の利用状況確認メモ(利用者の氏名、使っている福祉用具の種目と事業者、使い方の説明を受けた日と相手、訪問時に確認した使用状況、不具合やヒヤリハットの内容、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員に伝えた日と相手、選択制の対象種目の貸与・販売の別)を作成できる状態を目指します。
訪問介護員は福祉用具に関わる専門職に含まれる
通知の記の3は、訪問介護員にも福祉用具の助言を求めています。対象は、福祉用具専門相談員をはじめ、医師、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、訪問介護員等の福祉用具に関わる専門職が、判断基準の「留意点」や「参考情報」を参照しながら、サービス担当者会議その他の機会を通じて、利用者の状態像やその変化、介護者の介護力、居住環境等を踏まえ、介護支援専門員に専門的な見地から助言やサービス提供を行うこととされています。
福祉用具を居宅サービス計画に位置付けるのは介護支援専門員です。記の2は、判断基準に示された「使用が想定しにくい状態像」などに当たる場合に、サービス担当者会議などで様々な専門職から意見を求めて妥当性を検討するとしています。日々の動作を見ている訪問介護員の気づきは、この意見の材料になります。
連絡の取り方や記録の残し方は訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告で確認できます。
使い方の説明を受け、日々の使用状況を見る
別紙の「事故・ヒヤリハットの防止」は、福祉用具の事故やヒヤリハットが、利用者の状態像と機器が合っていないこと、使い方や機器の不具合などで起きているとしています。このため福祉用具専門相談員は、使用方法や使用上の留意事項を利用者の家族や訪問介護員等に十分に説明し、実際に使わせながら指導して、安全に使えることを確認することが重要とされています。
利用者に関わる専門職は、それぞれのサービス提供時の事故防止に留意し、福祉用具を提供した後に適切でない使い方をしていないか、不具合が生じていないかを念頭に、日々の使用状況を確認することが望ましいとされています。確認が望ましいとされているのであって、点検や修理を訪問介護員の仕事とするものではありません。
通知にはない運用の提案ですが、事業所としては、説明を受けた日と相手、訪問時に気づいた使用状況、不具合やヒヤリハットを支援記録に残し、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に伝える流れを決めておくと、サービス担当者会議で意見を求められたときに答えやすくなります。伝え先の整理は訪問介護の変化の伝え先早見表(ケアマネ・主治医・訪問看護・福祉用具・住宅改修)にあります。
貸与と販売の選択制の対象種目
令和6年4月から、貸与と特定福祉用具販売のどちらかを選べる種目が追加されました。別紙によると、対象は次の3種目です。
固定用スロープは、主に敷居などの小さい段差の解消に使い、頻繁な持ち運びを要しないもので、設置や撤去、持ち運びができる可搬型は除かれます。歩行器は、脚部がすべて杖先ゴム等の形状の固定式または交互式で、車輪やキャスターが付いた歩行車は除かれます。歩行補助つえは、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限り、松葉づえは除かれます。
介護支援専門員または福祉用具専門相談員は、利用者に貸与と販売を選べることを十分に説明し、医師や専門職の意見、利用者の身体状況などを踏まえた提案を行います。選ぶのは利用者です。貸与を選んだ場合、福祉用具専門相談員は利用開始後6か月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、利用の必要性を確認することとされています。
通知上、貸与か販売かを提案する主体は介護支援専門員または福祉用具専門相談員です。利用者や家族から「借りるのと買うのとどちらがよいか」と聞かれたときは、選択肢があることを伝え、ケアマネジャーか福祉用具専門相談員に相談するよう案内します。貸与する事業所側の基準は福祉用具貸与事業所の指定基準:専門相談員の員数・管理者・設備(基準第194条〜第196条)にあります。
このページで扱わないこと
個々の福祉用具を利用者に使ってよいか、どの種目が合うかは、医学的・リハビリ的な判断を含むため、ケアマネジャー、医師、リハビリ専門職、福祉用具専門相談員に確認してください。このページは厚生労働省の通知の要約で、個別の利用者への助言ではありません。
貸与価格の上限や特定福祉用具販売の購入費の扱いは、このページでは確認していません。必要な場合は、厚生労働省の福祉用具・住宅改修のページと保険者の案内で確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者が使っている福祉用具の種目と貸与・販売の別、担当の福祉用具専門相談員の連絡先を、ケアマネジャーに確認して支援記録に残す
- 新しい福祉用具が入ったときは、福祉用具専門相談員から家族や訪問介護員向けの使い方の説明を受け、実際に使いながら安全に使えることを確認した日と相手を記録する
- 訪問のたびに、利用者が適切でない使い方をしていないか、不具合が出ていないかを見て、気づいた点を支援記録に残す手順を作る
- 状態の変化、不具合、ヒヤリハットに気づいたときは、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に伝える連絡先と様式を決め、サービス担当者会議で意見を求められたときに答えられるよう記録をまとめておく
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
福祉用具の選び方に、訪問介護員が意見を言ってよいのですか?
令和6年8月2日の老高発0802第2号は、福祉用具専門相談員、医師、看護師、OT・PT・ST、訪問介護員等の福祉用具に関わる専門職が、サービス担当者会議その他の機会を通じて、介護支援専門員に専門的な見地から助言やサービス提供を行うこととしています。福祉用具を決めるのはケアマネジメントですが、利用者の日々の様子を知る訪問介護員も助言する立場に置かれています。
貸与と販売を選べるようになった福祉用具は何ですか?
令和6年4月から、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、歩行補助つえ(カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖に限り、松葉づえは除く)が、貸与と特定福祉用具販売の選択制の対象です。介護支援専門員または福祉用具専門相談員が、選べることを十分に説明して提案します。選ぶのは利用者で、訪問介護員が決める事項ではありません。
福祉用具の使い方は、訪問介護員も説明を受けるのですか?
通知の別紙は、福祉用具専門相談員が使用方法や使用上の留意事項を利用者の家族や訪問介護員等に十分に説明し、実際に使わせながら指導して安全に使えることを確認することが重要としています。利用者に関わる専門職は、日々の使用状況を確認することが望ましいとされています。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護保険における福祉用具の選定の判断基準について(令和6年8月2日 老高発0802第2号・介護保険最新情報Vol.1296)」(通知本文の記の1〜3、別紙「Ⅲ 種目全般に係る留意点」の貸与と販売の選択制について・事故・ヒヤリハットの防止、はしがきの注(福祉用具に関わる専門職に訪問介護員を含む))(確認日 2026-10-22)