運営 / 更新 2026-10-22

在宅酸素・人工呼吸器の利用者に訪問介護員ができること(医政発1201第4号)

酸素吸入の開始と停止は、医師、看護職員または本人が行います。訪問介護員が原則として行えるのは、マスクを装着していない状況での医師の指示どおりの流量の設定、酸素を流入していない状況でのマスクの準備、酸素離脱後の片付け、加湿瓶の蒸留水の交換などです。人工呼吸器の利用者の体位変換では、医師または看護職員の立会いの下で人工呼吸器の位置を変更します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

根拠は令和4年12月1日の通知(医政発1201第4号)

根拠は、厚生労働省医政局長が各都道府県知事あてに出した令和4年12月1日の通知です。題名は「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」で、介護現場で実施されることが多い行為のうち、原則として医行為ではないと考えられるものを別紙に列挙しています。在宅酸素療法と在宅人工呼吸器に関する行為は、別紙の8から10と注1にあります。

同じ通知のインスリン注射や血糖値の確認は訪問介護員ができるインスリン注射・血糖測定の介助:医政発1201第4号の範囲と異常値の報告で整理しています。

この記事で決めること

在宅酸素療法や在宅人工呼吸器を使う利用者の訪問介護で、酸素流量の設定、酸素マスクや経鼻カニューレの準備と片付け、ずれたマスクを戻すこと、加湿瓶の蒸留水の交換、体位変換のときの人工呼吸器の位置の変更を、訪問介護員がどこまで行えるかを令和4年12月1日の厚生労働省医政局長通知で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、在宅酸素・人工呼吸器の利用者の確認メモ(利用者の氏名、医師から指示された酸素流量、酸素を使う場面、訪問介護員が行う範囲と行わない範囲、ずれたマスクを戻してよい利用者の区分、人工呼吸器の体位変換で立ち会う医師または看護職員、急変時の連絡先、確認した日と相手)を作成できる状態を目指します。

酸素流量の設定とマスクの準備・片付け(別紙8)

別紙の8が挙げるのは、酸素が流れていない間の準備と片付けです。在宅酸素療法を実施していて患者が援助を必要としている場合に、患者が酸素マスクや経鼻カニューレを装着していない状況での、あらかじめ医師から指示された酸素流量の設定と、酸素を流入していない状況での酸素マスクや経鼻カニューレの装着などの準備、酸素離脱後の片付けを、医行為ではない行為として挙げています。

ただし書きがあります。酸素吸入の開始(流入が開始している酸素マスクや経鼻カニューレの装着を含む)や停止(吸入中のマスクやカニューレの除去を含む)は、医師、看護職員または患者本人が行うこととされています。

流量は、医師から指示された値を設定するもので、訪問介護員が自分で決めるものではありません。

ずれたマスクを元の位置に戻す(注1)

注1は、酸素流入中のマスクや経鼻カニューレがずれ、次のいずれかに当たる患者が一時的に酸素から離脱したとみられる場合に、元の位置に戻すことも、原則として規制の対象とする必要がないとしています。1つは肢体不自由等により自力でマスクやカニューレを戻すことが困難な患者、もう1つは睡眠中や意識がない状態で自力で戻すことが困難な患者です。

この2つの区分に当たる利用者かどうかは、訪問介護員が現場で判断するより、あらかじめ医師・看護職員に確認して支援記録に残しておくほうが安全です。区分に当たらない利用者について、通知は同じ扱いを示していません。

加湿瓶の蒸留水の交換と機器の拭き取り(別紙9)

別紙の9は、酸素供給装置の加湿瓶の蒸留水を交換する、機器の拭き取りを行うなど、機械の使用に係る環境の整備を、医行為ではない行為として挙げています。酸素を扱う機器まわりの掃除や水の交換は、この範囲で行えます。

人工呼吸器の利用者の体位変換(別紙10)

別紙の10は、在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、医師または看護職員の立会いの下で、人工呼吸器の位置の変更を行うことを挙げています。立会いなしで行えるとは書かれていません。通知には書かれていませんが、立ち会う人、位置を変えるときの手順、呼吸器の警報が鳴ったときの連絡先は、あらかじめ医師・看護職員に確認しておくと安全です。

痰の吸引や経管栄養そのものを訪問介護員が行うには、別の研修と登録の枠組みがあります。認定特定行為業務従事者が訪問介護で喀痰吸引等を行うための実施体制で確認できます。

条件と事業所で決めておくこと

注2は、これらの行為は原則として医行為ではないと考えられるものの、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得るとしています。このため、サービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて医師、歯科医師または看護職員に、専門的な管理が必要な状態かどうかを確認することが考えられるとし、病状の急変が生じたときは、医師、歯科医師または看護職員に連絡するなど速やかな措置を求めています。

注3は、患者本人や家族への分かりやすい説明と、必要に応じた書面等での指示を受けることを望ましいとしています。注4は、実施者への一定の研修や訓練が行われることが望ましいとし、事業者には安全に行われるよう監督することを求めています。

実務では、利用者ごとに、医師から指示された酸素流量、訪問介護員が行う範囲と行わない範囲、急変時の連絡先を支援記録に残します。医行為ではない行為の一覧は医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件で確認できます。

このページは厚生労働省の通知の要約で、個別の利用者への医療的な指示ではありません。注5のとおり、事故が起きた場合の刑事上・民事上の責任は別途判断されます。個別の利用者の対応は、主治医・看護職員に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 在宅酸素療法や在宅人工呼吸器を使う利用者について、医師から指示された酸素流量、使う場面、訪問介護員が援助してよい内容を、ケアマネジャーや訪問看護から書面等で確認して支援記録に残す
  2. サービス担当者会議などで、病状が不安定で専門的な管理が必要な状態でないかを医師・看護職員に確認し、酸素の開始と停止は医師・看護職員・本人が行うことを訪問介護員に伝える
  3. 酸素を流入していないときの流量の設定とマスクの準備、酸素離脱後の片付け、加湿瓶の蒸留水の交換や機器の拭き取りを行う範囲として整理し、人工呼吸器の利用者の体位変換は医師または看護職員の立会いの下で行う手順にする
  4. ずれたマスクを戻す場合は、自力で戻せない利用者に当たるかを確認して記録し、病状の急変時の連絡先(医師・歯科医師・看護職員)と連絡の順番を決めて、連絡した相手と時刻を記録する様式を用意する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

酸素吸入中にマスクがずれたら、ヘルパーは戻してよいですか?

令和4年12月1日の通知(医政発1201第4号)の注1は、酸素流入中のマスクや経鼻カニューレがずれて一時的に酸素から離脱したとみられる場合に、元の位置に戻すことも原則として規制の対象とする必要がないとしています。対象は、肢体不自由等により自力で戻すことが困難な患者と、睡眠中や意識がない状態で自力で戻すことが困難な患者の2つです。

酸素吸入の開始や停止は、ヘルパーがしてよいですか?

通知の別紙8は、酸素吸入の開始(流入が開始しているマスクやカニューレの装着を含む)や停止(吸入中のマスクやカニューレの除去を含む)は、医師、看護職員または患者本人が行うこととしています。訪問介護員が行える範囲として挙げているのは、マスクなどを装着していない状況での医師の指示どおりの流量の設定、酸素を流入していない状況でのマスクなどの準備、酸素離脱後の片付けです。

人工呼吸器を使っている利用者の体位変換に、ヘルパーは入れますか?

通知の別紙10は、在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、医師または看護職員の立会いの下で、人工呼吸器の位置の変更を行うことを挙げています。立会いなしで行えるとは書かれていないため、立会う人と手順をあらかじめ医師・看護職員に確認します。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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