運営 / 更新 2026-10-24

訪問介護の重要事項説明書で利用者が署名できないとき:代筆者欄と代筆理由の書き方

重要事項説明書の同意欄に、利用者本人が署名できない場合があり、手の震えや認知症などで家族が代わりに書くことがあります。国の運営基準(平成11年厚生省令第37号)の条文には「代筆」も「署名」も出てきませんが、運営指導では代筆の扱いが指摘されています。函館市と津山市の資料から、代筆者欄に何を書くかを整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

国の条文が求めるのは同意で、代筆の書き方は書かれていない

運営基準の第8条第1項は、提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者またはその家族に重要事項を記した文書を交付して説明し、提供の開始について利用申込者の同意を得なければならないと定めています。説明の相手は利用申込者またはその家族ですが、同意を得る相手は利用申込者です。

2026年10月24日にe-Govの同省令の本則を検索したところ、「代筆」と「署名」を含む条は0件でした。代筆者をどう記載するかは、条文からは決まりません。次の節の記載は、市が運営指導や集団指導で示した内容で、国の通知ではありません。

同意の書面の位置づけは訪問介護の重要事項説明書で整理しています。

この記事で決めること

訪問介護で、重要事項説明書の同意欄に利用者本人が署名できない場合に、家族などが代筆するときの代筆者欄・代筆理由の書き方と、運営指導で指摘された点を知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、同意欄の点検表(1枚):署名できない利用者ごとに、代筆者の氏名と続柄、代筆の理由、説明者の氏名、同意日、指定権者に確かめた日と回答を作成できる状態を目指します。

函館市の指摘:代筆者欄を設け、代筆の理由が分かるようにする

函館市の令和7年度介護保険施設等集団指導(令和8年3月26日)の資料は、運営指導の主な指摘事項として、「重要事項説明書等に代筆者が代筆する場合の取扱が適切でない」を挙げています。指摘の内容は、特段の理由がある場合は利用者の本人欄に代筆者が代筆しても差し支えないが、代筆者欄を設けるなどして、代筆者および代筆理由(手の震えや認知症など)がわかるようにすること、です。

前の年度(令和6年度、令和7年3月26日)の資料には、事例「重要事項説明書や契約書に代筆者欄がなかった」と、次の指摘があります。法定代理人であれば利用者の本人欄に代筆していても構わないが、親族や友人等が代筆する場合は、代筆者欄を設け、代筆理由が分かる様式にしてください、というものです。

2年分の資料を合わせると、書き分けの考え方は3点です。代筆者が誰なのかが書面で分かること、代筆の理由が書面で分かること、法定代理人か親族・友人かで求める書き方が違うことです。法定代理人の範囲や、代筆者欄の具体的な様式は、資料には書かれていません。

津山市の記載例:家族が利用者名を記名押印し、代筆者の氏名も書く

津山市の令和4年度集団指導の資料は、「利用者が自分で署名ができない場合は、家族が利用者名を記名押印し、代筆者の氏名も同意した書面に記す」と示しています。記載例は、同意文の「以上の説明を受けその内容に同意し、重要事項説明書について交付を受けました。」の下に、日付、利用者の氏名と押印、その下に「代筆者」と氏名を書く形です。

同じ資料の指摘事例には、「家族の同意を得ている(利用者の同意の記録がない)」もあります。家族が説明を受けた場合でも、同意の記録は利用者の同意として残る形にする、という読み方になります。津山市の資料は、同意を得たことが確認できるよう、できる限り書面で同意を得ることも求めています。

代筆に関する2市の資料の比べ方(2026-10-24確認)
函館市(令和6・7年度)津山市(令和4年度)
求めていること代筆者欄を設ける。代筆者と代筆理由が分かるようにする家族が利用者名を記名押印し、代筆者の氏名も書面に記す
理由の例手の震え、認知症など資料に理由の例は書かれていない
法定代理人の扱い令和6年度の資料で、本人欄に代筆していても構わないとする資料に書かれていない

変更したときの同意と、説明者の氏名

津山市の資料は、運営規程を変更した場合は重要事項説明書も合わせて変更し、変更箇所について利用者またはその家族に文書を交付して説明し、利用者の同意を得る必要があるとしています。変更時の同意は、変更箇所のみを記した書面でもよいとされています。署名できない利用者の場合は、このときも代筆者の記載が必要になると読めます。

函館市の令和7年度の資料は、説明を行った者の氏名が未記載の事例があるため、説明者の氏名を記載するよう求めています。同じ資料は、第三者評価の実施状況は、実施していない場合はその旨を記載することにも触れています。

同意欄を点検する順序

署名できない利用者がいるときは、次の4点を順に点検できます。同意欄に代筆者を書く場所があるか、代筆の理由を書く場所があるか、代筆者が家族か法定代理人かそれ以外かを書面で分けられるか、説明者の氏名の欄があるか、の4点です。

様式をどこまで細かくするかは、事業所の判断と指定権者の指導の運用で変わります。利用者の同意の取り方や、成年後見などの代理の手続きに関する個別の判断は、この記事の対象外です。契約書の側の流れは利用契約・重要事項説明・記録の流れで、電子で同意を得る場合は電子での提供・保存で扱っています。

資料の範囲

運営基準第8条は、2026年10月24日にe-Gov法令検索の現行テキストで確認しました。函館市と津山市の資料は、同日に各市の掲載ページの原文で確認しました。

2市の資料は、その市の事業所への指導内容です。ほかの市町村が同じ書き方を求めるとは限りません。事業所のある指定権者の最新の指導資料と様式を確かめてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 重要事項説明書と契約書の同意欄に、代筆者の氏名を書く欄と、代筆の理由(手の震え、認知症など)を書く欄があるかを確かめ、無ければ追加する案を書く
  2. 署名できない利用者ごとに、代筆する人が家族か、法定代理人か、それ以外かを分けて書面に残せるかを確かめ、利用者本人の同意の記録として読める形になっているかを見る
  3. 運営規程を変更して重要事項説明書を改めたときの再同意で、同じ代筆者の記載と説明者の氏名の欄が使われているかを点検する
  4. 事業所の指定権者の最新の指導資料と様式を確かめ、代筆者欄の書き方の指示があればその日付と内容を表に書いて、様式に反映する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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