運営 / 更新 2026-10-05

訪問介護の書類の電子化(基準第8条・第217条):重要事項説明書の電子交付

訪問介護の事業所が利用者や家族に渡す書類や、事業所で作る記録は、条文の上では書面を前提にしたものが多くあります。運営基準は、重要事項説明書を電子メールなどで提供する方法(第8条)と、書面で行うことになっている作成・保存・交付・同意などを電磁的記録(パソコンなどで扱う電子データの記録)や電磁的方法に代える扱い(第217条)を定めています。この記事は、2つの条文から、電子化するときの手順と、第217条第1項の対象から除かれるものを整理します。個別の書類が電子にできるかの判断は条文に列挙がないため、指定権者への確認事項として分けます。

この記事で決めること

訪問介護事業者が、重要事項説明書の電子メール等での提供(基準第8条第2項〜第6項)と、書面で行うことが規定されている作成・保存・交付・同意などを電磁的記録・電磁的方法に代える扱い(第217条)を、条文から確認し、電子化するときの手順と第217条第1項の対象から除かれるものを整理するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、書類の電子化の対象と手順の一覧表を作成できる状態を目指します。

電子化について運営基準が定めていること

重要事項説明書の電子での提供は第8条第2項〜第6項が、書面全般を電子に代える扱いは第217条が定めています。第217条は、第1項が事業者側の作成や保存など、第2項が利用者や家族などの相手方への交付・説明・同意・承諾・締結などを対象にします。

第1項は、書面で行うことが規定されている、または想定されるものを、書面に代えて電磁的記録により行うことができるとします。第2項は、交付等のうち書面で行うことが規定されている、または想定されるものを、相手方の承諾を得て、書面に代えて電磁的方法によることができるとします。第2項は相手方の承諾が条件ですが、第1項の条文には承諾の定めがありません。

電子化に関する運営基準の条文(e-Govの現行条文、取得2026-10-05)
条対象定めていること
第8条第2項〜第6項重要事項説明書の提供利用申込者または家族の承諾を得て、電磁的方法で提供できる。その場合は文書を交付したものとみなす
第217条第1項書面で行うことが規定・想定されている作成・保存など書面に代えて電磁的記録により行うことができる(第11条第1項などを除く)
第217条第2項書面で行うことが規定・想定されている交付・説明・同意・承諾・締結など相手方の承諾を得て、書面に代えて電磁的方法によることができる

重要事項説明書を電子で提供するときの条件(第8条)

第8条第1項は、サービス提供の開始前に、運営規程の概要や訪問介護員等の勤務の体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることを求めています。第2項は、利用申込者または家族からの申出があれば、承諾を得て、この文書の交付に代えて電磁的方法で提供できるとしています。

電磁的方法は、事業者のパソコンと利用者側のパソコンを電気通信回線でつなぎ、送信して受信側のファイルに記録する方法、事業者側のファイルに記録した重要事項を利用者側が閲覧して自分のファイルに記録する方法、記録したファイルを入れた電磁的記録媒体(USBメモリなど)を渡す方法の3つです。方法は、利用者または家族がファイルの記録を出力して文書を作れるものでなければなりません(第3項)。

提供しようとするときは、あらかじめ、使う方法の種類と内容、ファイルへの記録の方式を示して、文書または電磁的方法で承諾を得ます(第5項)。承諾後に利用者または家族が電磁的方法での提供を受けない旨を申し出たときは、再び承諾を得ない限り、電磁的方法で提供してはならないとされています(第6項)。

重要事項説明書を電子で提供する手順の例(条文の条件を並べた運用の例)
段階することの例根拠
申出の確認利用申込者または家族から、電子での提供を希望する申出があるかを確かめる第8条第2項
方法の提示使う方法の種類と内容、ファイルの記録の方式を示す第8条第5項
承諾の取得文書または電磁的方法で承諾を得て、記録を残す第8条第5項
提供承諾を得た方法で重要事項を提供する。利用者側が出力して文書にできる状態にする第8条第2項・第3項
申出への対応提供を受けない旨の申出があれば、電磁的方法での提供をやめて書面で交付する第8条第6項

第217条第1項の対象から除かれるものと、判断が分かれる書類

第217条第1項は、被保険者証の確認を定める第11条第1項を、電磁的記録に代える対象から除いています。第11条第1項は、指定訪問介護の提供を求められたときに、その者が提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無と有効期間を確かめるものとしています。被保険者証の確認を電子の方法で行ってよいかどうかは、確認した範囲の条文からは読み取れないため、指定権者に確認します。

それ以外の書類が、書面で行うことが「規定されている」または「想定される」ものに当たるかは、条文に書類の一覧がなく、確認した範囲では個別の列挙を見つけられませんでした。契約書や同意書、サービスの提供の記録を電子にできるか、押印や電子署名が必要かも、条文には書かれていません。書類ごとの扱いは指定権者に確認します。確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。

電子化しても変わらないことと、関連する記事

電子にできるのは、書面で行うことになっている作成・保存・交付などの方法です。重要事項説明書で説明して同意を得る義務(第8条第1項)のように、義務を定める各条文は別にあります。重要事項説明書の記載内容と契約の流れは訪問介護の利用契約・重要事項説明・記録の流れで、記録の保存期間は訪問介護の記録の保存義務・保存期間で確認できます。

利用者の個人情報を電子で扱うときの守秘義務と同意は訪問介護の秘密保持等で、サービスの提供の記録は訪問介護のサービスの提供の記録で整理しています。電子化に使うシステムの安全管理の具体的な基準は、確認した範囲の条文には書かれていません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 重要事項説明書、契約書、サービスの提供の記録など、事業所で書面として扱っている書類を一覧にし、電子で扱いたいものに印をつける
  2. 重要事項説明書を電子で提供する場合は、あらかじめ利用申込者または家族に、使う方法の種類とファイルの記録の方式を示して承諾を得る手順を決める
  3. 利用者が電子での提供を受けない旨を申し出たときに、書面の交付へ切り替える手順と、申出の記録の置き場所を決める
  4. 被保険者証の確認(第217条第1項の対象外)と、電子にできるか判断がつかない書類を分け、指定権者へ確認する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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