運営 / 更新 2026-10-13
訪問介護事業所が職員から労働局のあっせんを申請されたとき:参加の任意性・費用・流れ
職員との間で解雇や賃金などの労働トラブルが起きたとき、職員が都道府県労働局のあっせんを申請することがあります。事業所に労働局から通知が届いたときに、参加が義務なのか、費用や手続の流れはどうなるのか、申請した職員にどう接するかを確認します。このページは、個別労働紛争解決促進法と厚生労働省の資料で、事業主が確認することを整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者が、職員との労働トラブルで都道府県労働局のあっせんの申請を受けたときに、参加が義務か、費用、手続の流れ、合意の効力、申請したことを理由とする不利益取扱いの禁止を、法律と厚生労働省の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、あっせん申請を受けたときの対応票(通知の内容、参加するかの判断材料、事実経過の資料、申請した職員への取扱いの注意、相談先)を作成できる状態を目指します。
あっせん制度の仕組み(労働局の紛争調整委員会)
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第5条は、紛争の当事者の双方または一方からあっせんの申請があった場合に、紛争の解決のために必要があると認めるとき、都道府県労働局長が紛争調整委員会にあっせんを行わせると定めています。あっせんは、会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員が行い、双方の主張の要点を確かめて、実情に即して解決に努めます。
青森労働局のページは、あっせんを、個々の労働者と事業主の間のトラブルについて、学識経験者の第三者機関であるあっせん委員が入り、当事者の話合いを促進して解決を援助する制度と説明しています。労使間の民事上の紛争の当事者であれば、会社側からも申請できるとされています。
参加の任意性と、申請した職員への不利益取扱いの禁止
青森労働局のページは、あっせん手続は参加が強制されるものではなく、不参加の場合でも不利益はないとしています。参加を考えるときは、紛争の内容と手元の資料を整理したうえで判断します。
一方で、法律は事業主に義務を課しています。第5条第2項は第4条第3項を準用しており、事業主は、労働者があっせんを申請したことを理由として、その労働者に解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。第4条第3項は、助言や指導を求めたことを理由とする不利益な取扱いも禁じています。
費用と手続の流れ(青森労働局の案内)
青森労働局のページによると、あっせんは国が運営する制度で、手数料はかかりません。申請は所定の申請書1枚の提出で、申請の受理から結論が出るまでの平均処理期間は約2か月とされています。この期間は同局のページに書かれた平均で、個々の事案の期間を示すものではありません。
あっせんは非公開で行われ、和解が成立した場合も不調の場合も同じです。当事者の意見の隔たりが大きいなど、解決の見込みがないとあっせん委員が認めた場合は、あっせんが打ち切られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 無料(手数料はかからない) |
| 申請 | 申請書1枚を提出。会社側からも申請できる |
| あっせんの実施 | 非公開。専門家であるあっせん委員が公正中立の立場で実施する |
| 参加 | 強制ではなく、不参加でも不利益はない |
| 打ち切り | 解決の見込みがないとあっせん委員が認めた場合 |
合意したときの効力と、事業所の準備
あっせんで紛争解決の合意に至った場合は、民法上の和解契約になります。青森労働局のページは、合意文書の履行をあっせん制度が担保するものではなく、合意した当事者の双方に履行義務があるとし、一方が履行しない場合は裁判等で他方に有利になるとしています。
事業所は、紛争の事実経過と、労働条件通知書、勤務表、賃金台帳、面談の記録などの資料を整理しておきます。合意の内容や応じるかどうかの判断は、社会保険労務士や弁護士に確認してください。
このページの範囲と、あわせて確認するページ
このページが確認したのは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律と、労働局のあっせん制度の案内です。個々の紛争の見通しや、参加すべきかどうかは判断しません。手続の詳細は、管轄の労働局の雇用環境・均等室か総合労働相談コーナーに確認してください。
解雇の予告などの手続きは解雇予告で、賃金の支払いの原則は賃金の支払いの原則で、利用者からの苦情への対応は苦情への対応で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 労働局から届いた通知の内容を確認する。申請した職員、紛争の内容(解雇、雇止め、賃金など)と、通知に書かれた連絡先や手続の案内を対応票に書き写す
- あっせんへの参加は強制ではなく、不参加でも不利益はないとされていることを踏まえ、参加するか、参加しないかを決める。決める前に、紛争の事実経過と手元の資料(労働条件通知書、勤務表、賃金台帳、面談の記録など)を集めて整理する
- 申請した職員に対して、申請したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いをしないよう、管理者や関係者に周知する。勤務表やシフトの変更が、不利益な取扱いに見えないかも点検する
- 合意に至った場合は和解契約になり、履行する義務が当事者に生じる。合意の内容は、社会保険労務士か弁護士に確認してから応じる。判断に迷う点は労働局の雇用環境・均等室か総合労働相談コーナーに相談する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律)「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 第4条・第5条・第12条」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省 青森労働局「「紛争調整委員会によるあっせん」制度の概要(青森労働局のページ)」(確認日 2026-10-13)