運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護員の医薬品の使用の介助(医政発第0726005号):3条件と薬袋
薬の使用の介助は、利用者の容態の3つの条件と手続きがそろった場合に限って、原則として医行為ではないと整理されています。訪問介護員が薬の使用を介助してよいかは、厚生労働省の医政局長通知(平成17年7月26日医政発第0726005号)の別紙5が整理しています(医行為とは、医師の医学的判断と技術がなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為のことです)。この記事は、通知の本文(2026年10月17日確認)で、介助が挙げられている薬の種類、3つの条件、薬袋での区分や処方・服薬指導などの手続き、条件を外れたときの扱いを確認します(個々の利用者の容態が3つの条件を満たすかは、医師・歯科医師・看護職員が確認するもので、この記事では判定しません)。
別紙5が挙げている薬の使用の介助
別紙5が「介助する」行為として挙げているのは、次の6つです。薬を使う行為そのものではなく、使用の介助とされている点に注意してください。
| 薬の使い方 | 通知の書き方 | 通知が付けている限定 |
|---|---|---|
| 軟膏 | 皮膚への軟膏の塗布 | 褥瘡(床ずれ)の処置を除く |
| 湿布 | 皮膚への湿布の貼付 | なし |
| 点眼 | 点眼薬の点眼 | なし |
| 内服 | 一包化された内用薬の内服 | 舌下錠の使用も含む |
| 坐薬 | 肛門からの坐薬挿入 | なし |
| 鼻への噴霧 | 鼻腔粘膜への薬剤噴霧 | なし |
この記事で決めること
訪問介護員が薬の使用を介助するとき、医政発第0726005号の別紙5が挙げる薬の種類(軟膏・湿布・点眼・内服・坐薬・鼻腔への噴霧)と、満たす必要がある3つの容態の条件、本人・家族への伝達と依頼、薬袋での区分、処方・服薬指導・保健指導の手続きを、通知の本文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、薬の使用の介助の前に確かめる、3つの条件・手続き・薬の確認表を作成できる状態を目指します。
満たす必要がある3つの容態の条件
通知は、利用者の状態が次の3条件を満たしていることを、医師・歯科医師または看護職員が確認していることを求めています。確認するのは医師・歯科医師・看護職員で、訪問介護員や事業所が自分で確認する形ではありません。
| 条件 | 通知の内容 | 通知が挙げている、条件を満たさない例 |
|---|---|---|
| ① | 患者が入院・入所して治療する必要がなく、容態が安定している | 入院・入所しての治療が必要、または容態が安定していない |
| ② | 副作用の危険性や投薬量の調整などのため、医師または看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではない | 連続的な経過観察が必要な場合 |
| ③ | 薬の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではない | 内用薬では誤嚥(飲み込んだものが気道に入ること)の可能性、坐薬では肛門からの出血の可能性がある場合 |
介助の前に必要な手続きと、薬の条件
容態の条件のほかに、手続きの要件があります。医師・歯科医師・看護職員が、免許を持たない人が薬の使用を介助できることを本人または家族に伝えていること、そして事前に本人または家族から具体的な依頼があることです。
薬についての要件もあります。医師の処方を受け、あらかじめ薬袋などで患者ごとに区分して渡された薬であることです。通知は、医師または歯科医師の処方と薬剤師の服薬指導があったうえで、看護職員の保健指導・助言を守って使用を介助する、と書いています。
この要件に当たらない薬、たとえば他の人に処方された薬は、別紙5の対象外と読めます。市販薬の扱いは通知に書かれておらず、この記事では判断しません。
条件を外れたときと、事業所で決めておくこと
通知の注2は、別紙の行為でも、病状が不安定であるなど専門的な管理が必要な場合には医行為とされることがあり得る、と書いています。事業者はサービス担当者会議(利用者のケアプランについて関係者が集まる会議)を開くときなどに、必要に応じて医師・歯科医師・看護職員へ、専門的な管理が必要な状態かどうかを確認することが考えられる、としています。病状が急に変わったときなどは、医師・歯科医師・看護職員へ連絡するなど、必要な措置をすぐにとる必要があります。
注5は、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行い、結果を報告・相談して連携するべきだと書いています。福祉施設等で薬の使用の介助が行われる場合は、看護職員が実施することが望ましく、看護職員がいる場合はその指導のもとで実施されるべきだとも書いています。
事業所では、依頼を受けた薬が別紙5の6つのどれに当たるか、3つの条件の確認が誰からいつ得られているか、本人または家族への伝達と依頼の記録があるかを、介助の前に確かめる順番を決めておくと整理しやすくなります。どれかが確認できない、または判断がつかないときは、利用者の主治医、訪問看護などの看護職員、担当のケアマネジャー、事業所を指定した都道府県・市区町村(指定権者)に確認してください。
この通知には後から追加された追補の通知があります。この記事は通知の本文だけで書いており、追補の内容は確認していません。医行為かどうかの全体の整理は「医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件」にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 依頼された薬が、別紙5の6つ(軟膏・湿布・点眼・一包化された内服・坐薬・鼻腔への噴霧)のどれに当たるかを確かめる
- 3つの容態の条件を医師・歯科医師・看護職員が確認していること、本人または家族への伝達と具体的な依頼があることを確かめ、確認した人と日付を記録する
- 処方された薬が、薬袋などで利用者ごとに区分されていることと、看護職員の保健指導・助言の内容を確かめる
- 容態が変わったときや判断がつかないときは、主治医・看護職員・ケアマネジャー・指定権者に確認し、結果と日付を記録する
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問介護員は湿布の貼付や点眼を介助してもよいですか?
医政発第0726005号の別紙5は、容態の3つの条件を医師・歯科医師・看護職員が確認し、本人または家族への伝達と具体的な依頼があり、処方された薬が薬袋などで利用者ごとに区分されている場合の、湿布の貼付や点眼薬の点眼の介助を、原則として医行為ではないと整理しています。条件がそろっているかは、主治医や看護職員に確認します。
別紙5の3つの条件とは何ですか?
患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること、副作用の危険性や投薬量の調整などのために医師または看護職員による連続的な経過観察が必要な場合ではないこと、内用薬の誤嚥や坐薬の肛門からの出血の可能性など薬の使用の方法そのものに専門的な配慮が必要な場合ではないこと、の3つです。
軟膏の塗布は、褥瘡の処置でも介助できますか?
別紙5の対象外です。別紙5は皮膚への軟膏の塗布から褥瘡の処置を除いており、通知は褥瘡の処置を、訪問介護員が行ってよい行為として挙げていません。個別の場合は主治医や看護職員に確認します。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。