参入判断 / 更新 2026-10-26

移動支援事業への参入:市町村の事業で、事業者の要件は市町村ごと

障害福祉の移動支援事業は、障害者総合支援法第77条が市町村に行わせる地域生活支援事業の一つで、同行援護や行動援護のような指定障害福祉サービスとは仕組みが違います。厚生労働省の資料では、実施主体は市区町村、サービス提供者は「サービスを提供するにふさわしい者として市町村が認めたもの」、利用料の扱いも市町村が判断するとされています。訪問介護の事業者が参入を考えるときは、事業者の要件と報酬の決まり方を、事業を行う市町村ごとに確かめます。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

移動支援事業とは:法律上の位置づけ

障害者総合支援法第77条第1項は、市町村は主務省令で定めるところにより、地域生活支援事業として次の事業を行うものとすると定め、その第八号に「移動支援事業」を置いています。行うのは市町村です。同条第2項は、都道府県が市町村に代わって一部の事業を行える場合を定めています。

厚生労働省の資料(地域生活支援事業等実施要綱の抜粋)は、目的を、屋外での移動が困難な障害児・者に対し、社会生活上必要不可欠な外出や余暇活動などの社会参加のための外出を支援して、地域における自立生活と社会参加を促進することとしています。実施主体は市区町村、対象者は障害者・児です。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が障害福祉の併設先として移動支援事業を検討するとき、法律上の位置づけと国の資料が示す範囲を確かめ、事業者の要件や報酬を市町村ごとに確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、移動支援事業の確認シート(事業を行う市町村、事業者になる方法、従業者の要件、報酬や委託費の決まり方、利用料の扱いを、市町村の窓口の回答とあわせて記録する表)を作成できる状態を目指します。

国の資料が示すこと、市町村に任されていること

次の表は、同じ資料の記載を項目ごとに整理したものです。

移動支援事業について厚生労働省の資料が示す内容(地域生活支援事業等実施要綱の抜粋)
項目資料の記載読み方
実施主体市区町村事業を行う主体は市区町村。事業者は市区町村の事業を担う立場になる
実施形式市区町村の判断により、地域の特性や個々の利用者のニーズに応じて柔軟な形態で実施。事業例は個別支援型、グループ支援型、車両移送型どの形で行うかは市町村ごとに違う
サービス提供者サービスを提供するにふさわしい者として市町村が認めたもの国が資格や研修を一律に定めていない。要件は市町村が決める
利用料利用者負担をもとめるか否かを含め市町村が判断利用者の負担の有無と額は市町村ごと

参入を考えるときの確認事項:同行援護・行動援護との違い

同行援護と行動援護は、指定障害福祉サービスとして、従業者の員数や資格、サービス提供責任者、管理者の置き方が基準で定められています。内容は同行援護の指定基準:従業者は常勤換算2.5以上・サービス提供責任者と管理者の置き方と行動援護の指定基準:従業者は常勤換算2.5以上・居宅介護や重度訪問介護との違いで確認できます。

移動支援事業は、国の資料に従業者の資格や人数の細かな定めがなく、サービス提供者を市町村が認める形です。事業者になる方法(登録、委託、公募のいずれか)、従業者に求める研修や資格、支援の形、報酬や委託費の決まり方は、この記事では確認していません。事業を行う市町村の要綱または障害福祉の窓口で、市町村ごとに確かめます。

確認の順番は、事業所のある市町村と利用者が住む市町村が移動支援事業を行っているか、事業者になる方法と従業者の要件、報酬や委託費・利用者の負担・支援の形の順です。確かめた資料名と日付は記録に残します。

事業計画での扱い:収入の見込みは市町村の回答を待って置く

報酬や委託費の額、事業の規模、事業者の数は市町村ごとに違い得るので、全国共通の単価を事業計画に置くことはできません。収入の見込みは、事業を行う市町村から回答を得た条件で置き、回答のない間は見込みに入れません。

障害福祉への展開を、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護と並べて比べるときは、訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務が指定の主体と人員の違いを整理しています。介護保険の総合事業の訪問型サービスDにも移動支援がありますが、制度が別なので総合事業の訪問型サービスB・C・D(住民主体・短期集中・移動支援)の実施方法と補助・単価で別に確かめます。

この記事で確認した範囲

2026-10-26に、障害者総合支援法第77条をe-Gov法令検索で、移動支援事業の実施主体・サービス提供者・利用料を示す厚生労働省の資料(地域生活支援事業等実施要綱の抜粋、実施自治体数は令和6年度で1,685市区町村)を確認しました。地域生活支援事業等実施要綱の全文、個別の市町村の要綱、事業者の登録や委託の手続き、委託費や単価の金額は確認していません。事業を始められるかの最終判断は、事業を行う市町村に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 事業所のある市町村と、利用者が住む市町村を一覧にし、それぞれが移動支援事業を行っているかを、市町村の障害福祉の窓口または公式サイトで確かめる
  2. 市町村ごとに、事業者になる方法(登録、委託、公募など)と、従業者に求める研修や資格を、市町村の要綱または窓口の回答で確かめて、資料名と確認日を残す
  3. 報酬や委託費の決まり方、利用者の負担の有無、支援の形(個別、グループ、車両)を市町村ごとに記録する
  4. 同行援護・行動援護の指定の基準と混ぜずに別の表で管理し、収入の見込みは市町村から回答を得た条件だけで置く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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