運営 / 更新 2026-10-24

特別養護老人ホームの指定基準:職員は入所者3人に1以上・居室は10.65平方メートル以上

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、都道府県知事が指定する施設サービスです。この記事は、訪問介護の事業者が施設サービスとの違いを確かめるときのために、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)と介護保険法第86条〜第88条を読み、従業者の員数、設備、管理者、施設サービス計画、記録の決まりを整理したものです。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

指定するのは都道府県知事:入所定員30人以上で、数は都道府県の条例で定める

介護保険法第86条第1項は、指定介護老人福祉施設の指定を、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホームのうち、入所定員が30人以上で、都道府県の条例で定める数であるものの開設者が申請したものについて行うと定めています。指定を行うのは、同条第2項と第3項にあるとおり都道府県知事です。

第88条は、従業者の員数と、設備及び運営の基準を都道府県の条例で定めるとしています。ただし、従業者とその員数、居室の床面積などは、厚生労働省令で定める基準に従って条例を定めます。

従業者の員数と居室の床面積は省令の基準どおりに条例が定められ、それ以外の事項は省令を参考にして条例が定められる(参酌)ため、都道府県で違う場合があります。条例の中身は都道府県ごとに確かめる必要があり、この記事では読んでいません。

基準第1条の2は、施設サービス計画に基づき、可能な限り居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排せつ、食事などの介護、相談と援助、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行うことを基本方針としています。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が施設サービスとの違いを調べるときに、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の指定する者、従業者の員数、設備、管理者、施設サービス計画、記録の保存の基準を条文で確かめ、自社の体制と並べて違いを洗い出すための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、特別養護老人ホームの基準との比較表(施設サービスの職種ごとの基準員数と自社の職員数・介護職員と看護職員の合計と入所者3人ごとに1以上の確認・居室の定員と1人当たり床面積10.65平方メートルの確認・食堂と機能訓練室の合計面積と3平方メートルに入所定員を掛けた面積・管理者の常勤の可否・施設サービス計画を作る担当の介護支援専門員・都道府県の窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。

従業者の員数:介護職員と看護職員は合計で入所者3人ごとに1以上(常勤換算)

基準第2条第1項は、置く職種と員数を定めています。医師は入所者の健康管理と療養上の指導に必要な数です。生活相談員は入所者100人またはその端数を増すごとに1以上で、常勤でなければなりません。

介護職員と看護職員(看護師または准看護師)は、総数が常勤換算で、入所者3人またはその端数を増すごとに1以上です。看護職員のうち1人以上は常勤です。看護職員の人数の細かい定めは、この記事では読んでいません。

栄養士または管理栄養士は1以上です。入所定員が40人を超えない施設は、他の社会福祉施設等の栄養士または管理栄養士と連携でき、入所者の処遇に支障がないときは、置かないことができます。機能訓練指導員は1以上で、施設の他の職務と兼ねることができます。

介護支援専門員は1以上で、入所者100人またはその端数を増すごとに1を標準とします。専らその職務に従事する常勤の者ですが、入所者の処遇に支障がなければ、施設の他の職務に就くことができます。

入所者の数は前年度の平均値です。新規に指定を受けるときは推定数を使います(第2項)。

常勤換算は、従業者の勤務延時間数の総数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、常勤の員数に直す方法です(第3項)。従業者は、入所者の処遇に支障がなければ別ですが、原則として施設の職務に専ら従事する者です(第4項)。

設備:居室は1人10.65平方メートル以上、食堂と機能訓練室は合計で1人3平方メートル以上

基準第3条は、設備を定めています。居室の定員は1人で、入所者へのサービスの提供上必要と認められる場合は2人にできます。入所者1人当たりの床面積は10.65平方メートル以上で、ブザーまたはこれに代わる設備を設けます。

そのほか、静養室、浴室、洗面設備、便所、医務室、食堂と機能訓練室、廊下幅、消火設備その他の非常災害に必要な設備を設けます。洗面設備は居室のある階ごと、便所は居室のある階ごとに居室に近接して設けます。医務室は、医療法の診療所とします。

食堂と機能訓練室は、それぞれ必要な広さを持ち、合計した面積が3平方メートルに入所定員を掛けた面積以上です。

食事の提供や機能訓練に支障がない広さを確保できるときは、同じ場所にできます。たとえば入所定員が30人なら90平方メートル以上です。これらの設備は、入所者の処遇に支障がない場合を除いて、施設の専用です(第2項)。

ユニット型(少数の居室と共同生活室でひとまとまりの場所をつくる形)の施設は、第38条から別の章で定められています。ユニット型の設備は、ユニット(居室、共同生活室、洗面設備、便所)、浴室、医務室などで、この記事では詳しくは読んでいません。

管理者・施設サービス計画・記録:運営で求められる決まり

基準第21条は、管理者を、専ら施設の職務に従事する常勤の者とします。管理上支障がない場合は、他の事業所、施設等や、サテライト型居住施設の職務に就くことができます。

基準第12条は、管理者が介護支援専門員に施設サービス計画の作成を担当させるとしています。担当の介護支援専門員は、入所者と家族に面接してアセスメントを行い、希望と結果に基づいて原案を作り、サービス担当者会議で他の担当者の意見を聴き、入所者または家族に説明して文書で入所者の同意を得て、作成した計画を入所者に交付します。作成後は実施状況を把握し、定期的に入所者に面接して、結果を記録します。

基準第37条は、従業者、設備、会計の記録を整備することを求めています。施設サービス計画、サービスの内容の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知の記録、苦情の記録、事故の状況と処置の記録は、その完結の日から2年間保存します。

条文の内容の一覧

ここまでの条文を、項目ごとにまとめます。報酬の単位数と、指定申請の手順は、この記事では読んでいません。

指定介護老人福祉施設の人員・設備・運営の主な基準(基準第2条・第3条・第12条・第21条・第37条、介護保険法第86条)
項目基準の内容条文
指定する者・入所定員都道府県知事が指定。入所定員は30人以上で、都道府県の条例で定める数法第86条
生活相談員入所者100人またはその端数ごとに1以上。常勤基準第2条
介護職員・看護職員合計で常勤換算、入所者3人またはその端数ごとに1以上。看護職員のうち1人以上は常勤基準第2条
栄養士・機能訓練指導員・介護支援専門員それぞれ1以上。介護支援専門員は100人またはその端数ごとに1を標準基準第2条
居室定員1人(必要な場合は2人)。1人当たり10.65平方メートル以上基準第3条
食堂・機能訓練室合計で3平方メートル×入所定員以上基準第3条
管理者専ら従事する常勤。管理上支障がなければ他の職務等との兼務可基準第21条
記録の保存施設サービス計画などを完結の日から2年間基準第37条

訪問介護の事業者が確かめる順番

訪問介護の事業者が特別養護老人ホームを運営する場合は、都道府県知事の指定を受ける特別養護老人ホームの開設者になる必要があります。開設者の要件と指定申請の手順は、この記事では読んでいません。事業所を置く都道府県の担当窓口に確かめてください。

施設サービスとの違いを調べる段階では、基準の員数を、いまの職員の人数と並べると差が分かります。人員の決まりは「訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)」、報酬の単位数は「特別養護老人ホームの単位数:要介護1は589単位・ユニット型は670単位」、同じく居住系の「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の指定基準:共同生活住居・計画作成担当者・夜勤」で読めます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 考える入所定員を書き、その定員が、事業所を置く都道府県の条例で定める入所定員(30人以上で都道府県ごとに定める数)に当たるかを、担当窓口に確かめる
  2. 入所者数から、生活相談員(100人ごとに1以上)、介護職員と看護職員の合計(3人ごとに1以上、常勤換算)、介護支援専門員(100人ごとに1を標準)の必要人数を計算し、いまの職員の人数・資格・勤務時間と並べて、足りない職種に印を付ける
  3. 居室の定員と1人当たりの床面積を10.65平方メートルと、食堂と機能訓練室の合計面積を3平方メートルに入所定員を掛けた面積と比べ、浴室・医務室・消火設備などの設備の有無を書く
  4. 管理者の候補が専ら従事する常勤の者かを書き、施設サービス計画の作成から交付までの流れと、記録を2年間保存する体制を決める。条例の上乗せや開設者の要件は、都道府県の担当窓口に確かめて、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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