運営 / 更新 2026-10-17

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の指定基準:共同生活住居・計画作成担当者・夜勤

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の要介護者が共同生活住居で暮らしながら介護を受ける地域密着型サービスで、指定は市町村長が行います。この記事は、訪問介護の事業者が認知症の利用者の暮らしの場への多角化を考えるときに、介護保険法第42条の2・第78条の2と、指定地域密着型サービス基準第89条〜第94条を読み、共同生活住居・介護従業者と夜間の勤務・計画作成担当者・管理者を訪問介護の基準と比べるための整理です。指定の申請手順、報酬、収支、個別の事業所が基準を満たすかの判断は扱いません。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

指定するのは市町村長:対象は認知症の要介護者で、暮らしの場が共同生活住居

訪問介護は都道府県知事が指定しますが、認知症対応型共同生活介護は地域密着型サービスで、指定は市町村長が行います。介護保険法第42条の2第1項は、市町村の長が指定する者から地域密着型サービスを受けたときに地域密着型介護サービス費を支給すると定めています。第78条の2第1項は、指定は申請により、地域密着型サービスの種類と事業所ごとに行うと定めています。

つまり、都道府県の指定を受けた訪問介護の事業所があっても、グループホームは市町村に新たに申請する別の指定です。

基準第89条は、この事業を、要介護者であって認知症であるものについて、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を行うものと定めています。利用者の自宅に訪問する訪問介護と違い、利用者が暮らす場所そのものが事業の一部になる点が、基準の組み立ての違いです。

第94条第1項は、提供の対象を、要介護者であって認知症であるもののうち、少人数による共同生活を営むことに支障がない者としています。第2項は、入居の際に主治の医師の診断書等で認知症であることの確認をすること、第3項は、入院治療が必要など自ら必要なサービスを提供することが困難なときは、適切な他の認知症対応型共同生活介護の事業者、介護保険施設、病院や診療所を紹介する等の措置を速やかに講じることを定めています。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が認知症の利用者の暮らしの場への多角化を考えるときに、認知症対応型共同生活介護の共同生活住居の数と入居定員、居室、介護従業者と夜間の勤務、計画作成担当者、管理者を条文で確かめ、訪問介護との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、認知症対応型共同生活介護の基準チェック表(事業所の所在する市町村と担当窓口・共同生活住居の数と入居定員の案・居室の数と床面積・介護従業者と夜間の勤務の人数・計画作成担当者と介護支援専門員の候補・管理者の候補の経験と研修)を作成できる状態を目指します。

共同生活住居:1事業所に1〜3、1住居の入居定員は5〜9人、居室は7.43平方メートル以上

基準第93条第1項は、事業所は共同生活住居を有するものとし、その数は1以上3以下(サテライト型は1又は2)と定めています。第2項は、共同生活住居の入居定員を5人以上9人以下とし、居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備その他利用者が日常生活を営む上で必要な設備を設けるとしています。居間と食堂は同一の場所とすることができます(第5項)。

居室は、定員1人が原則で、利用者の処遇上必要と認められる場合に2人にできます(第3項)。1居室の床面積は7.43平方メートル以上です(第4項)。事業所の立地については、利用者の家族との交流の機会の確保や地域住民との交流を図る観点から、住宅地又は住宅地と同程度に交流の機会が確保される地域にあるようにしなければならないと定めています(第6項)。

つまり、1事業所の入居定員は最大で9人×3住居の27人で、訪問介護のように事務所の面積と区画で足りる設備基準とは別に、居室と共用の設備を持つ建物の計画から入ります。建物を借りて整える場合の費用や、消防などの他法令の要件は、この記事では扱いません。

介護従業者の員数:日中は利用者3人ごとに1以上、夜間及び深夜は時間帯を通じて1以上

介護従業者の員数は、基準第90条第1項が共同生活住居ごとに定めています。日中の時間帯は、常勤換算方法で利用者の数が3又はその端数を増すごとに1以上です。夜間及び深夜の時間帯は、時間帯を通じて1以上の介護従業者に夜間及び深夜の勤務を行わせるために必要な数以上と定めています。

たとえば入居定員9人の共同生活住居で利用者が9人いれば、日中の時間帯は常勤換算で3以上、という数え方になります。夜間及び深夜の勤務は、夜間及び深夜の時間帯に行われる勤務のうち宿直勤務を除くものと定義されているため、宿直で足りるわけではありません。

利用者の数は前年度の平均値で、新規に指定を受ける場合は推定数です(第2項)。介護従業者のうち1以上は常勤でなければなりません(第3項)。

例外として、共同生活住居の数が3の事業所で、3つの住居がすべて同一の階にあって隣接し、介護従業者が円滑な利用者の状況把握と速やかな対応を行える構造で、事業者による安全対策が講じられ利用者の安全性が確保されていると認められるときは、夜間及び深夜の時間帯に事業所ごとに置く介護従業者を、時間帯を通じて2以上の介護従業者に夜間及び深夜の勤務を行わせるために必要な数以上とすることができます(第1項ただし書)。この「認められるとき」に当たるかは個別の確認事項のため、担当窓口で確かめます。

訪問介護の人員基準は、訪問介護員等の常勤換算2.5以上とサービス提供責任者などで、利用者の自宅へ出向く形に合わせています。グループホームは、住居ごとに利用者の数に比例した日中の人数と、夜間及び深夜を通じた勤務の人数が基準の中心で、夜間及び深夜の勤務を行う人の確保が、人員の確認の中心になります。訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(必要人数・常勤換算2.5以上・サービス提供責任者・管理者の兼務)で確認できます。

計画作成担当者:専らその職務に従事し、1以上は介護支援専門員

計画作成担当者は、基準第90条第5項が事業所ごとに置くものと定めています。計画の作成に関し知識及び経験を有する者で、認知症対応型共同生活介護計画の作成を担当させるのに適当と認められるものを、専らその職務に従事する者とします。利用者の処遇に支障がない場合は、その事業所の他の職務に従事できます。

計画作成担当者は、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者でなければならず(第6項)、そのうち1以上は介護支援専門員でなければなりません(第7項本文)。介護支援専門員は、介護支援専門員でない他の計画作成担当者の業務を監督します(第8項)。介護支援専門員でない計画作成担当者は、特別養護老人ホームの生活相談員や介護老人保健施設の支援相談員その他の認知症である者の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができます(第10項)。

例外として、併設する小規模多機能型居宅介護事業所や看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員との連携により効果的な運営が期待でき、利用者の処遇に支障がないときは、介護支援専門員を置かないことができます(第7項ただし書)。サテライト型は、介護支援専門員に代えて、研修を修了している者を置くことができます(第9項)。研修の内容や、実際に誰が要件に当たるかは、この記事では読んでいないため、市町村と研修の実施主体に確かめてください。

管理者と代表者:共同生活住居ごとの常勤の管理者は、認知症の介護に3年以上

基準第91条第1項は、共同生活住居ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くことを定めています。共同生活住居の管理上支障がない場合は、その住居の他の職務や、他の事業所、施設等の職務に従事できます。サテライト型の共同生活住居の管理者は、共同生活住居の管理上支障がない場合に、本体事業所の共同生活住居の管理者をもって充てることができます(第2項)。

管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、3年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者で、別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければなりません(第3項)。訪問介護員等としての経験も数えられるため、訪問介護の事業所で認知症の利用者の介護に携わってきた人が候補になりうる、と読めます。ただし、経験がこの要件に当たるかは個別の確認事項で、窓口に確かめます。

代表者も、認知症である者の介護に従事した経験を有する者、又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験を有する者で、別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければなりません(第92条)。

訪問介護との違いを表にして、足りない点を洗い出す

指定の主体は、訪問介護が都道府県知事、グループホームが市町村長です。事業の形は、利用者宅への訪問に対して、共同生活住居での暮らしの支援です。

人員は、訪問介護が訪問介護員等の常勤換算2.5以上とサービス提供責任者、グループホームが住居ごとの介護従業者(日中は利用者3人ごとに1以上、夜間及び深夜は時間帯を通じて1以上)と、計画作成担当者です。管理者は、訪問介護が常勤で専ら従事(支障がなければ兼務可)、グループホームも共同生活住居ごとに常勤で専ら従事(支障がなければ兼務可)ですが、認知症の介護に3年以上の経験と研修の修了が要ります。

ほかのサービスとの指定の主体と人員の比べ方は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で、同じ地域密着型サービスの小規模多機能型居宅介護の基準は小規模多機能型居宅介護の指定基準:市町村が指定、員数・管理者・登録定員、看護を組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護の基準は看護小規模多機能型居宅介護の指定基準:看護職員の員数・管理者・登録定員で確認できます。

この記事で読んだのは基準第89条〜第94条までです。報酬の算定、加算、研修の内容、サテライト型の細目、第95条以降の運営の基準、市町村の条例で定める申請者の要件や公募の扱いは読んでいません。市町村の担当窓口に、条例で定める要件、公募の有無、事前相談の方法を確かめてから進めてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 認知症対応型共同生活介護を置く予定の市町村を決め、担当窓口に、申請できる者の条件(市町村の条例)と公募の有無を確かめ、確かめた日と回答を記録する
  2. 共同生活住居の数(1以上3以下)と、住居ごとの入居定員(5人以上9人以下)の案を決め、居室の数と1室の床面積(7.43平方メートル以上)の見込みを、図面の寸法で書き出す
  3. 住居ごとの利用者数から、夜間及び深夜以外の時間帯に必要な介護従業者を常勤換算で数え、夜間及び深夜の勤務を行う人数と、常勤の介護従業者の候補を勤務表の案に書く
  4. 計画作成担当者の候補と、介護支援専門員が1以上いるか、管理者の候補が認知症の介護に3年以上従事した経験と研修の修了に当たるかを整理し、チェック表を持って担当窓口に相談して、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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