運営 / 更新 2026-10-20

訪問介護事業所の年次有給休暇の計画的付与:5日を超える部分・労使協定・3つの方式

年次有給休暇の計画的付与は、就業規則に定めて労使協定を結べば、年次有給休暇のうち5日を超える部分の取得日を事業所が割り振れる制度です。少なくとも5日は職員が自由に取得できる日数として残します。この記事は、厚生労働省の案内をもとに、対象日数、必要な手続き、3つの付与方式、年休の少ない職員と協定した日の変更の扱いを整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

計画的付与でできること:5日を超える部分の時季を、労使協定で決める

厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトによると、計画的付与は、年次有給休暇の付与日数から5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば、事業所が取得日を割り振れる制度です。労働基準法第39条第6項が根拠です。

対象は5日を超える部分だけで、少なくとも5日は職員が自由に取得できる日数として残します。例えば付与日数が10日の職員は5日まで、20日の職員は15日まで、計画的に付与できます。前の年度から繰り越した日数がある場合は、繰越分を含めた日数から5日を引いた日数が対象です。

年5日の時季指定義務との関係は、同じ法律の第39条に書かれています。計画的付与で与えた日数は、5日を上限に、使用者が時季を定めて与える日数に数えられます。付与日数の表や管理簿は訪問介護事業所の年次有給休暇:付与日数、年5日の時季指定義務、年次有給休暇管理簿で確認できます。

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や労務担当者が、年次有給休暇の計画的付与制度を導入するとき、対象にできる日数、就業規則と労使協定で必要な手続き、一斉付与・交替制付与・個人別付与のどれを選ぶか、年休が少ない職員の扱いを、厚生労働省の案内で確かめたい。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、計画的付与の導入メモ(対象にする職員の範囲・付与方式・対象日数・付与日または計画表の作成時期・年休の少ない職員への措置)を作成できる状態を目指します。

導入に必要な手続き:就業規則の規定と労使協定

同じポータルサイトは、導入するには就業規則による規定と労使協定の締結の両方が必要としています。就業規則の規定例は、労働者代表との書面による協定により、各労働者の年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある、という内容です。

労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合、組合がなければ労働者の過半数を代表する者との間で、書面で結びます。この労使協定は、所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。就業規則の作成や過半数代表者の選び方は、訪問介護事業所の就業規則と時間外労働の協定で確認できます。

3つの付与方式:一斉・交替制・個人別

厚生労働省の案内は、付与の方法を3つに分けています。次の表はその内容です。訪問介護は利用者宅への訪問を止めにくいため、どの方式が合うかは、国が指定するものではなく、事業所のシフトの組み方で決めます。

個人別付与方式では、協定に具体的な日付は書かず、計画表を作る時期や手続を定めます。具体的な付与日は、その計画表で決まります。

計画的付与の3つの方式(厚生労働省の案内から)
方式付与の方法協定に定める内容案内が挙げる適した事業場
一斉付与方式全従業員に同じ日に付与する具体的な年次有給休暇の付与日製造部門など、操業を止めて全従業員を休ませられる事業場
交替制付与方式班・グループ別に交替で付与する班別の具体的な付与日流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい事業場
個人別付与方式年次有給休暇付与計画表で各人の休暇を指定する計画表を作成する時期、手続など案内は事業場の実態に合わせて選ぶとしている

協定で定めること:対象者・対象日数・方法

ポータルサイトが挙げる労使協定の項目は、計画的付与の対象者、対象となる年次有給休暇の日数、計画的付与の具体的な方法の3つです。対象者からは、計画的付与の時季に育児休業や産前産後の休業に入ることが分かっている人や、定年などで退職することが分かっている人を外しておきます。

対象日数は5日を超える日数です。方法は、前の表のとおり方式ごとに協定の内容が変わります。

年休が少ない職員と、決めた日の変更

厚生労働省のQ&Aによると、年次有給休暇がまだ付与されていない職員や、日数の少ない職員は、5日を超える部分がないため計画的付与の対象にできません。一斉付与を導入するときは、特別の休暇を与える、年休の日数を増やすなどの措置が望ましいとされています。

こうした措置をとらずに休業させるときは、労働契約や就業規則に賃金の支払の定めがあればそれに従います。定めがなくても、労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の100分の60以上)の支払が原則として必要です。

協定で指定した休暇日は、使用者が一方的に変更できません。職員も原則としてその日に拘束され、別の日に取りたいと申し出ても、その日に休暇を取らないことは一般に認められないと考えられるとされています。変更するときは、協定の変更手続の定めに基づく必要があります。時間単位の年次有給休暇は、計画的付与として与えることが認められません。時間単位年休の協定は訪問介護事業所の時間単位の年次有給休暇で確認できます。

事業所で決めておくこと(運用の例)

次の表は、上の案内に合わせた導入前の確認の例で、国が定めた様式ではありません。

計画的付与を導入する前の確認(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる資料
就業規則に、5日を超える部分を協定で時季指定して取得させることがある旨の定めがあるか働き方・休み方改善ポータルサイト(就業規則による規定)
職員ごとの年休の残日数(繰越分を含む)から5日を引いた日数が、計画的に付与できる上限になっているか働き方・休み方改善ポータルサイト(付与の対象日数)
対象者から、育児休業等に入る人や退職が決まっている人を外したか働き方・休み方改善ポータルサイト(労使協定で定める項目)
年休が足りない職員に、特別の休暇などの措置を決めたか。休業させる場合は休業手当の扱いを確認したか厚生労働省Q&A(Q4-3)、労働基準法第26条
協定した休暇日を変更するときの手続を、協定に定めたか厚生労働省Q&A(Q4-4)

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、e-Gov法令検索の労働基準法第39条、厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトの計画的付与制度のページ、厚生労働省のQ&Aを読んで書きました。Q&Aは節電対策の際に作られた資料で、計画的付与に関する答えは労働基準法第39条の仕組みに沿った内容です。

労使協定の書式の細部、過半数代表者の選び方の細部、個別の協定が有効かどうかの判断は扱っていません。導入の可否や協定の内容は、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 就業規則に、労働者代表との書面による協定により、年次有給休暇のうち5日を超える部分について時季を指定して取得させることがある旨の定めがあるかを確認し、無ければ追加する
  2. 職員ごとの年休の残日数(繰越分を含む)を一覧にし、5日を引いた日数を、計画的に付与できる上限として確認する
  3. 付与方式(一斉付与・交替制付与・個人別付与)を選び、対象者から育児休業等に入る人や退職が決まっている人を外したうえで、労働者の過半数代表者と書面で協定する。労働基準監督署への届出は不要
  4. 年休が足りない職員には、特別の休暇や年休の増加などの措置を決めて記録する。協定した休暇日は一方的に変更できないため、変更の手続も協定に定めておく

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問介護の事業所でも、年次有給休暇の計画的付与はできますか?

厚生労働省の案内によると、就業規則に定めて労使協定を結べば、年次有給休暇のうち5日を超える部分を計画的に付与できます。交替制付与方式は、流通・サービス業など定休日を増やしにくい事業場に適した方式として挙げられています。

計画的付与の労使協定は、労働基準監督署に届け出る必要がありますか?

届出は不要です。厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトは、労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はないと書いています。ただし、制度を導入するには、就業規則の規定と労使協定の締結の両方が必要です。

協定で決めた休暇日を、利用者の都合で別の日に変えられますか?

使用者が一方的に変更することはできません。厚生労働省のQ&Aによると、変更するときは労使協定の変更手続の定めなどに基づいて適切な手続を経る必要があります。労働者も原則としてその日に拘束されます。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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