運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護員が褥瘡(床ずれ)に気づいたとき:通知の範囲・観察の記録・ケアマネへの伝え方
褥瘡の処置は、通知に訪問介護員が行ってよいとする記載がなく、気づいたことは事業所の流れでケアマネジャーへ伝えます。清拭やおむつ交換のときに利用者の皮膚の赤みや傷、床ずれに気づいたとき、自分で処置をしてよいのか、誰に何を伝えるのかは、厚生労働省の医政局長通知(平成17年7月26日医政発第0726005号)、身体介護の手順を示した老計第10号、サービス提供責任者の業務を定めた運営基準第28条第3項の3つで確認できます(医行為とは、医師の医学的判断と技術がなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為のことです)。この記事は、3つの本文(2026年10月17日確認)で、褥瘡の処置の扱い、体位変換・清拭などでの皮膚の観察、事業所内と居宅介護支援事業者(ケアマネジャーの事業所)への伝え方を整理します(皮膚の状態が褥瘡かどうかや、処置・予防の医学的な方法は扱いません)。
医政発第0726005号が褥瘡について書いていること
通知で褥瘡という語が出てくるのは、通知の別紙の項番5の薬の使用の介助の部分だけです。通知の別紙の項番5は、医師の処方を受けた薬を使う介助として「皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)」を挙げています。つまり、軟膏を塗る介助が医行為ではないと整理されるのは、褥瘡の処置を除いた場合です。
通知の別紙の項番4が挙げているのは、軽微な切り傷、擦り傷、やけど等への専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)で、褥瘡は書かれていません。通知は、どの皮膚の状態を軽微とするかの基準も書いていません。そのため、通知から読み取れるのは、褥瘡の処置を訪問介護員が行ってよいとする記載はない、という点までです。
| 通知の箇所 | 通知が書いていること | 通知が書いていないこと |
|---|---|---|
| 通知の別紙の項番5(薬の使用の介助) | 皮膚への軟膏の塗布から「褥瘡の処置を除く」と明記している | 褥瘡の処置を誰が行うか、どのような処置か |
| 通知の別紙の項番4(軽微な切り傷・擦り傷・やけど等) | 褥瘡は挙げていない。対象は軽微なものに限られる | 皮膚の状態を軽微かどうか分ける基準 |
この記事で決めること
訪問介護員が利用者の褥瘡(床ずれ)や皮膚の異変に気づいたとき、医政発第0726005号が褥瘡の処置をどう扱っているか、老計第10号が身体介護に含める体位変換・清拭・おむつ交換での皮膚の観察、運営基準第28条第3項がサービス提供責任者に求める居宅介護支援事業者等への情報提供を、一次資料で確認し、事業所が決めておくことを整理するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、褥瘡や皮膚の異変に気づいたときの、観察の記録・報告先・頼まれた処置の確認先の一覧を作成できる状態を目指します。
体位変換・清拭・おむつ交換は身体介護で、皮膚の観察が手順に入っている(老計第10号)
老計第10号は、身体介護の手順に皮膚の観察を含めています。これは平成30年3月30日老振発0330第2号の別紙に収められた改正後の本文で、身体介護の中に、体位変換(仰臥位から側臥位、側臥位から仰臥位への変換と、良肢位の確保や安楽な姿勢の保持)を挙げています。清拭(全身清拭)の手順には「上半身の皮膚等の観察」「下肢の皮膚等の観察」があり、手浴・足浴、全身浴にも「皮膚等の観察」、おむつ交換の陰部・臀部洗浄にも「皮膚の状態などの観察」が含まれています。
この記事は、褥瘡の予防として体位変換をどの間隔で行うかを示しません。老計第10号は体位変換の手順を示していますが、間隔や回数は書いていないためです。間隔や方法は、ケアプランや訪問介護計画に何が書かれているか、主治医や看護職員から何を指示されているかで確かめます。
気づいたことを伝える流れ(運営基準第28条第3項)
運営基準第28条第3項は、サービス提供責任者に情報の把握と提供を求めています。業務として、利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること(第2号)、居宅介護支援事業者等に対し、訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行うこと(第2号の2)、サービス担当者会議への出席等により居宅介護支援事業者等と連携を図ること(第3号)、訪問介護員等に利用者の状況についての情報を伝達すること(第4号)を挙げています。
皮膚の赤みや傷は、条文が挙げる「心身の状態」にあたると考えられます。ただし条文は皮膚の状態を名指しして伝える義務を定めてはいないため、どのような変化をいつまでに伝えるかは、事業所の取り決めになります。訪問介護員が気づいたことをサービス提供責任者へ伝え、サービス提供責任者が担当のケアマネジャーへ伝える流れを、事業所の手順として決めておくと迷いが減ります。
| 場面 | 確認する資料 | 事業所で決めておくこと |
|---|---|---|
| 清拭・おむつ交換・体位変換で皮膚を観察する | 老計第10号の身体介護の手順 | 見たままを書く記録の場所と書き方 |
| 褥瘡の処置や薬の塗布を頼まれた | 医政発第0726005号の通知の別紙の項番5(褥瘡の処置を除く) | 自分で判断せず、主治医・看護職員・ケアマネジャーに確認し、日付と相手を記録する |
| 気づいたことをケアマネジャーへ伝える | 運営基準第28条第3項第2号の2・第3号 | 訪問介護員からサービス提供責任者、サービス提供責任者からケアマネジャーへの伝達手段と期限 |
判断がつかないときの確認先
個々の利用者の皮膚の状態について、どう対応するかは、利用者の主治医、訪問看護などの看護職員、担当のケアマネジャー、事業所を指定した都道府県・市区町村(指定権者)に確認してください。状態が急に変わったときの主治医への連絡は、「訪問介護の緊急時等の対応(基準第27条):主治医への連絡と運営規程」にあります。この記事は、通知の本文だけで書いており、通知の後の追補は確認していません。
医行為かどうかの全体の整理は「医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件」に、切り傷ややけどの処置は「訪問介護員の軽微な切り傷・やけどの処置と汚物ガーゼの交換(医政発第0726005号)」にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 清拭・おむつ交換・更衣・体位変換のときに、皮膚の赤み・傷・痛みの訴えなど気づいたことを、見たままの言葉でサービス提供の記録のどこに書くかを決める
- 気づいたことを訪問介護員からサービス提供責任者へ伝える手段と期限を決め、サービス提供責任者から担当のケアマネジャー(居宅介護支援事業者)へ伝える流れを決める
- 利用者や家族から傷への処置や薬の塗布を頼まれたときは、褥瘡の処置は通知の別紙の項番5で軟膏の塗布から除かれていることを確かめ、自分で判断せず主治医・看護職員・ケアマネジャーに確認して記録する
- 状態が急に変わったときの連絡先(主治医・緊急連絡先)を、訪問介護員が訪問先ですぐ見られる形にしておく
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問介護員は利用者の褥瘡(床ずれ)の処置をしてもよいですか?
医政発第0726005号は、通知の別紙の項番5の皮膚への軟膏の塗布について「褥瘡の処置を除く」と書いており、通知の別紙の項番4(軽微な切り傷・擦り傷・やけど等)にも褥瘡は挙げていません。通知に褥瘡の処置を行ってよいとする記載はないため、処置を頼まれたときは主治医や看護職員、担当のケアマネジャーに確認します。
訪問介護員が皮膚の赤みや傷に気づいたら、どこへ伝えますか?
運営基準第28条第3項第2号の2は、サービス提供責任者が、訪問介護の提供で把握した利用者の心身の状態や生活の状況に係る必要な情報を、居宅介護支援事業者等へ提供することを求めています。訪問介護員からサービス提供責任者へ伝える手段と、サービス提供責任者から担当のケアマネジャーへ伝える流れを、事業所で決めておきます。
訪問介護で体位変換や清拭をするとき、皮膚を見てよいのですか?
老計第10号は、身体介護の清拭、手浴・足浴、全身浴、おむつ交換の手順に「皮膚等の観察」「皮膚の状態などの観察」を含めており、体位変換も身体介護として挙げています。観察して気づいたことを記録し伝える手順は老計第10号には書かれていないため、事業所で決めておきます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。