運営 / 更新 2026-10-04

訪問介護の緊急時等の対応(基準第27条):利用者の病状の急変時に主治医へ連絡する義務と運営規程への記載

訪問介護員が利用者の自宅でサービスを提供している最中に、利用者の病状が急に変わったとき、運営基準第27条は「速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない」と定めています。この記事は、この義務の範囲と、運営規程に書く緊急時等の対応方法とのつながりを、e-Govの条文と厚生労働省の解釈通知から整理します。救急車を呼ぶかどうかなど、個別の場面での医療的な判断は扱いません。

この記事で決めること

訪問介護員が訪問中に利用者の病状の急変などに直面したとき、運営基準第27条が何を義務づけているのか、運営規程の緊急時等における対応方法とどうつながるのかを、条文と解釈通知から確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、緊急時の連絡手順の確認表を作成できる状態を目指します。

第27条が定める義務の中身

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(運営基準)の第27条は、訪問介護員等は、現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないと定めています。

条文の主語は、事業者ではなく現場の訪問介護員等です。また対象は「現に指定訪問介護の提供を行っているとき」と書かれており、訪問していない時間帯の電話相談などは、この条文からは読み取れません。そうした対応の範囲は、次に述べる運営規程などで事業所ごとに決めることになります。

運営基準第27条の語句と読み取れること(e-Govの現行条文、取得2026-10-04)
条文の語句条文からわかること
訪問介護員等は義務を負う主体は、サービス提供中の訪問介護員等
現に指定訪問介護の提供を行っているとき訪問介護の提供中に起きた場面を対象とした定め
病状の急変が生じた場合その他必要な場合病状の急変は例示で、「その他必要な場合」も含む
速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置連絡先として主治の医師を挙げ、「等」で他の措置も含める

運営規程の「緊急時等における対応方法」とのつながり

運営基準第29条は、運営規程に定める事項の一つとして、第6号に「緊急時等における対応方法」を挙げています。運営規程の必須記載事項の全体は訪問介護の運営規程の必須記載事項で確認できます。

厚生労働省の解釈通知(老企第25号 第三の3(15))は、第27条を、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じることとしたものと説明しています。つまり、現場の訪問介護員が従う手順は、運営規程に書いた対応方法が土台になります。運営規程に書いた内容と現場で使う手順がずれていないことが、確認の中心になります。

条文と通知に書かれていないこと

第27条と通知が挙げているのは「主治の医師への連絡」までです。救急車を呼ぶ基準、救命のための処置、主治医に連絡がつかないときの連絡先の順番、家族や居宅介護支援事業者への連絡の要否と時期は、確認した範囲の条文と通知には書かれていません。これらを具体的に決めるのは、運営規程と事業所の手順書、そして個別の状況です。

利用者の病状の急変そのものと、サービスの提供により事故が発生した場合は、別の条文が適用されます。事故が発生したときは、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等への連絡と記録が第37条で求められます。訪問介護の事故発生時の対応(基準第37条)で、連絡先と記録の内容を確認できます。

事業所での運用例と確認先

運用の例としては、運営規程の「緊急時等における対応方法」を読んで、訪問介護員が使う連絡の順番を一覧にする、利用者ごとに主治の医師の氏名と連絡先を把握して訪問介護員が確認できるようにする、急変があったときに連絡した日時と相手、指示の内容、実際の対応を記録に残す、といった方法があります。記録の基本は訪問介護のサービスの提供の記録(基準第19条)にあります。

ケアマネジャーの要請を受けて緊急に訪問したときの加算は、第27条の義務とは別の論点です。算定の要件は訪問介護の緊急時訪問介護加算の算定要件で確認できます。

この記事は、e-Govの現行条文と老企第25号の掲載版で確認できた範囲の整理です。救急対応の具体的な基準や、運営規程への書き方の詳細は、事業所の指定権者に確認してください。確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 運営規程の「緊急時等における対応方法」の記載を読み直し、訪問介護員が訪問中に病状の急変に気づいたときの連絡先と順番を、運営規程と同じ内容で一覧にする
  2. 利用者ごとに、主治の医師の氏名・連絡先を、利用開始時に把握して訪問介護員が確認できる形で管理する
  3. 訪問中に急変があったときは、速やかに主治の医師へ連絡し、連絡した日時・相手・指示の内容と実際の対応を記録として残す
  4. 運営規程の記載と現場の連絡手順にずれがないかを定期的に点検し、運営指導の前に記録と手順書を揃えておく

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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