運営 / 更新 2026-10-25
訪問介護の利益供与の禁止(基準第35条):ケアマネジャーへの紹介料・謝礼と収受の禁止
訪問介護の事業者は、利用者に自社のサービスを利用させる対償として、居宅介護支援事業者やその従業者に金品などを供与できません。根拠は、指定居宅サービス等の基準(平成11年厚生省令第37号)の第35条です。受け取る側の居宅介護支援にも、同じ趣旨の禁止があります。
訪問介護の事業者は、居宅介護支援事業者とその従業者に利益を供与できない(基準第35条)
基準第35条は、訪問介護の事業者が居宅介護支援事業者とその従業者に利益を供与することを禁じています。見出しは「居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止」で、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないと定めています。
禁止されるのは、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償としての供与です。供与の相手は、居宅介護支援事業者とその従業者で、ケアマネジャー(介護支援専門員)本人に限りません。供与する物も、現金だけでなく、金品その他の財産上の利益と広く書かれています。
厚生労働省の解釈通知(平成11年9月17日老企第25号)は、この条を、居宅介護支援の公正中立性を確保するために定めたものと説明しています。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が、ケアマネジャーや居宅介護支援事業者に紹介料・謝礼を渡してよいかを、基準第35条と居宅介護支援の基準第25条で確かめる記事。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、居宅介護支援事業所との付き合いの確認メモ(1枚):渡してよい物と渡さない物の社内ルール、迷ったときの確認先を作成できる状態を目指します。
受け取る側にも禁止がある(居宅介護支援の基準第25条)
ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業者にも、利益収受の禁止があります。指定居宅介護支援等の基準(平成11年厚生省令第38号)の第25条第3項は、指定居宅介護支援事業者とその従業者が、居宅サービス計画の作成又は変更に関し、利用者に特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用させることの対償として、その居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならないと定めています。
同じ条の第1項と第2項は、居宅サービス計画の作成又は変更に関し、特定の居宅サービス事業者等によるサービスを位置付けるべき、または利用すべきと指示することを、事業者と管理者、ケアマネジャーに禁じています。
| 訪問介護の基準第35条 | 居宅介護支援の基準第25条第3項 | |
|---|---|---|
| 禁じられる人 | 指定訪問介護事業者 | 指定居宅介護支援事業者とその従業者 |
| 禁じられる行為 | 供与する | 収受する |
| 相手 | 居宅介護支援事業者又はその従業者 | 居宅サービス事業者等 |
| 禁止の要件 | 利用者に特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与 | 居宅サービス計画の作成又は変更に関し、特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を収受 |
基準に従えなくなったときの指定の取消し等(介護保険法第77条)
介護保険法第77条第1項は、都道府県知事が、指定居宅サービス事業者の指定を取り消し、または期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止できる場合を各号に挙げています。第4号は、設備及び運営に関する基準に従って適正な指定居宅サービスの事業の運営をすることができなくなったとき、第11号は、居宅サービス等に関し不正又は著しく不当な行為をしたときです。
基準第35条の違反が、どの号に当たり、どの処分になるかは、事実関係と指定権者の判断で決まります。この記事では、個別の行為が処分の対象になるかどうかは判断しません。
迷う場面は、社内の取り決めと指定権者への確認で整理する
第35条が禁じるのは、利用者に自社のサービスを利用させることの対償としての供与です。ある贈答や接待がこれに当たるかどうかは、条文だけからは決まりません。金額、渡す時期、紹介の実績との関係などの事実関係で判断されるため、迷う場合は事業所のある自治体(指定権者)の担当窓口に、事実関係を示して確認してください。
社内では、居宅介護支援事業所に金品その他の財産上の利益を渡さないことを方針として文書にし、従業者に周知しておく方法があります。ケアマネジャーとの情報のやり取りの手順は、訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告の記事で整理しています。
確かめた範囲と、次に読む記事
利用者から受け取れる費用の範囲は訪問介護の利用料等の受領の記事で、営業や広告の表現は広告表現の記事で整理しています。
この記事で確かめたのは、基準第35条、居宅介護支援の基準第25条、介護保険法第77条第1項、老企第25号の該当箇所です。確かめた日は2026年10月25日です。個別の贈答や接待が第35条に当たるかの判断、居宅介護支援の報酬に関わる減算、行政処分の量定は、書いていません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 居宅介護支援事業所との間で、これまでに金銭・物品・接待・人員の提供などを行った項目を洗い出し、メモに一覧にする
- 一覧の項目ごとに、利用者に自社のサービスを利用させる見返りとして行っていないかを、担当者本人に尋ねて記録する。判断に迷う項目は理由を書き添える
- 社内の方針として、居宅介護支援事業者とその従業者に金品その他の財産上の利益を渡さないこと、迷ったときは管理者に相談することを、1枚の文書にして従業者に周知する
- 判断に迷う項目は、事業所のある自治体(指定権者)の担当窓口に、事実関係を示して確認し、回答を日付つきでメモに残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第35条(居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止)」(第35条)(確認日 2026-10-25)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第25条(居宅サービス事業者等からの利益収受の禁止等)」(第25条第1項〜第3項)(確認日 2026-10-25)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法 第77条第1項(指定居宅サービス事業者の指定の取消し等)」(第77条第1項第4号・第10号・第11号)(確認日 2026-10-25)