運営 / 更新 2026-10-13

訪問介護員が心の不調で休業したときの職場復帰支援:厚生労働省の手引きの5つのステップ

訪問介護員が心の不調で休業したとき、事業所は復帰の時期や条件をどう決めるかに迷います。厚生労働省と労働者健康安全機構の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、休業の開始から復帰後のフォローアップまでを5つのステップで示しています。このページは、手引きの内容を訪問介護事業所が確認する形で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や管理者が、心の健康問題で休業した職員の職場復帰を進めるときに、休業中の情報提供、主治医の診断書、職場復帰支援プランの項目、最終決定、復帰後のフォローアップを、厚生労働省の手引きで確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、職場復帰支援の進行票(休業開始時に伝える情報、診断書の確認、復帰支援プランの項目、最終決定の記録、復帰後のフォローアップの予定)を作成できる状態を目指します。

手引きの位置づけと、5つのステップの全体像

手引きは、病気休業開始及び休業中のケア、主治医による職場復帰可能の判断、職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成、最終的な職場復帰の決定、職場復帰後のフォローアップの5つのステップで、職場復帰支援の流れを示しています。このリーフレットは、平成16年10月に周知した手引きを、平成21年3月に改訂した内容の紹介で、事業場の実態に合わせて活用するものとされています。

手引きでは、職場復帰支援についてあらかじめ定めた事業場全体のルールを職場復帰支援プログラム、休業していた労働者が復職するにあたって復帰日や就業上の配慮など個別の支援内容を定めたものを職場復帰支援プランと呼んでいます。この2つを区別して読むと、手引きの各ステップが理解しやすくなります。

休業中のケアと、主治医の診断書(第1・第2ステップ)

第1ステップは、主治医の病気休業診断書が提出されて休業が始まる段階です。休業する労働者には、必要な事務手続きと職場復帰支援の手順を説明し、傷病手当金などの経済的な保障、不安や悩みの相談先、公的または民間の職場復帰支援サービス、休業の最長(保障)期間などの情報を提供します。

第2ステップは、労働者から復帰の意思が伝えられた後の段階です。事業者は、主治医による職場復帰が可能という判断を記した診断書の提出を求め、就業上の配慮に関する具体的な意見を書いてもらいます。手引きは、主治医の診断は日常生活の回復の程度で判断していることが多く、職場で求められる業務の遂行能力まで回復しているとは限らないため、産業医等が精査することが重要としています。

復帰の可否の判断と復帰支援プラン(第3ステップ)

第3ステップでは、労働者の復帰の意思、産業医等による主治医からの意見収集、労働者の状態、職場環境などの情報を集めて評価し、復帰できるかを判断します。復帰が可能と判断されたら、職場復帰支援プランを作成します。

プランの項目は、職場復帰日、管理監督者による就業上の配慮(業務内容や業務量の変更、段階的な就業上の配慮など)、人事労務管理上の対応(配置転換や勤務制度の変更の要否)、産業医等の意見、フォローアップ、その他(試し出勤制度の利用、事業場外資源の利用など)です。業務量の変更の例として、訪問介護では担当する利用者や訪問件数の調整が考えられます(この例は当サイトのものです)。なお、手引きの「管理監督者」は、職場の上司を指す言葉です。

職場復帰支援プランの項目(厚生労働省の職場復帰支援の手引き、2026-10-13確認)
項目手引きに挙げられた内容
職場復帰日復帰する日を決める
就業上の配慮業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、段階的な就業上の配慮、治療上必要な配慮
人事労務管理上の対応配置転換や異動の必要性、勤務制度変更の可否及び必要性
医学的な意見産業医等による安全配慮義務に関する助言、職場復帰支援に関する意見
フォローアップ方法、就業制限等の見直しのタイミング、配慮や医学的観察が不要となる時期の見通し

最終決定と復帰後のフォローアップ(第4・第5ステップ)

第4ステップでは、疾患の再燃・再発の有無などを最終確認し、産業医等が職場復帰に関する意見書を作成したうえで、事業者が最終的な職場復帰を決定します。第5ステップは、復帰後の勤務状況や業務の遂行能力、プランの実施状況の確認などを続けて行う段階です。

手引きは「産業医等」や「事業場内産業保健スタッフ等」(衛生管理者、人事労務管理スタッフなど)の役割を前提に書かれており、このリーフレットには産業医がいない場合の記載がありません。その役割を誰がどう担うかは、事業所の状況に合わせて、社会保険労務士や都道府県労働局に確認してください。

このページの範囲と、あわせて確認するページ

このページが確認したのは、厚生労働省と労働者健康安全機構の手引き(改訂版リーフレット)です。個々の職員の復帰の可否、休職の期間や賃金の取り扱いは判断しません。休職の規定は就業規則に基づくため、社会保険労務士や都道府県労働局に確認してください。

安全衛生の体制は衛生委員会・産業医などの安全衛生体制で、仕事中のけがの報告は労働者死傷病報告で、健康診断は職員の健康診断で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 休業の診断書の提出を受けたら、休業中の手続きと復帰支援の流れを本人に説明する。傷病手当金などの経済的な保障、相談先、休業の最長期間について伝える内容を、進行票に書く
  2. 復帰の意思が伝えられたら、主治医の復帰可能の診断書を求める。就業上の配慮に関する具体的な意見を書いてもらう。あらかじめ主治医に、職場で必要とされる業務の遂行能力に関する情報を伝えておく方法も検討する
  3. 復帰日、業務量の変更などの就業上の配慮(訪問介護では訪問件数や担当利用者の調整が例になる)、勤務制度の変更の要否、フォローアップの方法を、手引きの項目に沿って復帰支援プランに書く。試し出勤や事業場外資源を使うかも検討する
  4. 復帰前に再燃・再発の有無を最終確認して復帰を決定し、記録を残す。復帰後は、勤務状況と業務遂行能力、プランの実施状況を定期的に確認し、見直す日程を進行票に書く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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