運営 / 更新 2026-10-11

訪問介護事業所の衛生委員会・産業医・ストレスチェック:常時50人以上と未満の違い

訪問介護事業所が整える労働安全衛生の体制は、事業場ごとの常時使用する労働者の数で変わり、常時50人以上なら、衛生管理者と産業医の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックが義務です。10人以上50人未満なら衛生推進者の選任が必要で、委員会を設けない50人未満では関係労働者の意見を聴く機会も設けます。このページは、条文で人数別の義務を並べ、2028年4月から変わるストレスチェックも確認します。

この記事で決めること

訪問介護事業所を運営する事業者が、労働安全衛生法令に基づく衛生管理者・産業医・衛生委員会・安全衛生推進者・ストレスチェックの体制を、事業場の常時使用労働者数(50人以上・10人以上50人未満・10人未満)ごとに確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、事業場別の労働安全衛生体制の確認表(常時使用する労働者の数・該当する人数区分・選任と設置の状況・不足分の担当と期日)を作成できる状態を目指します。

事業場の人数別に、体制の義務を並べる

次の表は、労働安全衛生法・同施行令・同規則の条文を、事業場の常時使用する労働者の数ごとにまとめたものです。数えるのは事業者の全体ではなく、事業場ごとです。訪問介護の事業所が1つの事業場に当たるかどうかは、所轄の労働基準監督署へ確認します。

衛生管理者(法第12条、施行令第4条)、産業医(法第13条、施行令第5条)、衛生委員会(法第18条、施行令第9条)は、いずれも常時50人以上の労働者を使用する事業場が対象です。

事業場の人数別の体制(労働安全衛生法・施行令・規則。e-Govで確認、2026-10-11)
項目常時50人以上常時10人以上50人未満常時10人未満
衛生管理者・推進者衛生管理者の選任義務(法第12条)衛生推進者の選任義務(法第12条の2、規則第12条の2)確認した条文では、選任義務の規定は見当たらない
産業医選任義務(法第13条)。選任事由の発生から14日以内(規則第13条)選任義務なし。医師等に健康管理を行わせるよう努める(法第13条の2)同左(法第13条の2は50人以上の事業場以外すべて)
衛生委員会設置義務(法第18条)。毎月1回以上開催(規則第23条)設置義務なし。関係労働者の意見を聴く機会を設ける(規則第23条の2)同左(規則第23条の2は委員会を設けていない事業者すべて)
ストレスチェック義務。結果等を労働基準監督署へ報告(規則第52条の21)当分の間、努力義務(法附則第4条)。令和10年4月1日から義務化同左

常時50人以上の事業場:委員会・産業医・衛生管理者

衛生委員会は、労働者の健康障害の防止や健康の保持増進の基本対策、衛生に係る労働災害の原因と再発防止などを調査審議します(法第18条第1項)。付議事項には、衛生に関する規程の作成、定期の健康診断の結果への対策、長時間労働による健康障害の防止の対策なども含まれます(規則第22条)。委員は、事業の統括管理者またはこれに準ずる者、衛生管理者、産業医、衛生に経験を有する労働者のうちから事業者が指名します(法第18条第2項)。

委員会は毎月1回以上開き、開催のたびに議事の概要を労働者へ周知します。委員会の意見と講じた措置、重要な議事は記録して3年間保存します(規則第23条第1項・第3項・第4項)。産業医は、労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができます(同条第5項)。

産業医は、選任事由が発生した日から14日以内に選任します。事業の実施を統括管理する者は選任できず、法人の代表者や事業を営む個人も、事業場の運営に利害関係がある場合は選任できません(規則第13条)。健康診断の結果への対応は訪問介護の従業者の健康診断で確認し、腰痛の健康診断や予防対策は訪問介護員の腰痛予防で確認します。

常時10人以上50人未満:衛生推進者と意見聴取の機会

常時10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者を選任します。ただし、安全管理者を置く業種(施行令第2条第1号・第2号の業種で、常時50人以上)以外の事業場は、衛生に係る業務を担当する衛生推進者です(法第12条の2)。施行令第2条第1号・第2号の業種に訪問介護は挙がっておらず、第3号のその他の業種に当たります(施行令第3条)。

衛生推進者の選任は、選任事由が発生した日から14日以内に、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習の修了者などから行います(規則第12条の3)。

委員会を設けていない事業者は、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません(規則第23条の2)。この規定に人数の下限は書かれていないため、50人未満の事業場は、衛生委員会の代わりに、意見を聴く場を事業所の運営の中に決めておきます。

産業医の選任義務がない事業場でも、医師などに労働者の健康管理の全部または一部を行わせるよう努めます(法第13条の2第1項)。

ストレスチェックは、2028年4月から小規模事業場も義務

ストレスチェックは、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に行います。検査の項目は、職場での心理的な負担の原因、心身の自覚症状、他の労働者による支援の3つです(規則第52条の9)。

検査の実施者は、医師、保健師、または所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師です(規則第52条の10)。検査結果は、労働者の同意なしに事業者へ提供されません(法第66条の10第2項)。

産業医の選任義務がある事業場以外では、法の附則第4条により、当分の間、実施は努力義務とされています。厚生労働省の公式ページは、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にも義務化され、令和10年4月1日から義務になると案内しています(2026-10-11確認)。

検査と面接指導の結果等を労働基準監督署へ報告するのは、常時50人以上の労働者を使用する事業者です(規則第52条の21)。面接指導を受けたいと申し出た労働者に対し、事業者が不利益な取扱いをしてはなりません(法第66条の10第3項)。

確認の手順と、このページが判断しないこと

運営する事業場ごとに、常時使用する労働者の数を勤務表と雇用契約から数え、上の表のどの列に当たるかを書きます。足りない体制(選任・設置・意見聴取の場)は一覧にして、担当者と期日を決めます。パートや登録型の訪問介護員をどう数えるかは、労働基準監督署へ確認した日と回答を残します。

個々の従業者が常時使用する労働者に当たるかの判断、ストレスチェックの具体的な実施方法や結果の取扱い、衛生管理者・産業医の資格や報酬の定めは、このページでは扱いません。選任の報告など提出が必要な書類は、所轄の労働基準監督署で確認します。労災の報告は訪問介護員の労働者死傷病報告で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 事業場ごとに、勤務表と雇用契約から常時使用する労働者の数を数え、パートや登録型の訪問介護員の扱いは労働基準監督署へ確認した日と回答を残す
  2. 常時50人以上・10人以上50人未満・10人未満のどの区分に当たるかを書き、衛生管理者または衛生推進者、産業医、衛生委員会または意見を聴く機会、ストレスチェックの実施状況を行ごとに記録する
  3. 足りない体制を一覧にして担当者と期日を決め、産業医の選任は選任事由の発生から14日以内、委員会は毎月1回以上の開催と議事の3年保存を日程に入れる
  4. 50人未満の事業場は、令和10年4月1日からのストレスチェック義務化に向け、実施者と実施時期の準備状況を厚生労働省の公式ページで確かめた日とともに残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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