運営 / 更新 2026-10-20
訪問介護員の離職理由:特定受給資格者・特定理由離職者の範囲と離職証明書の離職理由欄
ヘルパーが辞めるときの離職理由は、失業給付(基本手当)を受けるために必要な被保険者期間を左右します。特定受給資格者または特定理由離職者に当たれば、離職前1年間に通算6か月で足り、それ以外は離職前2年間に通算12か月が必要です。離職理由の最終的な判定はハローワークが行うため、事業所は事実どおりの理由を書き、確認できる資料をそろえておきます。
離職理由で変わること:受給に必要な被保険者期間
厚生労働省の「離職票-2の離職理由欄等の記載方法について」は、離職理由による取扱いの違いを3つ挙げています。特定受給資格者または特定理由離職者でない場合、受給資格を得るには、離職前2年間に被保険者期間が通算12か月必要です。
特定受給資格者または特定理由離職者に当たる場合は、離職前1年間に通算6か月でも受給資格を満たします。所定給付日数が手厚くなる場合もあります。正当な理由のない自己都合離職等には、給付制限が課されます。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者や労務担当者が、ヘルパーが辞めるときに離職証明書の離職理由欄をどう考えて書くか、特定受給資格者と特定理由離職者にはどんな離職が当たり、失業給付の受給に必要な被保険者期間がどう変わるかを、ハローワークの範囲の概要と厚生労働省の記載方法の案内で確かめたい。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、離職理由の確認記録(離職の経緯・事業主として把握した離職理由・本人の主張・根拠となる資料の一覧)を作成できる状態を目指します。
離職理由はどう決まるか:事業主の主張、本人の主張、ハローワークの判定
同じ案内によると、離職理由の判定は、まず事業主が主張する離職理由を離職証明書の離職理由欄(⑦欄)で把握し、次に離職者が主張する離職理由を離職票-2の離職理由欄(⑦欄)で把握します。そのうえで、それぞれの主張を確認できる資料で事実確認を行い、最終的にハローワーク等が慎重に判定します。
このため、事業主か離職者のどちらか一方の主張だけで決まるわけではありません。離職理由欄の項目は便宜上の分類で、特定受給資格者等の判断基準とは異なり、最終的な判定が⑦欄に付けた〇と異なる場合もあります。離職証明書の提出期限などの手続は、訪問介護員の退職時手続きの記事で確認できます。
特定受給資格者の範囲:訪問介護事業所に関係しやすい項目
ハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」は、特定受給資格者を、倒産等で離職した人と、解雇等で離職した人に分けています。次の表は、解雇等の項目のうち、ヘルパーの雇用でよく問題になる項目を抜き出したものです。
表は概要で、各項目には細かい条件が付いています。実際に当たるかどうかは、ハローワークの案内の全文を確かめ、個別の事情はハローワークに確認します。
| 項目 | ハローワークの案内の内容 |
|---|---|
| 解雇 | 解雇により離職した人。自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇は除く |
| 労働条件の相違 | 労働契約の締結時に明示された労働条件が事実と著しく相違したことで離職した人 |
| 賃金の未払い | 賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことで離職した人 |
| 賃金の低下 | 賃金が、それまで支払われていた賃金の85%未満に低下した(低下することとなった)ことで離職した人。低下を予見できなかった場合に限る |
| 時間外労働 | 離職の直前6か月間に、連続する3か月で45時間、1か月で100時間、または連続する2か月以上の平均で月80時間を超える時間外労働が行われたことで離職した人 |
| 有期契約の更新 | 更新により3年以上引き続き雇用されたのに契約が更新されなかった人。更新すると明示された契約が更新されなかった人も含む |
| ハラスメント・退職勧奨 | 上司や同僚からの故意の排斥や嫌がらせ、事業主が把握しながら措置を講じなかったセクシュアルハラスメントなどで離職した人。事業主から退職を勧奨されて離職した人。恒常的に設けられた早期退職優遇制度への応募は除く |
| 休業 | 使用者の責めに帰すべき事由による休業が引き続き3か月以上になったことで離職した人 |
特定理由離職者の範囲:契約満了と、正当な理由のある自己都合
特定理由離職者は、2つに分かれます。1つは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、更新がないことで離職した人です。ただし、本人が更新を希望したのに合意が成立しなかった場合に限り、特定受給資格者の更新の項目に当たる場合は除きます。
もう1つは、正当な理由のある自己都合で離職した人です。ハローワークの案内は、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などによる離職、妊娠・出産・育児等で受給期間の延長措置を受けた人、家庭の事情が急変した場合、配偶者や扶養すべき親族との別居が困難になった場合、通勤が不可能または困難になった場合などを挙げています。
事業所で決めておくこと(運用の例)
次の表は、上の案内に合わせた確認の例で、国が定めた様式ではありません。有期契約の更新と無期転換は無期転換ルール、解雇の予告は解雇予告の記事で確認します。
| 確認すること | 根拠となる資料 |
|---|---|
| 退職の申出の経緯(本人の申出か、事業所からの働きかけか、契約満了か)を日付つきで記録する | 厚生労働省の離職理由欄の案内(資料による事実確認) |
| 雇用契約書、更新の明示、賃金台帳、出勤簿、時間外労働の記録をそろえる | 厚生労働省の離職理由欄の案内 |
| 離職証明書の離職理由欄には、事業主として把握している事実どおりの理由を選ぶ | 厚生労働省の離職理由欄の案内(事業主の主張を⑦欄で把握) |
| 当たるか迷うときは、ハローワークや社会保険労務士に確認し、確認した内容を記録する | ハローワークの範囲の概要(ご質問は最寄りのハローワークへ) |
確かめた資料と確認できていないこと
この記事は、2026年10月20日に、ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」と、厚生労働省の「離職票-2の離職理由欄等(⑦欄及び⑰欄)の記載方法について」を読んで書きました。
基本手当の日額と所定給付日数、給付制限の期間、離職証明書の書き方の細部は扱っていません。解雇や雇止めが適法かどうか、個別の離職が特定受給資格者に当たるかどうかの判断は、ハローワークや社会保険労務士、労働基準監督署に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- ヘルパーが辞めるときは、退職の申出の経緯(本人の申出か、事業所からの働きかけか、契約満了か)を日付つきで記録し、本人の意向を聞き取る
- 雇用契約書、更新の有無の明示、賃金台帳、出勤簿、時間外労働の記録など、離職理由を確認できる資料をそろえる
- 離職証明書の離職理由欄には、事業主として把握している事実どおりの離職理由を選び、具体的事情記載欄に経緯を書く。本人が別の主張をする場合も、判定はハローワークが資料で確認して行うことを本人に伝える
- 特定受給資格者・特定理由離職者に当たるかの判断に迷う場合は、ハローワークや社会保険労務士に確認し、確認した日と内容を記録に残す
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
ヘルパーが自分から辞めるときも、失業給付の受給に必要な被保険者期間が短くなる場合がありますか?
ハローワークの案内によると、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などの正当な理由のある自己都合で離職した人は、特定理由離職者に当たります。厚生労働省の案内によると、当たると、受給資格に係る離職前1年間に被保険者期間が通算6か月あれば受給資格を満たします。
離職理由は、事業主が離職証明書に書いた内容で決まりますか?
決まりません。厚生労働省の案内は、事業主が主張する離職理由を離職証明書で、離職者が主張する離職理由を離職票-2で把握し、それぞれの主張を確認できる資料で事実確認したうえで、ハローワークが最終的に判定すると書いています。
有期契約のヘルパーの契約を更新しなかったときは、特定受給資格者に当たりますか?
更新により3年以上引き続き雇用された人の契約を更新しない場合や、契約時に更新すると明示していた契約を更新しない場合は、特定受給資格者の範囲に挙げられています。更新を希望したのに合意が成立しなかった場合は、特定理由離職者の範囲です。当たるかどうかの最終判断はハローワークが行います。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省(ハローワークインターネットサービス)「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(特定受給資格者の範囲(「倒産」等・「解雇」等の各項目)、特定理由離職者の範囲、補足1・2)(確認日 2026-10-20)
- 厚生労働省「離職された方へ -離職票-2の離職理由欄等(⑦欄及び⑰欄)の記載方法について-」(1 離職理由の意義、2 離職理由の判定)(確認日 2026-10-20)