運営 / 更新 2026-10-20

特定事業所加算(Ⅴ)のQ&A:対応実績の平均・月途中の転居・計画見直しに会議は要るか

訪問介護の特定事業所加算(Ⅴ)について、令和6年度介護報酬改定のQ&A(Vol.1)の問3と問5、Vol.11の問1は、3つの点を答えています。対応実績の平均の出し方、月の途中で利用者が転居したときの数え方、訪問介護計画の随時の見直しの示し方です。原文を順に確認し、事業所が記録で確かめることを整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

3つの問いと答えの早見表

加算(Ⅴ)の要件の全体と片道7kmを超える距離の考え方は、特定事業所加算(Ⅴ)の要件:中山間地域等の利用者1人以上・片道7km超・計画の随時見直しで解説しています。この記事は、Q&Aが個別に答えている3点だけを扱います。

Q&Aは厚生労働省老健局の事務連絡で、Vol.1が令和6年3月15日付、Vol.11が令和6年11月11日付です。答えの文は、次の表のとおりです。

特定事業所加算(Ⅴ)に関するQ&A(Vol.1問3・問5、Vol.11問1)
問聞いていること答えの要点
Vol.1 問3中山間地域等に居住する者への対応実績を、具体的にどう算出するか利用実人員を用いる。前3月の平均値を計算し、平均が1人以上であれば要件を満たす
Vol.11 問1月の途中で中山間地域等からそれ以外の地域に居住地が変わった場合、利用実人員の算定対象としてよいか中山間地域等に居住している間に実際にサービス提供を行った実績があれば、その月の利用実人員として算定できる(Vol.1の問4は削除)
Vol.1 問5計画の随時の見直しに全ての職種が関わる必要があるか、多職種協働をどう示すか全ての職種が関わる必要はなく、会議も必須ではない。通常の業務の中で意見を把握して見直していればよい

この記事で決めること

訪問介護の特定事業所加算(Ⅴ)を算定する、または届け出る事業所が、令和6年度介護報酬改定Q&A(Vol.1)の問3・問5とVol.11の問1で、中山間地域等に居住する者への対応実績の平均の計算(特別地域加算等の対象者を含めない)、月の途中で利用者の居住地が変わったときの利用実人員の数え方(Vol.1の問4を削除した答え)、訪問介護計画の随時の見直しを多職種協働で行ったことの示し方を、原文で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、特定事業所加算(Ⅴ)の対応実績の月次集計表(事業所の運用例:月別の中山間地域等の利用者数と、特別地域加算等の対象者を除いた平均)を作成できる状態を目指します。

問3:対応実績の平均の出し方

問3の答えは、中山間地域等に居住する者への対応実績について、利用実人員を用いて算定するとしたうえで、例を示しています。前年度の平均値の計算も同様と書かれています。

例では、利用者5人のうち、中山間地域等に居住する利用者は、特別地域加算等を算定する利用者Cを除いて数えます。数えた人数は、1月が2人、2月が2人、3月が1人で、合計5人です。これを3月で割ると約1.6人になり、1人以上です。

計算に含めない人は2種類あります。一体的に運営している場合の介護予防訪問介護の利用者と、特別地域加算等の算定を行っている利用者です。ここでいう特別地域加算等は、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算のことです。

あわせて答えは、特定の月の実績が1人を下回っても、前年度又は前3月の平均が1人以上であれば要件を満たすと書いています。例の表は印と月の対応が文字として読み取れないため、この記事では本文に書かれた計算の説明だけを使っています。

月の途中で居住地が変わったとき(Vol.11 問1)

Vol.1の問4は、月の途中で居住地が変わった場合の加算の対象を、該当地域に居住する期間のサービス提供分のみとしていました。令和6年11月11日付のQ&A(Vol.11、介護保険最新情報Vol.1326)の問1は、Vol.1の問4を削除すると書いています。このため、月の途中の転居は、Vol.11の問1の答えで確認します。

Vol.11の問1は、加算(Ⅴ)の対応実績を算定する際に、利用者が月の途中で中山間地域等からそれ以外の地域に居住地が変わった場合、利用実人員の算定対象としてよいかを聞いています。答えは、中山間地域等に居住している間に実際にサービス提供を行った実績があれば、その月における利用実人員として算定できる、です。

この答えは、対応実績の人数の数え方です。月の途中で転居した月の加算の対象となるサービス提供の範囲は、Vol.11の問1には書かれていません。居住地が中山間地域等に当たるかどうかの判定は、都道府県の対象地域の一覧と指定権者への確認で行います。

問5:計画の随時の見直しに会議は要るか

加算(Ⅴ)の要件には、利用者の心身の状況等に応じて、随時、関係者が共同して訪問介護計画の見直しを行うことがあります。問5は、この見直しに全ての職種が関わる必要があるか、多職種協働が行われたことをどう表せばよいかを聞いています。

答えの1点目は、見直しはサービス提供責任者を中心に多職種協働で行いますが、その都度全ての職種が関わる必要はなく、見直しの内容に応じて適切に関係者が関わればよいとしています。多職種協働は必ずしもカンファレンスなどの会議の場で行う必要がなく、日常的な業務の中での関わりを通じて行われることも少なくないと書かれています。通常の業務の中で主治の医師、看護師、介護職員等の意見を把握し、それに基づいて見直していれば、要件を満たします。

答えは最後に、加算の要件を満たすことだけを目的として、新たに多職種協働の会議を設けたり書類を作成したりすることは要しない、と書いています。見直しの記録をどの様式で残すかは、通知もQ&Aも定めていません。

記録で確かめること

次の表の項目は、Q&Aの答えに合わせた事業所の運用の例で、Q&Aが定めた様式ではありません。

加算(Ⅴ)の日常の確認項目(事業所の運用の例)
確認することQ&Aの根拠
毎月、中山間地域等に居住する利用者の実人員を数え、特別地域加算等の対象者を除いた人数を記録する問3:利用実人員を用い、特別地域加算等の対象者は計算に含めない
前3月(又は前年度)の平均が1人以上かを毎月確かめる問3:特定の月が1人を下回っても平均が1人以上であればよい
転居した利用者は、居住の期間とサービス提供の日を分けて記録し、中山間地域等に居住している間の実績の有無を確かめるVol.11 問1:居住している間に実際にサービス提供を行った実績があれば、その月の利用実人員に数える
計画を見直したときに、誰の意見をどう把握して見直したかを日常の記録に残す問5:通常の業務の中で意見を把握して見直していればよい

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に2つの本文を読んで書きました。厚生労働省老健局の事務連絡「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(令和6年3月15日)の特定事業所加算の項の問3と問5、「同Q&A(Vol.11)」(令和6年11月11日)の問1です。Vol.1の問4はVol.11の問1で削除されており、問3と問5が後のQ&Aで改められていないかは確認できていません。

この記事は、個別の事業所が加算(Ⅴ)の要件を満たすかどうかを判断するものではありません。算定や届出の可否は、事業所を指定した都道府県・市町村に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 前3月(または前年度)の各月について、利用実人員で中山間地域等に居住する利用者を数え、特別地域加算・中山間地域等における小規模事業所加算・中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の算定対象者を除いて、一覧にする
  2. 月ごとの人数を合計して月数で割り、平均が1人以上かを確かめる(特定の月が1人を下回っても、平均が1人以上であれば要件を満たすとQ&Aは答えている)
  3. 月の途中で転居した利用者がいる場合は、中山間地域等に居住していた間に実際にサービスを提供した実績があるかを確かめ、あればその月の利用実人員に数えて、居住の期間とサービス提供の日を記録に残す
  4. 訪問介護計画を見直したときは、サービス提供責任者が主治の医師・看護師・他の従業者の意見をどう把握して見直したかを、日常の記録の中に残し、迷う点は指定権者に確認して日付とともに記録する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

特定事業所加算(Ⅴ)の中山間地域等への対応実績は、どう平均しますか?

令和6年度介護報酬改定のQ&A(Vol.1)問3は、利用実人員を用いて算定するとして、前3月の平均値を計算する例を示しています。例では、中山間地域等に居住する利用者を1月2人・2月2人・3月1人の合計5人とし、5人÷3月≒1.6人で1人以上としています。特別地域加算等の算定対象の利用者は計算に含めず、特定の月が1人を下回っても平均が1人以上であれば要件を満たすと答えています。

利用者が月の途中で中山間地域等から転居したら、その月の加算はどうなりますか?

令和6年11月11日付のQ&A(Vol.11)問1は、利用者が中山間地域等に居住している間に実際にサービス提供を行った実績があれば、その月の利用実人員として算定できると答えています。この答えとあわせて、Vol.1の問4は削除されました。月の途中で中山間地域等へ転居した場合の扱いは、この問には書かれていません。

訪問介護計画の随時の見直しのために、多職種の会議を開く必要がありますか?

Q&A(Vol.1)問5は、見直しの都度全ての職種が関わる必要はなく、見直しの内容に応じて適切に関係者が関わればよいと答えています。会議の場で行う必要もなく、通常の業務の中で主治の医師や看護師、介護職員等の意見を把握し、それに基づいて見直していれば要件を満たすとしています。要件を満たすためだけに新たに会議を設けたり書類を作成したりすることは要しないとも書かれています。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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