運営 / 更新 2026-10-15
特定事業所加算(Ⅴ)の要件:中山間地域等の利用者1人以上・片道7km超・計画の随時見直し
訪問介護の特定事業所加算(Ⅴ)は、中山間地域等で、移動に時間のかかる利用者へ継続してサービスを届ける体制を評価する区分です。このページは、厚生労働省の留意事項通知と算定基準の告示をもとに、3つの要件の数え方、片道7kmの意味、ほかの地域の加算との関係を整理します。
この記事で決めること
中山間地域等で訪問介護を運営する事業者が、特定事業所加算(Ⅴ)の3つの要件(中山間地域等の利用者への継続提供の実績、片道7kmを超える距離、訪問介護計画の随時見直し)の数え方と、ほかの地域加算との併算定の制限を、留意事項通知と告示で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、特定事業所加算(Ⅴ)の要件確認表(利用者ごとの居宅の所在地・中山間地域等かどうか・最寄りの事業所からの実際の移動距離、前3月または前年度の1月平均の利用実人員、訪問介護計画の見直し記録)を作成できる状態を目指します。
特定事業所加算(Ⅴ)が評価するのは、中山間地域等での継続的な提供体制
留意事項通知は、特定事業所加算(Ⅴ)の趣旨を、中山間地域等で地域資源などの状況によりやむを得ず移動距離を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない中で、事業所が利用者へ継続的なサービス提供体制をつくっていることを評価するものだと説明しています。
(Ⅰ)〜(Ⅳ)が介護福祉士の割合や重度の利用者の割合などの人材・体制を見るのに対し、(Ⅴ)は利用者の居住地と提供の実績、移動距離、計画の見直しの3点を見る区分です。(Ⅰ)〜(Ⅳ)の全体像は「特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位と算定要件」で確認できます。
加算率は、厚生労働省の算定構造(令和8年6月版)で、所定単位数の100分の3です。
要件1:通常の事業の実施地域内の中山間地域等の利用者へ、前3月の1月平均で1人以上
留意事項通知によると、1つ目の要件は、事業所の通常の事業の実施地域の範囲内で、厚生労働大臣が定める中山間地域等(平成21年厚生労働省告示第83号の第2号に規定する地域)に居住する利用者へ、継続して訪問介護を提供していることです。実績は、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の、1月当たりの平均で1人以上と数えます。
この平均は、その期間に訪問介護を提供した利用実人員で計算します。たとえば前3月に、同じ利用者へ3か月続けて提供していれば、1月当たりの平均は1人です(当サイトの例です)。通常の事業の実施地域の決め方は「訪問介護の通常の事業の実施地域の決め方と地域外の利用者への対応」にあります。
要件2:居宅と最寄りの事業所の間の実際の移動距離が片道7kmを超える
2つ目の要件の「距離が7キロメートルを超える」について、留意事項通知は、事業所と利用者の居宅までの実際の移動に要する距離が片道7キロメートルを超える場合をいうとしています。地図上の直線距離ではなく、実際に移動する道のりで考えます。
告示の文言は、利用者の居宅の所在地と最寄りの指定訪問介護事業所との間の距離が7kmを超える場合に限る、というものです。利用者ごとに最寄りの事業所を基準にするため、事業所が複数ある法人は、どの事業所が最寄りになるかも表に残しておくと確認しやすくなります。
要件3:訪問介護計画を、関係者と共同して随時見直す
3つ目の要件について、留意事項通知は、利用者にとって必要なサービスを必要なタイミングで提供し、在宅生活の継続を支えるため、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえて訪問介護計画を見直すことを求めています。
見直しは、サービス提供責任者等が起点となり、訪問介護員等、サービス提供責任者、そのほか地域の関係者が共同して、随時適切に行う必要があります。いつ、誰と、何を踏まえて見直したかの記録は、運営指導で求められたときの根拠になります。計画の作成・変更の流れは「訪問介護計画の作成・変更サイクルと記載事項」で確認できます。
| 要件 | 数え方・確認すること |
|---|---|
| 中山間地域等の利用者への継続提供 | 通常の事業の実施地域内で、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の1月平均が、利用実人員で1人以上 |
| 距離 | 居宅と最寄りの事業所の間の実際の移動距離が片道7kmを超える |
| 計画の見直し | サービス提供責任者等が起点となり、関係者と共同して随時見直す |
ほかの地域の加算とは同時に算定できない
算定基準の告示は、特別地域訪問介護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算のいずれかを算定している場合は、特定事業所加算(Ⅴ)は算定しないと定めています。地域の加算を使う事業所は、(Ⅴ)と重ねて見込まないようにします。
また、告示は(Ⅰ)〜(Ⅳ)のいずれかを算定している間は、ほかの区分を算定しないとしつつ、(Ⅴ)とほかの区分を同時に算定する場合は除くと読める書き方をしています。同時に算定できる組み合わせは、届出の前に指定権者へ確認してください。
10%の小規模事業所加算の要件は「中山間地域等における小規模事業所加算の算定要件」、特別地域加算は「訪問介護の特別地域訪問介護加算」で確認できます。
届出と、このページの範囲
加算を算定するには体制等に関する届出が必要です。提出の期限と算定開始月は「訪問介護の加算届出(体制等状況一覧表)の提出期限」で確認できます。
このページが確認したのは、厚生労働省の令和6年度改定の留意事項通知と算定基準の告示(いずれも新旧対照表)、令和8年6月版の算定構造です(2026-10-15に確認)。対象となる中山間地域等の一覧と、個別の事業所や居宅が当たるかどうかは判断しません。都道府県の対象地域の一覧と、指定権者に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 通常の事業の実施地域の範囲を運営規程で確認し、その範囲内で厚生労働大臣が定める中山間地域等に居住する利用者を、都道府県の対象地域の一覧と照らして拾い出す
- 拾い出した利用者ごとに、最寄りの事業所から居宅までの実際の移動距離を片道で測り、7kmを超えるかどうかを表に書く
- 届出日の属する月の前3月(または前年度の3月を除く期間)の1月当たりの平均を、実際に訪問介護を提供した利用実人員で計算し、1人以上かを確認する
- サービス提供責任者等が起点となって訪問介護計画を随時見直した記録(関係者との共同の記録)を残し、特別地域・小規模事業所・中山間地域等居住者提供の各加算を算定していないかも表で確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準(訪問介護費における特定事業所加算の基準)」(確認日 2026-10-07)
- 厚生労働省老健局「別紙1 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(抄)(新旧対照表)」(確認日 2026-09-26)
- 厚生労働省老健局「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1版。訪問介護費の項に支給限度額管理の対象外の算定項目を記載)」(確認日 2026-10-13)