運営 / 更新 2026-10-01
訪問介護の特別地域訪問介護加算(100分の15)の対象地域・届出と、ほかの加算との関係
特別地域訪問介護加算は、厚生労働大臣が定める地域に所在し、都道府県知事へ届け出た訪問介護事業所が訪問介護を行ったときに、1回につき所定単位数の100分の15を加算する制度です。この記事は、厚生労働省の告示と留意事項通知(老企第36号)から、対象地域の決まり方、出張所(サテライト事業所)の扱い、ほかの加算との関係、事業計画で見込むときの確認点を整理します。
この記事で決めること
特別地域訪問介護加算(所定単位数の100分の15)の対象地域の決まり方(離島・奄美・振興山村・小笠原などと市町村一覧)、サテライト事業所の扱い、届出、特定事業所加算(Ⅴ)との関係を区別して理解するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、特別地域訪問介護加算の対象地域・届出の点検表を作成できる状態を目指します。
加算の内容(告示 訪問介護費 注13)
告示(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)は、訪問介護費の注13で、別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、電子情報処理組織を使用して都道府県知事へ老健局長が定める様式による届出を行った指定訪問介護事業所が訪問介護を行った場合に、特別地域訪問介護加算として、1回につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を加算すると定めています。事業所の一部として使われる事務所が対象の地域に所在しないときは、その事務所は対象から除かれます。
この加算は事業所の所在地を要件にしています。利用者がどこに住んでいるかは要件になっていません。利用者の居住地を要件にする加算は、中山間地域等における小規模事業所加算と居住者へのサービス提供加算で整理しています。
対象地域の決まり方(告示120号と市町村の一覧)
注13の「厚生労働大臣が定める地域」は、平成24年厚生労働省告示第120号(厚生労働大臣が定める地域)が定めています。告示は、離島振興法で指定された離島振興対策実施地域、奄美群島、山村振興法で指定された振興山村、小笠原諸島、沖縄振興特別措置法第三条第三号に規定する離島を挙げ、最後の号で、豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、過疎地域その他の地域のうち、人口密度が希薄であること、交通が不便であること等の理由で指定居宅サービス等の確保が著しく困難と認められる地域として、厚生労働大臣が別に定めるものを加えています。
この最後の号が委ねる地域は、別の告示(令和3年厚生労働省告示第74号)が、都道府県名・市町村名・市町村の区域の一部の場合の区域名の表で定めています。つまり、対象かどうかは「過疎地域だから」のような類型だけでは決まらず、最後の号に当たる地域は告示の一覧表に載っている市町村か、一部の区域かで決まります。当サイトは、個別の市町村が載っているかを記事で断定しません。
開業や出張所の設置を考える地域は、告示の現物で次の順に確認します。離島・奄美・振興山村・小笠原・沖縄の離島のいずれかに当たるか、当たらない場合は市町村の一覧に載っているか、載っている場合は区域の一部に限られていないか。告示は改正されるため、一覧は確認した日の現行の版で見て、迷う場合は指定権者へ確認します。
出張所(サテライト事業所)がある場合の扱い(留意事項通知・平成27年度改正版)
留意事項通知は、注の「その一部として使用される事務所」を、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等(サテライト事業所)と説明しています。例として、本体の事業所が離島等以外に所在し、サテライト事業所が離島等に所在する場合、本体事業所を業務の本拠とする訪問介護員等による訪問は加算の対象にならず、サテライト事業所を業務の本拠とする訪問介護員等による訪問は加算の対象になるとしています。
サテライト事業所のみが離島等に所在する場合、通知は、そのサテライト事業所を本拠とする訪問介護員等を明確にするとともに、そのサテライト事業所から提供した具体的なサービスの内容等の記録を別に行い、管理することを求めています。サテライトの要件そのものは訪問介護の出張所(サテライト)を本体事業所と一体指定する要件で解説しています。なお、この通知は平成27年度改正版で、注の番号が現行の告示と異なります。同じ加算についての説明ですが、現行の通知で号と文言を確認してください。
ほかの加算との関係
告示の訪問介護費の注10は、特定事業所加算について、注13から注15までのいずれかを算定している場合は特定事業所加算(Ⅴ)は算定しないと定め、注13〜15のそれぞれも、注10(5)(特定事業所加算(Ⅴ))を算定している場合は算定しないと定めています。特別地域訪問介護加算と特定事業所加算(Ⅴ)は、どちらか一方だけを算定します。
注14(中山間地域等における小規模事業所加算・100分の10)と注15(中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算・100分の5)も、同じ注13〜15のグループです。対象地域と併算定できる組み合わせは、中山間地域等における小規模事業所加算の記事で、厚生労働省のQ&Aを含めて整理しています。
端数処理と事業計画での見込み
留意事項通知は、特別地域加算のように対象の単位数の合計に割合を掛ける加算は、1回ごとではなく月の合計に掛けるとして、身体介護中心の30分以上1時間未満(387単位)を月6回行う例を示しています。387×6回=2,322単位に15%を掛けて2,322×0.15=348.3、四捨五入して348単位です。端数処理の全体は訪問介護の介護報酬の算定構造で示しています。
見込みでは、対象の訪問の単位数の月合計×15%を、基本報酬とは別の行に置きます。当サイトのシミュレーターは特別地域加算を計算に含めていません。含めない加算の範囲はシミュレーターが計算しない加算・減算の範囲で確認できます。
この加算は都道府県知事への届出が要件です。届出の時期と算定の開始月の関係は訪問介護の加算届出の提出期限で整理しています。対象地域かどうか、サテライトの扱い、併算定の可否は、個別の事業所ごとに指定権者が確認する事項です。この記事は確認した告示と通知の内容であり、算定できることを保証するものではありません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 本体事業所と、待機・道具の保管・着替えなどに使う出張所(サテライト事業所)それぞれの所在地を書き出し、告示の市町村一覧と離島・奄美・振興山村・小笠原などの地域類型に当たるかを現物で確認する
- 本体とサテライトで所在地の判定が分かれるときは、対象地域にあるサテライトを本拠とする訪問介護員等を明確にし、そのサテライトから提供したサービスの内容を別に記録して管理する
- 100分の15は訪問1回ごとではなく月の対象単位数の合計に掛けて見込み、特定事業所加算(Ⅴ)は特別地域訪問介護加算を算定している間は算定できないため別の行で確認する
- 都道府県知事への届出の時期と提出方法を指定権者に確認し、算定開始月から逆算して体制等状況一覧表の準備を決める
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)平成27年度改正版」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める地域(平成24年3月13日厚生労働省告示第120号)」(確認日 2026-10-01)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める地域第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域(令和3年3月15日厚生労働省告示第74号)」(確認日 2026-10-01)