運営 / 更新 2026-10-15
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(100分の5)の要件
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、事業所の場所ではなく、利用者が住んでいる場所で決まる加算です。算定基準の告示(訪問介護費の注15)は、厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に、通常の事業の実施地域を越えて訪問介護を行ったとき、1回につき所定単位数の100分の5を加算すると定めています。対象地域、算定できない場合、交通費との関係を告示と通知で確認します(個別の利用者の判断は指定権者に確認)。
この記事で決めること
訪問介護の中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(注15)が、事業所の所在地ではなく利用者の居住地と通常の事業の実施地域で決まることを、告示の条文、対象地域10類型、特定事業所加算(Ⅴ)との関係、交通費の請求、特別地域加算・小規模事業所加算との併算定のQ&Aで確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の利用者別点検表を作成できる状態を目指します。
加算の内容(告示 訪問介護費 注15):居住地と通常の事業の実施地域の2つで決まる
算定基準の告示(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)は、訪問介護費の注15で、指定訪問介護事業所の訪問介護員等が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を加算すると定めています。
要件は、利用者の居住地が告示の定める地域に当たることと、その利用者への訪問が事業所の通常の事業の実施地域を越えて行われることの2つです。どちらかだけでは、この文言では加算の対象になりません。
通常の事業の実施地域は運営規程に定める項目です。決め方と地域外の利用者への対応は訪問介護の通常の事業の実施地域の決め方と地域外の利用者への対応で整理しています。
注13の特別地域訪問介護加算と注14の小規模事業所加算は、条文に「別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、…都道府県知事に対し…届出を行った指定訪問介護事業所」とあり、事業所の所在地と届出が要件に入っています。注15の条文には、この届出の文言がありません。届出が要るかどうかは、条文だけでは決められないため、指定権者に確認します。
対象地域(告示83号 第二号):10の地域類型
注15の「別に厚生労働大臣が定める地域」は、平成21年厚生労働省告示第83号(厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域)の第二号が定めています。第二号は、イ離島振興法の離島振興対策実施地域、ロ奄美群島、ハ豪雪地帯・特別豪雪地帯、ニ辺地、ホ山村振興法の振興山村、ヘ小笠原諸島、ト半島振興対策実施地域、チ特定農山村地域、リ過疎地域、ヌ沖縄振興特別措置法の離島、の10類型を挙げています。
同じ告示の第一号は注14(小規模事業所加算)の地域で、豪雪地帯、辺地、半島振興対策実施地域、特定農山村地域、過疎地域の5類型です。第一号は、特別地域加算の対象になる地域(別の告示の地域)を除くと書いています。
第二号にはこの除外が書かれておらず、離島・奄美群島・振興山村・小笠原諸島・沖縄の離島も類型に入っています。つまり、注15のほうが対象になる類型が広くなっています。
対象かどうかは、利用者の住所が上の類型の指定区域に入っているかで決まります。「過疎地域に当たる市町村」のような見方でも、区域の一部だけが指定されている場合があるため、利用者の住所ごとに、告示の根拠法で指定された区域を市町村や都道府県の資料で確認してください。この確認は事業所では代わりに断定できません。
算定できない場合:特定事業所加算(Ⅴ)を算定しているとき
注15には、ただし、注10(5)を算定している場合は算定しないという但書があります。注10(5)は特定事業所加算(Ⅴ)です。注10の側にも、注13から注15までのいずれかを算定している場合は特定事業所加算(Ⅴ)を算定しないという但書があり、両方の注で同じことが書かれています。
特定事業所加算(Ⅴ)の要件は特定事業所加算(Ⅴ)の要件で確認できます。両方の注が互いに算定しないと定めているため、同じ事業所で両方を算定する形にはなりません。どちらを算定するかは、要件を確かめたうえで選びます。
見込みを立てるときは、注15の加算を算定する訪問と、特定事業所加算(Ⅴ)を算定する訪問を同じ月に分けて計画するのか、どちらかに寄せるのかを、事業計画の段階で決めておくと、請求時に迷いません。
併算定のQ&Aと、月の途中で住所が変わった場合
平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1、平成21年3月23日)の問11は、特別地域加算(15%)と中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%)、または中山間地域等における小規模事業所加算(10%)と同加算(5%)は、特別地域加算の対象地域や小規模事業所加算の対象地域にある事業所が、通常のサービス実施地域を越えて、別の中山間地域等に居住する利用者にサービスを提供する場合は併算定できると答えています。
つまり、山間部にある事業所が、さらに離れた別の中山間地域に住む利用者を訪問するときは、事業所の所在地の加算と居住地の加算を併せて算定できる場合があります。ただし、このQ&Aは平成21年のもので、現行の注の番号や加算の区分は変わっています。現行の取扱いは指定権者に確認してください。
問13は、月の途中で利用者の居住地が、中山間地域等かつ通常の事業の実施地域外に変わった場合は、その該当する期間のサービス提供分のみが加算の対象になると答えています。転居した月は、対象になる期間と、ならない期間を分けて記録します。
交通費は受け取れるか:省令第20条第3項と留意事項通知
指定居宅サービス基準(省令第37号)の第20条第3項は、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で指定訪問介護を行う場合は、それに要した交通費の支払を利用者から受けることができると定めています。第4項は、あらかじめ利用者またはその家族に内容と費用を説明して同意を得ることを求めています。
留意事項通知(平成12年老企第36号)の平成27年度改正版には、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を算定する利用者については、第20条第3項の交通費の支払を受けることはできないと書かれています。当時は注13という番号の加算で、現行の注15に当たる内容です。つまり、この加算を算定する訪問では、5%の加算と交通費を二重に受け取ることはできない、という読み方になります。
この通知は平成27年度改正版で、現行の通知の号と文言は変わっている可能性があります。運営規程に交通費を定めている事業所は、加算を算定する利用者から交通費を受け取っていないか、現行の通知と指定権者の案内で確認してください。交通費の受領の記録は訪問介護の利用料等の受領で確認できます。
事業計画での見込みと、限度額・ほかの加算との位置づけ
5%の加算は、対象の訪問の所定単位数の月の合計に掛けて見込みます。端数処理は訪問介護の介護報酬の算定構造で整理しています。
当サイトのシミュレーターはこの加算を計算に含めていないため、基本報酬の結果とは別の行で足します。含めない加算の範囲はシミュレーターが計算しない加算・減算の範囲で確認できます。
厚生労働省の算定構造(令和6年4月改定箇所)の訪問介護費の注記には、特別地域訪問介護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算が、処遇改善の加算とともに並べて挙げられています。区分支給限度基準額の管理の扱いは、訪問介護の介護報酬の算定構造と担当の居宅介護支援事業所で確認してください。
事業所の所在地で決まる加算は小規模事業所加算と特別地域訪問介護加算に分けて整理しています。居住地で決まるこの加算は、利用者の住所の確認、実施地域との関係、交通費の扱いの3点を、利用者ごとに記録して使います。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、算定基準の告示の訪問介護費の注10・注13〜15、告示第83号の第二号、省令第37号の第20条、平成27年度改正版の留意事項通知の注13の取扱い、平成21年のQ&A問11・問13、令和6年4月改定箇所の算定構造です(2026-10-15に確認)。
対象地域の指定区域、届出の要否、現行の通知の文言、個別の利用者への算定可否は、確認していません。算定できることを保証するものではありません。実際の算定は、指定権者へ確認してから進めてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者の住所を一覧にし、告示第83号第二号のイ〜ヌの10類型の指定区域に入るかを、根拠法で指定された区域の資料で住所ごとに確かめて記録する
- 対象の利用者ごとに、事業所の運営規程に定める通常の事業の実施地域の内か外かを確かめ、実施地域を越えて訪問する分だけを加算の候補にする
- 特定事業所加算(Ⅴ)を算定している月は注15を算定しない(相互に算定しない)ため、どちらを算定するかを月初に決め、加算を算定する利用者から交通費を受け取っていないかを確かめる
- 届出の要否と現行の通知の文言を指定権者に確認し、月の途中で転居した利用者は対象になる期間と対象にならない期間を分けて記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(平成21年3月13日厚生労働省告示第83号)」(確認日 2026-09-19)
- 公益社団法人全国老人保健施設協会(厚生労働省老健局発出Q&Aの転載)「平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)(平成21年3月23日)」(確認日 2026-09-19)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)平成27年度改正版」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造(令和6年4月改定箇所)訪問介護費」(確認日 2026-10-15)