運営 / 更新 2026-10-17
福祉用具貸与事業所の指定基準:専門相談員の員数・管理者・設備(基準第194条〜第196条)
福祉用具貸与事業所の指定基準は、福祉用具専門相談員の員数と資格、管理者、保管と消毒の設備の3つに分けて確かめられます。この記事は、訪問介護の事業者が福祉用具貸与の併設を考えるときに、指定居宅サービス等の基準第194条〜第196条と介護保険法施行令第4条を読み、自社で足りない点を洗い出すための整理です。指定の申請手順や、個別の事業所が基準を満たすかの判断は扱いません。
福祉用具専門相談員:常勤換算で2以上
基準第194条第1項は、指定福祉用具貸与事業所ごとに置く福祉用具専門相談員の員数を、常勤換算方法で2以上と定めています。条文は常勤の人数ではなく常勤換算で数えるため、非常勤の相談員の勤務時間を合わせて2以上になれば員数の基準に合います。
常勤換算方法とは、事業所の従業者の勤務延時間数を、事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、従業者の員数を常勤の従業者の員数に直す方法です(基準第2条第8号)。常勤の従業者が勤務すべき時間数を週40時間とする事業所で、週40時間の相談員1名と、週20時間の相談員2名がいれば、1と1を合わせて2になる計算です。この数字は計算の考え方を示す例で、勤務時間の数え方の細かい扱いは、都道府県の担当窓口で確かめてください。
第2項は、介護予防福祉用具貸与や特定福祉用具販売などの指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合は、それぞれの人員基準を満たすことで足りるとみなすことができると定めています。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が福祉用具貸与の併設を考えるときに、福祉用具専門相談員の員数と資格、管理者、保管・消毒の設備の基準を条文で確かめ、自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、福祉用具貸与併設の基準チェック表(福祉用具専門相談員の候補と資格・常勤換算・管理者候補・保管と消毒の設備と委託の有無・事業用の区画・都道府県の担当窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
福祉用具専門相談員になれる人:8つの資格と指定講習
福祉用具専門相談員は、介護保険法施行令第4条第1項が定める者です。次のいずれかに当たる必要があります。保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士の8つの資格のいずれかを持つ人、または、都道府県知事が指定した事業者が行う福祉用具専門相談員指定講習の課程を修了し、修了した旨の証明書の交付を受けた人です。
訪問介護の事業所に介護福祉士がいる場合、その人が資格の面では福祉用具専門相談員になれる可能性があります。ただし、基準は事業所ごとに置く員数を常勤換算で数えるため、訪問介護の業務と兼ねて数えられるかどうかは、この記事の条文だけでは判断できません。都道府県の担当窓口に確かめる事項です。
指定講習の実施主体や開催の状況は、都道府県ごとに確かめる必要があります。
| 項目 | 条文の定め | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 福祉用具専門相談員の員数 | 常勤換算方法で2以上(基準第194条第1項) | 勤務予定の時間を足して2以上になるか |
| 福祉用具専門相談員の資格 | 保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士、または指定講習の修了者(施行令第4条第1項) | 候補者の資格と、指定講習の修了証明書の有無 |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。管理上支障がない場合は他の職務・他の事業所等との兼務可(基準第195条) | 候補者の勤務の見込みと兼務の理由 |
管理者:専従の常勤
基準第195条は、指定福祉用具貸与事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定めています。ただし、事業所の管理上支障がない場合は、その事業所の他の職務に従事し、または他の事業所、施設等の職務に従事できます。
条文は管理者に特定の資格を求めていません。兼務してよいかどうかは、条文が「管理上支障がない場合」とだけ書いているため、候補者の勤務の見込みを持って都道府県の担当窓口に確かめます。
設備:保管と消毒の設備、事業用の区画
基準第196条第1項は、福祉用具の保管と消毒に必要な設備と器材、事業の運営を行うために必要な広さの区画、そのほか福祉用具貸与の提供に必要な設備と備品等を備えると定めています。
同条第2項は、保管のための設備について、清潔であることと、すでに消毒や補修がなされた福祉用具とそれ以外の福祉用具を区分できることを求めています。消毒のための器材も備える対象です。
ただし、福祉用具の保管や消毒を他の事業者に行わせる場合は、保管や消毒のための設備または器材を有しなくてもかまいません(第196条第1項ただし書き)。委託する場合は、契約の内容で保管や消毒が適切な方法で行われることを担保し、委託先の業務の実施状況を定期的に確認して結果を記録します(基準第203条第3項、第4項)。
回収した福祉用具は、種類や材質からみて適切な消毒効果を持つ方法で速やかに消毒し、消毒済みのものと未消毒のものを区分して保管します(基準第203条第2項)。「必要な広さ」の数字は条文に示されていないため、区画の広さが足りるかは窓口に図面などを示して確かめます。
訪問介護の事業者が確かめる順番
以下は条文の定めではなく、事業所内の進め方の例です。まず福祉用具専門相談員の候補者を書き出し、資格の有無と勤務の見込みから常勤換算で2以上になるかを確かめます。資格のない人は、指定講習の修了が必要になります。
次に、保管と消毒を自社で行うか、他の事業者に委託するかを決めます。自社で行うなら保管の設備と消毒の器材の見込みを、委託するなら委託先との契約で確認の方法を、整理します。管理者の候補と事業用の区画の見込みも合わせて、都道府県の担当窓口に相談する内容をチェック表にまとめます。
併設を考える5つのサービスの指定の主体と人員の比較は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で、同じく併設を考えやすい訪問看護の基準は訪問看護ステーションの指定基準:看護職員の員数・管理者・設備(基準第60条〜第62条)で整理しています。
利用者宅で気づいた福祉用具に関する変化の伝え先は、訪問介護の変化の伝え先早見表(ケアマネ・主治医・訪問看護・福祉用具・住宅改修)で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 福祉用具専門相談員として置く候補者の氏名、保有する資格(看護師、介護福祉士、指定講習の修了証明書など)、週の勤務時間をチェック表に書き、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って常勤換算が2以上になるかを計算する
- 管理者の候補が専らその職務に従事する常勤か、ほかの職務や他の事業所の職務を兼ねるなら管理上支障がないと説明できるかを確かめて書く
- 福祉用具の保管場所が清潔か、消毒・補修済みのものとそれ以外を区分できるか、消毒の器材を自社で持つか保管・消毒を他の事業者に委託するかを決めて書く
- 事業の運営に必要な広さの区画と備品の見込みを整理し、チェック表の内容を持って都道府県の担当窓口に相談して、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。