運営 / 更新 2026-10-17
訪問看護ステーションの指定基準:看護職員の員数・管理者・設備(基準第60条〜第62条)
訪問看護ステーションの指定基準は、看護職員の員数、管理者、事務室などの設備の3つに分けて確かめられます。この記事は、訪問介護の事業者が訪問看護ステーションの併設を考えるときに、指定居宅サービス等の基準第60条〜第62条を読み、自社で足りない点を洗い出すための整理です。指定の申請手順や、個別の事業所が基準を満たすかの判断は扱いません。
基準の全体像:事業所の2区分と、都道府県の条例
指定居宅サービス等の基準第60条第1項は、訪問看護の事業所を2つに分けています。病院または診療所以外の事業所が「指定訪問看護ステーション」、病院または診療所である事業所が「指定訪問看護を担当する医療機関」です。この記事は、訪問介護の事業者が新しく設ける形に近い、訪問看護ステーションを扱います。
指定は、居宅サービスの種類ごと、事業所ごとに、申請により行われます(介護保険法第70条第1項)。訪問介護の指定を受けた事業所が、そのまま訪問看護を行えるわけではありません。
同条第2項は、都道府県知事は、申請者が都道府県の条例で定める者でないとき、事業所の従業者の知識・技能と人員が都道府県の条例で定める基準を満たしていないときなどは、指定をしてはならないと定めています。このため、実際に満たす基準は都道府県の条例で定められています。この記事で読む基準第60条〜第62条は国の省令の条文で、条例の基準を確かめるときの出発点になります。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が訪問看護ステーションの併設を考えるときに、看護職員の員数・管理者の資格と兼務・事務室などの設備の基準を条文で確かめ、自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問看護ステーション併設の基準チェック表(看護職員の確保見込みと常勤換算・常勤の1名・管理者候補と資格・事務室または専用区画・備品・都道府県の担当窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
看護職員の員数:常勤換算2.5以上、うち1名は常勤
基準第60条第1項第1号は、訪問看護ステーションに置く従業者を次のように定めています。保健師、看護師または准看護師(条文上の「看護職員」)は、常勤換算方法で2.5以上となる員数です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、ステーションの実情に応じた適当数です。
第2項は、看護職員のうち1名は常勤でなければならないと定めています。常勤換算で2.5以上あっても、常勤の看護職員が1名もいなければ基準を満たしません。
常勤換算方法とは、事業所の従業者の勤務延時間数を、事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、従業者の員数を常勤の従業者の員数に直す方法です(基準第2条第8号)。たとえば常勤の従業者が勤務すべき時間数を週40時間とする事業所で、常勤の看護師2名(各週40時間)と、非常勤の看護師1名(週20時間)がいれば、2名に0.5を足して2.5になる計算です。この数字は計算の考え方を示す例で、勤務時間の数え方の細かい扱いは、都道府県の担当窓口で確かめてください。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、条文は下限の人数を示さず、実情に応じた適当数としています。置くかどうかや人数は、見込む利用者の状況に合わせて検討します。
| 職種 | 条文の定め | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 保健師・看護師・准看護師 | 常勤換算方法で2.5以上(第1項第1号イ) | 勤務予定の時間を足して2.5以上になるか |
| 上のうちの1名 | 常勤でなければならない(第2項) | 常勤の看護職員を誰にするか |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 実情に応じた適当数(第1項第1号ロ) | 置くかどうか、置く人数 |
管理者:専従の常勤、保健師または看護師
基準第61条第1項は、訪問看護ステーションごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定めています。ただし、ステーションの管理上支障がない場合は、そのステーションの他の職務に従事し、または他の事業所、施設等の職務に従事できます。
第2項は、管理者は保健師または看護師でなければならないと定めています。ただし、やむを得ない理由がある場合はこの限りではありません。第3項は、管理者は適切な訪問看護を行うために必要な知識と技能を有する者でなければならないと定めています。
管理者がほかの職務や他の事業所の職務を兼ねられるのは、管理上支障がない場合です。条文は「管理上支障がない場合」とだけ書いているため、兼ねてよいかどうかは、候補者の勤務の見込みを持って都道府県の担当窓口に確かめます。
設備:専用の事務室と、必要な備品
基準第62条第1項は、訪問看護ステーションに、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設け、そのほかに訪問看護の提供に必要な設備と備品等を備えると定めています。ただし、同一敷地内に他の事業所や施設等がある場合は、事業の運営に必要な広さの専用の区画を設ければ足ります。
条文は「必要な広さ」としており、面積の数字は示していません。事務室や区画の広さが足りるか、備品に何を揃えるかは、都道府県の担当窓口に図面などを示して確かめます。
訪問介護の事務所と同じ場所で運営したい場合も、条文が求めるのは訪問看護の専用の事務室または専用の区画です。同じ部屋を共用できるかどうかは、この記事の条文だけでは判断できないため、窓口に確かめる事項になります。
介護予防訪問看護と一体で運営する場合
介護予防訪問看護と一体で運営する場合は、介護予防の基準を満たせば足りるとみなせます。訪問看護の事業者が介護予防訪問看護の指定も併せて受け、同一の事業所で一体的に運営しているときは、介護予防訪問看護の人員・設備の基準を満たすことで、訪問看護の人員基準と設備基準を満たしているとみなすことができます(基準第60条第3項、第62条第3項)。
つまり、介護予防訪問看護の指定も同時に受けることを前提にする場合は、介護予防サービス等の基準の条文も合わせて確かめる必要があります。この記事は、訪問看護の基準第60条〜第62条を扱います。
訪問介護の事業者が確かめる順番
以下は条文の定めではなく、事業所内の進め方の例です。まず看護職員の確保の見込みを書き出し、常勤換算で2.5以上になるか、常勤の1名を誰にするかを確かめます。基準を満たす人数の看護職員を確保できるかが、併設の可否を左右する最初の点だからです。
次に、管理者の候補が保健師または看護師か、専従の常勤か、兼務するなら管理上支障がない理由を説明できるかを確かめます。そのうえで、事務室または専用の区画と備品の見込みを整理し、都道府県の担当窓口に相談する内容をチェック表にまとめます。
訪問介護と訪問看護の違いは訪問介護と訪問看護の違い:介護保険法第8条・基準第60条・第69条と計画書の作り方で、併設を考える5つのサービスの指定の主体と人員の比較は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で整理しています。
訪問看護と訪問介護を同じ利用者に提供するときの算定の考え方は、訪問介護と他サービスの算定関係(短期入所・通所・訪問看護)で扱っています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 確保できる見込みの保健師・看護師・准看護師の人数と週の勤務時間をチェック表に書き出し、事業所の常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って常勤換算が2.5以上になるかを計算し、そのうち常勤の1名を誰にするかと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を置くかどうかも書く
- 管理者の候補が保健師または看護師であるか、専らその職務に従事する常勤か、他の職務を兼ねるなら管理上支障がないと説明できるかを確かめて書く
- 事務室を専用で確保できるか、同一敷地内に他の事業所があるなら専用の区画で足りるかを確かめ、備品の一覧を作る
- チェック表の内容を持って都道府県(または指定権者)の担当窓口に相談し、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。