運営 / 更新 2026-10-27

訪問介護の第三者評価:受審の義務の有無と、重要事項への実施状況の書き方

訪問介護の事業者が第三者評価を受けるかどうかは任意です。義務なのは、運営基準第22条第2項の自己評価です。重要事項には第三者評価の実施状況が項目として挙がっていて、受けていない事業所には『実施していない』と書くよう求める自治体の指導資料があります。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

結論:第三者評価は任意、自己評価は義務、実施状況は重要事項の項目

第三者評価を受けることは、一般の事業者には義務づけられていません。厚生労働省の指針の通知は、第三者評価事業を、社会福祉事業の事業者が任意で受ける仕組みだと書いています。

一方で、運営基準第22条第2項は、指定訪問介護事業者は自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。これは第三者に頼まず事業所が自分で行う評価で、義務です。

重要事項の掲示については、解釈通知が第三者評価の実施状況を項目の例に挙げています。受けたことがない場合の書き方は、国の通知には書かれておらず、自治体の指導資料(函館市の例)で確認できます。

自己評価・第三者評価・実施状況の記載の違い
項目義務かどうか根拠
自己評価(運営基準第22条第2項)義務(行わなければならない)指定居宅サービス等の運営基準第22条第2項
質の評価の努力義務(社会福祉法)努力義務(努めなければならない)社会福祉法第78条第1項
第三者評価の受審任意厚生労働省の第三者評価事業の指針の通知
第三者評価の実施状況の掲示・説明掲示する重要事項の項目として挙がる老企第25号の(24)掲示①

この記事で決めること

訪問介護の事業者が、第三者評価を受ける義務があるのか、受けない場合に重要事項の掲示や説明書へ何を書くのか、運営基準の自己評価とどう違うのかを知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、第三者評価の実施状況の記載整理表(重要事項説明書と掲示物の記載欄、実施の有無、直近の実施年月日、評価機関名、結果の開示状況)を作成できる状態を目指します。

自己評価の根拠:運営基準第22条第2項と社会福祉法第78条

運営基準第22条は、第1項で目標を設定して計画的に行うこと、第2項で自己評価と改善を求めています。解釈通知は、目標の達成度合いや利用者とその家族の満足度などを常に評価し、訪問介護計画の修正など改善を図るものだと説明しています。

社会福祉法第78条第1項は、社会福祉事業の経営者に、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことなどにより、良質かつ適切なサービスを提供するよう努めることを求めています。同法第2条第3項第4号は、老人居宅介護等事業を第二種社会福祉事業に挙げています。老人福祉法第5条の2第2項は、介護保険法の訪問介護を受ける人に対する事業を、この老人居宅介護等事業と定義しています。

運営基準は自己評価の方法や様式、頻度を定めていません。何を指標にどの頻度で行うかは、事業所が決めて記録に残し、指定権者の案内があればそれに合わせます。

第三者評価とは:事業者と利用者以外の機関が評価する任意の仕組み

厚生労働省の指針の通知は、第三者評価事業の目的を、個々の事業者が事業運営における問題点を把握し、質の向上に結びつけることだとしています。評価機関の認証は、都道府県の推進組織が行う仕組みです。

全国社会福祉協議会(全社協)は、第三者評価事業の全国推進組織です。全社協のページは、公正・中立な第三者機関による専門的・客観的な立場からの評価を受ける仕組みだと説明し、例として保育所、特別養護老人ホーム、障害者支援施設、社会的養護施設などを挙げています。

義務になっている例外は社会的養護関係施設で、3か年度に1回以上の受審と結果の公表が必要とされています。訪問介護は、この例外に入る施設として挙げられていません。

重要事項への書き方:実施の有無、直近の実施年月日、評価機関名、開示状況

解釈通知(老企第25号)の掲示の項は、掲示する重要事項として、運営規程の概要、勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、第三者評価の実施状況を挙げています。実施状況の内訳は、実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況です。

函館市の令和7年度の集団指導資料は、重要事項説明書の第三者評価の実施状況について、実施をしていない場合はその旨を記載しなければならないことに留意するよう求めています。これは函館市の指導内容です。ほかの自治体の扱いは、指定権者に確認してください。

掲示の位置づけや、ウェブサイトへの掲載については訪問介護の重要事項の掲示とウェブサイト掲載、説明書そのものの記載事項と交付は訪問介護の重要事項説明書で整理しています。

事業所で決めておくこと

次の整理は、この記事の見解で、資料に書かれた手順ではありません。まず自己評価を、いつ、誰が、何を見て行うかを決め、結果と改善した点を記録に残します。運営指導では、質の評価の方法や様式が条文にないため、指定権者の案内を確認します。

次に、重要事項説明書と掲示物の第三者評価の欄を、同じ内容にそろえます。受けた実績がなければ『実施していない』、受けた実績があれば、直近の実施年月日と評価機関名、結果の開示先を書きます。説明書を改める機会ごとに、この欄が現状と合っているかを点検します。

運営指導への備え全体は運営指導への備え、事業所の情報を公表する制度は介護サービス情報の公表で扱っています。

この記事で確認した範囲

確認したのは、社会福祉法と老人福祉法の条文、運営基準第22条、解釈通知の掲示の項です。ほかに、厚生労働省の第三者評価事業の指針の通知、全社協のページ、函館市の令和7年度の集団指導資料を見ました。

訪問介護に特化した第三者評価の基準、評価機関ごとの費用や手順、受審の有無が加算や指定権者の評価に影響するかどうかは、確認できた資料に書かれていないため扱っていません。自治体が独自に受審の費用を補助しているかは、所在地の都道府県や市区町村に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 運営基準第22条第2項の自己評価を、いつ・誰が・何を見て行うかを決め、結果と改善した点を記録に残す
  2. 第三者評価を受けた実績があるかを確かめ、受けていない場合は『実施していない』と記載する方針を重要事項説明書と掲示物の両方に揃える
  3. 受けた実績がある場合は、実施の有無、直近の実施年月日、評価機関の名称、評価結果の開示状況を記載欄に書き、開示先を決める
  4. 重要事項説明書の改定のたびに、第三者評価の欄が最新の状況と合っているかを点検し、更新日を記録に残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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