運営 / 更新 2026-10-11
訪問介護の不当な働きかけの禁止(基準第34条の2):ケアプランをめぐる禁止行為と記録
指定訪問介護事業者は、居宅サービス計画の作成や変更に関して、ケアマネジャーや利用者に対して不当な働きかけを行ってはならないと、指定基準の第34条の2が定めています。この記事では、条文が禁じている内容と相手方、金品の供与を禁じる第35条との違い、事業所内で整えておく対応と記録を、e-Govの条文で確認できる範囲で整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業者が居宅サービス計画の作成・変更に関してケアマネジャーや利用者へ行ってはならない不当な働きかけの条文上の範囲と、事業所内の対応・記録の整え方を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、居宅サービス計画に関する依頼・相談の対応記録(相手・日付・内容・利用者の状況に基づく根拠・事業所内の判断)を作成できる状態を目指します。
第34条の2の条文が定めていること
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の第34条の2は、「不当な働きかけの禁止」という見出しで、指定訪問介護事業者が、居宅サービス計画の作成又は変更に関し、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員または居宅要介護被保険者に対して、利用者に必要のないサービスを位置付けるよう求めることその他の不当な働きかけを行ってはならないと定めています(e-Govで確認、2026-10-11)。
条文が例として挙げているのは、利用者に必要のないサービスを居宅サービス計画に位置付けるよう求めることです。そのうえで「その他の不当な働きかけ」も禁じており、どのような行為が不当に当たるかを条文は列挙していません。条文に書かれた範囲を超えて、個々の行為が当たるかを断定せず、判断に迷うときは事業所のある指定権者へ確認します。
| 確認する点 | 条文の内容 |
|---|---|
| 禁止される行為 | 利用者に必要のないサービスを位置付けるよう求めること、その他の不当な働きかけ |
| 対象となる場面 | 居宅サービス計画の作成又は変更に関して |
| 働きかけの相手 | 指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員、または居宅要介護被保険者 |
| 禁止される側 | 指定訪問介護事業者 |
第35条(利益供与の禁止)との違い
第35条は、居宅介護支援事業者またはその従業者に対し、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与することを禁じています。第34条の2は、金品の供与の有無にかかわらず、居宅サービス計画の作成・変更に関する不当な働きかけそのものを禁じる条文です。
また、第34条の2は働きかけの相手に、ケアマネジャーだけでなく利用者本人(居宅要介護被保険者)を含めています。第35条の条文は、金品などの対償を必要とする点と、供与の相手が居宅介護支援事業者またはその従業者である点で、第34条の2と異なります。第35条の読み方は訪問介護の利益供与の禁止(基準第35条):居宅介護支援事業者への金品で確認できます。
事業所内で整えておく対応
条文は禁止の内容を定めるもので、事業所内の具体的な手順までは定めていません。そのため、次のような社内の取り決めを置くことが、禁止に反しない運用を保つうえで役立ちます。
第一に、ケアマネジャーや利用者へサービスの追加や回数の変更を提案するときは、利用者の心身の状況や生活上の課題から必要と考える理由を、先に書き出してから伝えます。売上や職員の稼働の都合を理由にした依頼になっていないか、管理者が確認する欄を設けます。
第二に、居宅サービス計画に関する依頼や相談を受けたときの窓口と記録の様式を、事業所で決めておきます。相手、日付、内容、事業所としての判断を残すことで、後から経緯を確認できます。
第三に、判断に迷う働きかけは、事業所のある指定権者へ確認し、確認した日と回答を記録します。
記録について確認しておくこと
第39条第2項が完結の日から2年間の保存を義務づけている記録は、訪問介護計画、提供した具体的なサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、苦情の内容等の記録、事故の状況及び処置の記録の6種類です。居宅サービス計画に関する依頼や相談の記録は、この6種類として列挙されていません。
このため、前の節の対応記録は、条文に基づく保存義務の対象としてではなく、事業所の管理のために残す記録として扱います。実際に適用される記録の要件や保存期間は、指定権者の条例などで個別に定められている場合があるため、事業所のある指定権者の案内で確かめます。保存期間の詳細は訪問介護の記録の保存義務と保存期間で確認できます。
利用者や家族からの苦情として受け付けた場合は、第36条第2項により、苦情の内容等を記録します。
このページが判断しないこと
個々の働きかけが不当に当たるかの最終判断、違反があった場合の行政上の対応の見通しは扱いません。事業所の運営の全体像は訪問介護の掲示・秘密保持・広告・紹介に関する運営基準で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- ケアマネジャーや利用者から居宅サービス計画の作成・変更に関する相談を受けたときの、担当者と記録の様式を決める
- サービスの追加や回数の変更を提案するときは、利用者の心身の状況や生活上の課題など、必要と考える理由を先に書き出す
- 売上や稼働の都合を理由にした依頼になっていないかを、管理者が確認する欄を設ける
- 判断に迷う働きかけは、事業所のある指定権者へ確認した日と回答を残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)