運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護と訪問看護の違い:介護保険法第8条・基準第60条・第69条と計画書の作り方
訪問介護と訪問看護は、介護保険法の定義、対象、主治の医師との関係、置く職員、計画書の作り手が別のサービスです。この記事は、訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者が、利用者に訪問看護が入っているときに自事業所で確認することを決めるための整理です。医行為か否かの個別の判断は、主治の医師や看護職員に確認する事項です。
法律上の定義:介護と看護で担い手も対象も違う
介護保険法第8条第2項は、訪問介護を、居宅要介護者の居宅で、介護福祉士その他政令で定める者が行う入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話と定義しています。
第4項は、訪問看護を、主治の医師が治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めた居宅要介護者について、居宅で看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話または必要な診療の補助と定義しています。
介護保険法の定義では、訪問看護は、主治の医師が基準に適合していると認めた人に限られます。訪問介護の定義との大きな違いです。第8条第2項の訪問介護の定義には、主治の医師の認定という条件は書かれていません。
また、指定は居宅サービスの種類ごと、事業所ごとに行われるため(第70条第1項)、訪問介護の指定を受けた事業所が、そのまま訪問看護を行えるわけではありません。
| 項目 | 訪問介護 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 法の定義 | 第8条第2項。入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話 | 第8条第4項。療養上の世話または必要な診療の補助 |
| 担い手 | 介護福祉士その他政令で定める者(訪問介護員等) | 看護師その他厚生労働省令で定める者 |
| 対象 | 居宅要介護者 | 居宅要介護者のうち、主治の医師が基準に適合していると認めた者 |
| 主治の医師との関係 | 病状の急変などの必要な場合に、速やかに主治の医師へ連絡するなどの措置をとる(基準第27条) | 提供開始に際し主治の医師の指示を文書で受ける(基準第69条第2項。病院・診療所が行う場合は第4項で診療記録への記載に代えられる) |
| 計画書 | サービス提供責任者が訪問介護計画を作成(基準第24条) | 看護師等(准看護師を除く)が訪問看護計画書と訪問看護報告書を作成(基準第70条) |
| 事業所の職員 | 訪問介護員等と、サービス提供責任者(基準第5条) | 訪問看護ステーションは看護職員を常勤換算で2.5以上、うち1名は常勤(基準第60条) |
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者・サービス提供責任者が、訪問介護と訪問看護の定義・対象・主治の医師との関係・計画書の違いを法令で見分け、利用者に訪問看護が入っているときに自事業所が確認する点を決めるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問看護が入っている利用者の連携確認票(訪問看護事業所名・担当者・主治の医師・訪問看護の目的・訪問介護の計画との役割分担・連絡を取り合った日と内容)を作成できる状態を目指します。
計画書の違い:誰が作り、誰に見せるか
訪問介護では、サービス提供責任者が、利用者の日常生活全般の状況と希望を踏まえて訪問介護計画を作ります。居宅サービス計画があるときはその内容に沿って作り、内容を利用者またはその家族に説明して同意を得ます(基準第24条)。
訪問看護では、看護師等(准看護師を除く)が、利用者の希望、主治の医師の指示、心身の状況を踏まえて訪問看護計画書を作ります。居宅サービス計画があるときはその内容に沿って作り、主要な事項を利用者またはその家族に説明して同意を得て、作成した計画書を利用者に交付します(基準第70条)。
訪問看護の事業者は、訪問看護計画書と、訪問日や提供した看護の内容を記載した訪問看護報告書を、主治の医師に提出して密接な連携を図ります(基準第69条第3項)。計画の根拠が、訪問介護は居宅サービス計画と利用者の状況、訪問看護はそれに加えて主治の医師の指示である点が異なります。
訪問介護計画の作成と変更の流れは、訪問介護計画の作成・変更サイクルと記載事項で扱っています。
訪問看護が入っている利用者で、訪問介護事業所が確認すること
この節の確認手順は条文の義務ではなく、事業所内の運用例です。どちらのサービスも居宅サービス計画に沿って提供されるため、まず担当のケアマネジャーに、訪問看護事業所の名称と担当者、訪問看護が入っている目的を確認します。目的を知ると、訪問介護で行う内容との役割分担が分かります。
訪問看護の事業者は、居宅介護支援事業者等との密接な連携に努めなければならないとされています(基準第64条第1項)。訪問介護の事業所も、利用者の変化を、ケアマネジャーを通じて、または必要に応じて訪問看護の担当者へ伝えられるよう、連絡の流れをあらかじめ決めておきます。
服薬の介助や、体温・血圧の測定、皮膚の状態の観察などで、どこまでを訪問介護員が行えるかは、医行為に当たるかどうかで変わります。この線引きは、医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件で整理しています。個別の場面で迷ったときは、主治の医師や看護職員の指示を受けます。
以下は条文の定めではなく事業所内の運用例ですが、訪問看護が入っている利用者については、確認した連絡先と役割分担を確認票に残し、居宅サービス計画や訪問看護の内容が変わったときに、訪問介護計画の見直しが必要かを確かめます。
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実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 居宅サービス計画で訪問看護が位置づけられている利用者は、担当のケアマネジャーに訪問看護事業所名と担当者の連絡先を確かめ、確認票に書く
- 訪問介護計画を作る前に、訪問看護が何を目的に入っているかをケアマネジャーや訪問看護の担当者に確かめ、訪問介護で行う内容との役割分担を確認票に残す
- 訪問介護員が利用者の体調や皮膚の状態などの変化に気づいたときの連絡の流れ(管理者、ケアマネジャー、訪問看護の担当者、主治の医師のどこへ誰が伝えるか)を決めて訪問介護員に共有する
- 連絡を取り合った日と内容を確認票に記録し、居宅サービス計画や訪問看護の内容が変わったときは訪問介護計画の見直しの要否を確かめる
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。