運営 / 更新 2026-11-05
訪問リハビリテーションの利用料等の受領(基準第78条):自己負担・医療保険との差額・交通費
訪問リハビリテーションの利用料等の受領は、指定基準の第78条にあり、4つの項で、利用者から受け取る額の決まり方、法定代理受領でない場合の差額の禁止、交通費を受け取れる場合と受け取る前の説明と同意を定めています。訪問介護の第20条と似ていますが、第2項は比べる相手が医療保険の療養の給付に相当する費用の額になります。この記事では、4つの項の中身、訪問介護との違い、厚生労働省の通知の版の注意点、運営規程と重要事項説明書の点検の進め方を、e-Gov法令検索の原文で整理します。
第78条の4つの項:自己負担、差額の禁止、交通費、説明と同意
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第78条は、訪問リハビリテーションの利用料等の受領を定めています。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。第1項から第4項までの定めは、次の表のとおりです。
条文は、利用料の金額そのものを定めていません。報酬の単位数や加算はこの記事では扱わず、この条文が定めるのは、利用者から何を、どの場合に、どんな手続きで受け取るかです。
| 項 | 定めていること | 事業所が点検するもの |
|---|---|---|
| 第1項 | 法定代理受領サービスに該当するときは、居宅介護サービス費用基準額から居宅介護サービス費の額を控除した額の支払を、利用者から受ける | 利用者負担の計算の根拠、請求書・領収の書類 |
| 第2項 | 法定代理受領サービスに該当しないときの利用料の額と居宅介護サービス費用基準額を、医療保険の療養の給付のうち訪問リハビリテーションに相当するものに要する費用の額と比べて、不合理な差額を生じさせない | 利用料の設定表、医療保険の費用との比較 |
| 第3項 | 第1項と第2項の額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で行う場合は、交通費の支払を受けることができる | 運営規程の通常の事業の実施地域と交通費の欄 |
| 第4項 | 交通費に係るサービスの提供にあたっては、あらかじめ利用者又はその家族に、サービスの内容と費用を説明し、同意を得る | 説明した日と同意の記録 |
この記事で決めること
訪問リハビリテーション事業所の管理者が、基準第78条の4つの項が定める利用料の受け取り方、医療保険の療養の給付との差額の考え方、通常の事業の実施地域外の交通費を受け取る条件を確かめ、運営規程と重要事項説明書の利用料の欄を点検するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問リハビリテーションの利用料の点検表(1枚):第78条の第1項から第4項までを行に並べ、事業所の運営規程と重要事項説明書の該当する記載、利用料の計算の根拠、利用者への説明の記録を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第1項と第2項:法定代理受領サービスの自己負担と、医療保険との差額
第1項は、法定代理受領サービスに該当する訪問リハビリテーションを提供したとき、利用者から利用料の一部として、居宅介護サービス費用基準額から、事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする、と定めています。利用者が支払う額は、この控除で決まります。
第2項は、法定代理受領サービスに該当しない訪問リハビリテーションを提供したときに利用者から受け取る利用料の額と、居宅介護サービス費用基準額の2つを、健康保険法第63条第1項又は高齢者の医療の確保に関する法律第64条第1項に規定する療養の給付のうち、訪問リハビリテーションに相当するものに要する費用の額と比べて、不合理な差額が生じないようにしなければならない、と定めています。
訪問介護の第20条第2項は、利用料の額と居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにすることを求めています。訪問リハビリテーションの第78条第2項は、比べる相手が医療保険の療養の給付に相当する費用の額で、医療保険にも同じ種類の給付があることが背景にあると考えられますが、条文は理由を書いていません。
第3項と第4項:交通費を受け取れる場合と、事前の説明と同意
第3項は、第1項と第2項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で指定訪問リハビリテーションを行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる、と定めています。受け取れるのは、利用者が選んで実施地域外で行う場合の、実際に要した交通費です。
第4項は、その費用に係るサービスの提供にあたって、あらかじめ、利用者又はその家族に、サービスの内容と費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならないと定めています。通常の事業の実施地域は、運営規程の記載事項(第82条第5号)です。交通費の扱いを運営規程と重要事項説明書にそろえて書き、説明した日と同意を得た記録を残します。
運営規程の記載事項(第82条)は訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導の運営規程の7項目で扱っています。第82条第4号が、利用料及びその他の費用の額を運営規程に定めることを求めています。
厚生労働省の通知の版に注意:訪問看護の第66条と同趣旨と書かれている
老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の訪問リハビリテーションの利用料等の受領の項は、基準第78条の規定は、指定訪問看護に係る基準第66条の規定と基本的に同趣旨であるため、訪問看護の項を参照するよう書いています。厚生労働省のサイトに掲載されている通知の版で、2026年11月5日に確認しました。
訪問看護の項は、第2項について、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない場合の利用料の額と、法定代理受領サービスである場合の費用の額、医療保険給付などの対象となる訪問看護の費用の額との間に、不合理な差異を設けてはならないこととしたものだと説明しています。
この版は、基準の条番号や用語が現行と異なる箇所を含み、最新の改正が反映されていない可能性があります。自己負担の割合や加算の取扱いなど、数字に関わる点は、通知の古い記載をそのまま使わず、現行の省令と告示、指定権者の案内で確かめてください。
点検の進め方:運営規程・重要事項説明書・利用料の設定表をそろえる
点検は、第78条の4つの項を表の行に並べ、行ごとに、運営規程と重要事項説明書の該当する記載の位置を書くところから始めます。記載がない行は、書き足す項目になります。第2項については、法定代理受領サービスでない場合の利用料の設定表を作り、利用料の額と居宅介護サービス費用基準額が、医療保険の療養の給付に相当する費用の額と比べて、不合理な差額になっていないかを確かめます。
何をもって不合理な差額とするかの基準は、条文にはありません。個別の料金設定が適切かの判断は、この記事ではできないので、指定権者の案内で確かめてください。準用される条文を含む運営基準の全体は訪問リハビリテーションの準用規定(基準第83条)で整理しています。
この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと
2026年11月5日に、e-Gov法令検索で、指定基準の第20条、第78条、第82条の原文を確認しました。あわせて、厚生労働省が掲載する老企第25号の、訪問リハビリテーションと訪問看護の利用料等の受領の項を確認しました。
不合理な差額の具体的な判断、領収証の様式、保険外の費用の扱い、自治体独自の取扱いは、この記事では確認していません。指定権者の運営指導の案内で確かめてください。運営指導で確認される書類の全体は訪問リハビリテーションの運営指導で確認される書類に、取扱方針は訪問リハビリテーションの取扱方針(基準第79条・第80条)にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第78条を開き、第1項から第4項までの定めを表の行として書き写す
- 行ごとに、運営規程(第82条第4号の利用料及びその他の費用の額)と重要事項説明書の該当する記載の位置を書き込み、記載がない行には書き足す項目を書く
- 法定代理受領サービスでない場合の利用料と、医療保険の療養の給付に相当する費用の額との間に、不合理な差額が生じていないかを、利用料の設定表で確かめて印を付ける
- 通常の事業の実施地域以外で交通費を受け取る場合の、事前の説明と同意の記録の様式を決め、指定権者の案内で細かな扱いを確かめて、見直す日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第九十六条 通所介護の利用料等の受領、第百条 通所介護の運営規程、第百三条 非常災害対策、第百五条 準用、第三十七条の二 虐待の防止)」(第八条、第三十二条、第九十六条、第九十七条、第九十八条、第百条、第百三条、第百四条の四、第百五条、第三十七条の二)(確認日 2026-10-24)