運営 / 更新 2026-11-05
訪問リハビリテーションの取扱方針(基準第79・80条):医師の指示・診療記録・会議
訪問リハビリテーションの取扱方針は、指定基準の第79条と第80条にあり、第79条は目標を設定して計画的に行うことと、事業者が自らサービスの質を評価して改善することを定めます。第80条は、サービスの提供に当たっての7つの方針で、医師の指示に基づく提供、実施状況の診療記録と医師への報告、リハビリテーション会議の開催が含まれます。この記事では、2つの条文の中身と、厚生労働省の通知が示す留意点、点検のときに残す書類を整理します。
第79条の基本取扱方針:リハビリテーションの目標を設定して計画的に行い、質を自ら評価する
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第79条は、訪問リハビリテーションの基本取扱方針です。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。第1項は、指定訪問リハビリテーションは、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、リハビリテーションの目標を設定し、計画的に行われなければならないと定めています。
第2項は、指定訪問リハビリテーション事業者が、自らその提供する指定訪問リハビリテーションの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。評価の方法や頻度、様式は条文に書かれていないので、評価をした事実と改善した内容を残す方法は、事業所で決めておく必要があります。
事業所の要件、従業者の員数、計画の作成は訪問リハビリテーションの指定基準:事業所は病院・診療所・老健・介護医療院に限るで整理しています。この記事は、その計画に基づいて提供するときの方針を扱います。
この記事で決めること
訪問リハビリテーション事業所の管理者が、基準第79条の基本取扱方針と第80条の具体的取扱方針(7つ)の中身、医師への報告と診療記録、リハビリテーション会議、老企第25号が示す留意点を確かめ、運営と点検で何を残すかを決めるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問リハビリテーションの取扱方針の点検表(1枚):第79条の2項目と第80条の7つの方針を行に並べ、方針ごとに対応する書類(医師の指示、計画書、診療記録、医師への報告、会議の記録、身体的拘束等の記録)と、最後に見直した日を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第80条の具体的取扱方針:提供する職種と、サービスの提供に当たっての7つの方針
第80条は、指定訪問リハビリテーションの提供は理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行うものとしたうえで、方針として次の7つを挙げています。第80条の柱書で、提供を担える職種が列挙されています。
7つのうち、第6号の実施状況と評価の診療記録、医師への報告と、第7号のリハビリテーション会議は、訪問介護の取扱方針にはない項目です。会議は、計画の作成のために、利用者と家族の参加を基本としつつ、医師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置付けたサービスの担当者などが集まって、情報を共有する場です。テレビ電話装置等を活用でき、利用者又は家族が参加する場合は、活用について同意を得ます。
| 号 | 方針の内容 | 事業所が用意する書類の例(条文が求めるものではない) |
|---|---|---|
| 第1号 | 医師の指示と訪問リハビリテーション計画に基づき、心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立に資するよう、妥当適切に行う | 医師の指示の記録、計画書 |
| 第2号 | 懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又は家族に、リハビリテーションの観点から療養上必要とされる事項を、理解しやすいように指導又は説明する | 指導・説明をした内容の記録 |
| 第3号 | 利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行わない | 職員への周知の記録 |
| 第4号 | 身体的拘束等を行う場合は、態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する | 身体的拘束等の記録 |
| 第5号 | 利用者の病状、心身の状況、希望と置かれている環境の的確な把握に努め、適切なサービスを提供する | 心身の状況の把握の記録 |
| 第6号 | 利用者ごとに、計画に従った実施状況とその評価について、速やかに診療記録を作成し、医師に報告する | 診療記録、医師への報告の記録 |
| 第7号 | リハビリテーション会議の開催により、専門的な見地から利用者の状況等の情報を構成員と共有するよう努め、適切なサービスを提供する | 会議の記録 |
厚生労働省の通知が示す5つの留意点:医師との連携・評価と修正・説明・技術の研鑽・実施のたびの記録
老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の訪問リハビリテーションの取扱方針の項は、次の5点を示しています。1つ目は、利用者の心身の状態と生活環境を踏まえて、妥当適切に行うとともに生活の質の確保を図るよう、主治の医師との密接な連携のもとに、計画に沿って行うこと。2つ目は、目標達成の度合いや効果等について評価を行い、計画の修正を行って改善を図る等に努めること。
3つ目は、提供に当たって、利用者の心身状態、リハビリテーションの内容やそれを提供する目的、具体的な方法、必要な環境の整備、療養上守るべき点、療養上必要な目標等を、利用者と家族に理解しやすいよう指導又は説明すること。4つ目は、医学の進歩に沿った適切な技術で対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことです。
5つ目は、訪問リハビリテーションを行った際に、速やかに、利用者の氏名、実施日時、実施した訪問リハビリテーションの要点、担当者の氏名を記録することです。実施のたびに残す記録の項目が4つ挙げられており、記録の様式を作るときの目安になります。
厚生労働省が掲載している通知の版は、「要介護者等」「看護婦」のような旧い表記を含み、最新の改正が反映されていない可能性があります。確認した範囲では上の5点ですが、現行の通知で変わっていないかは、指定権者の案内でも確かめてください。
身体的拘束等:原則禁止、例外は緊急やむを得ない場合、行うなら3つの事項を記録する
第3号は、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないと定めています。例外に当たるかどうかは、事業所が個々の場面で判断する必要があり、条文は「緊急やむを得ない」の具体例を挙げていません。
第4号は、身体的拘束等を行う場合に、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないと定めています。記録の様式は条文にありません。態様と時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由の3つの欄を持つ様式を決めておけば、運営指導で記録を見せるときにも対応しやすくなります。
訪問介護の同じ規定は訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録で整理しています。保存する6種類の記録は訪問リハビリテーションの記録の整備:6種類・診療記録・保存2年(第82条の2)、運営指導で確認される書類の全体は訪問リハビリテーションの運営指導で確認される書類:厚生労働省の確認項目と確認文書にまとめています。
この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと
2026年11月5日に、e-Gov法令検索で、指定基準の第79条と第80条の原文を確認しました。あわせて、厚生労働省が掲載する老企第25号の訪問リハビリテーションの取扱方針の項で、5つの留意点を確認しました。
リハビリテーション会議の頻度や、会議の記録を算定要件とする報酬の細目は、この記事では扱いません。会議を報酬の要件として開く場合の頻度は訪問リハビリテーションの主な加算:マネジメント加算(イ)(ロ)・短期集中の要件で確認できます。指定権者の運営指導の案内も確かめてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第79条と第80条を開き、第79条の2項目と第80条第1号から第7号までを表の行として書き写す
- 行ごとに、その方針を守っていることを示す書類の名前と保管場所を書き、診療記録の作成と医師への報告が実施のたびに行われているかを確かめる
- リハビリテーション会議の開催の記録と、身体的拘束等を行う場合の3つの事項(態様及び時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由)の記録様式があるかを確かめる
- 通知が示す留意点(実施のたびに記録する4つの内容、新しい技術の習得)を書き込み、書類のない行を洗い出して見直す日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第75条 基本方針、第76条 従業者の員数、第77条 設備及び備品等、第81条 訪問リハビリテーション計画の作成)、介護保険法第41条第1項」(基準第75条〜第77条、第81条(訪問リハビリテーション)、法第41条第1項)(確認日 2026-10-20)