運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護員の体温・血圧・パルスオキシメータ測定と記録(医政発第0726005号)
体温・血圧・パルスオキシメータの測定は、通知が挙げる器具と対象者の範囲で、原則として医行為ではないと整理されています。訪問介護員が体温や血圧を測ってよいか、パルスオキシメータ(指などに付けて血中の酸素の量を測る機器)を付けてよいかは、厚生労働省の医政局長通知(平成17年7月26日医政発第0726005号)の別紙1〜3が整理しています(医行為とは、医師の医学的判断と技術がなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為のことです)。この記事は、通知の本文(2026年10月17日確認)で、測れる器具と対象者の条件、測った数値で判断してはいけないこと、異常値の報告、記録と連絡で事業所が決めておくことを確認します(測った数値が正常かどうかの判断や、個々の利用者に測ってよいかの判定はしません)。
通知が挙げている測定の条件(別紙1〜3)
別紙の1〜3は、体温・血圧・動脈血酸素飽和度(血液中の酸素の割合)の測定を挙げています。どれも、挙げられた器具と対象者の範囲に限った書き方です。器具や対象者が違うと、通知の列挙には当たりません。
| 区分 | 行為 | 通知が挙げている器具・対象 |
|---|---|---|
| 別紙1 | 体温を測る | 水銀体温計・電子体温計で腋下(わきの下)を測る。耳式電子体温計で外耳道(耳の穴)を測る |
| 別紙2 | 血圧を測る | 自動血圧測定器で測る |
| 別紙3 | 動脈血酸素飽和度を測るため、パルスオキシメータを装着する | 新生児以外の人で、入院治療の必要がない人 |
この記事で決めること
訪問介護員が体温計・自動血圧測定器・パルスオキシメータで測ることについて、医政発第0726005号の別紙1〜3と注2が示す条件(器具の種類、対象者、数値の判断をしないこと、異常値の報告)と、測定値の記録と連絡で事業所が決めておくことを、通知の本文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、測定を行う前に決める、報告が必要な数値の範囲・報告先・記録先の一覧を作成できる状態を目指します。
測った数値で判断してはいけないことと、異常値の報告(注2)
通知の注2は、別紙1〜3の行為で測った数値をもとに、投薬の要否などの医学的な判断をすることは医行為だと書いています。通知は、測った数値から薬を使うかどうかを決めることを医行為としており、測る行為に含めていません。
同じ注2は、事前に示された数値の範囲の外にある異常値が測れたときは、医師・歯科医師・看護職員に報告するべきだと書いています。通知は「事前に示された」と書いており、報告が必要な数値の範囲は、測る前に示されている必要があります。誰が示すかは通知に書かれていないため、実務では主治医や看護職員に確認するのが無難で、数値の範囲そのものも通知にないため、この記事では示しません。
また注2は、これらの行為も、病状が不安定であるなど専門的な管理が必要な場合には医行為とされることがあり得ると書いています。事業者はサービス担当者会議(利用者のケアプランについて関係者が集まる会議)を開くときなどに、必要に応じて医師・歯科医師・看護職員へ、専門的な管理が必要な状態かどうかを確認することが考えられる、としています。
測定値の記録と連絡で事業所が決めておくこと
通知は、測定値の記録の様式や項目を定めていません。訪問介護のサービス提供の記録は、運営基準第19条が提供した具体的なサービスの内容などの記載を求めており、その内容は「訪問介護のサービスの提供の記録(基準第19条)と身分を証する書類の携行(第18条)」で確認できます。測定をサービスとして行ったときに何を書くかは、この記録の中で事業所が決めます。
事業所が決めておくと整理しやすい事項は、通知の定めと次のように対応します。ここに挙げる項目は事業所の運用の例で、通知が記録項目として定めたものではありません。
| 決めておく事項 | 通知との対応 |
|---|---|
| 測った器具、測った数値と日時を、サービスの記録のどこに書くか | 通知に様式の定めはない。基準第19条のサービス提供の記録の中で決める |
| 報告が必要な数値の範囲を、誰から、いつ、どの形で示してもらうか | 注2が「事前に示された数値の範囲」としているため、測る前に示してもらう |
| 範囲の外の数値だったとき、誰にどの手段で報告し、報告したことをどこに残すか | 注2が医師・歯科医師・看護職員への報告を求めている |
| 数値を見て投薬などを判断しない旨を、訪問介護員に伝えておく | 注2が、数値をもとにした医学的な判断を医行為としている |
急変したときの連絡と、確認が必要な場合
測定の途中や直後に利用者の具合が急に悪くなったときの連絡は、通知の注2が、医師・歯科医師・看護職員への連絡など必要な措置をすぐにとる必要がある、と書いています。訪問介護事業所の運営基準では、緊急時の主治医などへの連絡が別に義務づけられており、「訪問介護の緊急時等の対応(基準第27条):主治医への連絡と運営規程」で確認できます。
通知は、業として行う場合には実施する人に一定の研修や訓練が行われることが望ましく、事業者は安全に行われるよう監督することが求められる、とも書いています。個々の利用者に測ってよいか、どの数値で報告するかは、利用者の主治医、訪問看護などの看護職員、担当のケアマネジャー、事業所を指定した都道府県・市区町村(指定権者)に確認してください。
この通知には後から追加された追補の通知があります。この記事は通知の本文だけで書いており、追補の内容は確認していません。医行為かどうかの全体の整理は「医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件」にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者ごとに、測る器具(体温計・自動血圧測定器・パルスオキシメータ)と、通知の別紙1〜3の器具・対象の範囲に当たるかを確かめる
- 報告が必要な数値の範囲が事前に示されているかを、主治医または看護職員に確認し、日付と確認した相手を記録する
- 測った器具・数値・日時を、サービス提供の記録のどこに書くかを決め、訪問介護員に伝える
- 範囲の外の数値や急な具合の悪化があったときの報告先と手段を決め、報告した日時と相手を記録する
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問介護員は血圧や体温を測ってもよいですか?
医政発第0726005号の別紙1〜3は、水銀体温計・電子体温計での腋下の体温、耳式電子体温計での外耳道の体温、自動血圧測定器での血圧、新生児以外で入院治療の必要がない人へのパルスオキシメータの装着を、原則として医行為ではないと整理しています。病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は医行為とされることがあり得るため、個々の利用者は主治医や看護職員に確認します。
測った血圧の数値を見て、薬を飲むかどうかを訪問介護員が決めてもよいですか?
決められません。通知の注2は、別紙1〜3で測った数値をもとに投薬の要否などの医学的な判断をすることは医行為だと書いています。事前に示された数値の範囲の外の異常値が測れたときは、医師・歯科医師・看護職員に報告するものとされています。
測定値の記録の書き方は通知で決まっていますか?
通知は記録の様式や項目を定めていません。サービス提供の記録は運営基準第19条に沿って事業所が決め、報告が必要な数値の範囲は、通知が「事前に示された」としているため、測る前に主治医や看護職員に確認しておくのが無難です。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。