運営 / 更新 2026-10-13
処遇改善加算の職場環境等要件:区分ごとの取組数と公表(訪問介護・令和8年度)
介護職員等処遇改善加算を算定するには、職場環境等要件として、国が示した「処遇改善の取組」を実施する必要があります。必要な取組の数は加算の区分で違い、Ⅰ・Ⅱは区分ごとに2以上、Ⅲ・Ⅳは区分ごとに1以上です。この記事は、厚生労働省の通知(老発0313第6号、令和8年3月13日付)の職場環境等要件の部分を2026-10-13に確認し、取組の数え方、公表、令和8年度の特例を整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の開設者や経営者が、介護職員等処遇改善加算の職場環境等要件について、加算区分ごとに実施する取組の数、生産性向上の取組の数え方と免除、情報公表での公表の義務、令和8年度の特例要件による誓約の扱いを、厚生労働省の通知(老発0313第6号)で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、職場環境等要件の取組一覧表(5つの区分と生産性向上ごとの実施済み・実施予定の取組、必要な数との差、公表先、実施日と根拠書類の保管場所)を作成できる状態を目指します。
職場環境等要件とは:3要件のひとつ
処遇改善加算の要件は、キャリアパス要件、月額賃金改善要件、職場環境等要件の3つです。このうち職場環境等要件は、通知の別紙1表4に掲げる処遇改善の取組を実施することを求めています。給与の水準ではなく、働きやすさにつながる取組を実際に行っているかが問われます。
通知は、取組を「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の5つの区分と、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」に分けています。取組の項目は番号が付いており、一覧は別紙1表4で確認します。
加算区分ごとの取組数
必要な取組の数は、算定する加算の区分で決まります。令和8年6月以降の訪問介護の区分は、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳで、通知はⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロを、Ⅰ・Ⅱと同じ数え方にしています。
5つの区分は、1つにまとめて数えるのではなく、区分ごとに必要な数を満たします。例えば、入職促進の取組を4つ実施していても、腰痛を含む心身の健康管理の取組が足りなければ、要件は満たせません。
| 項目 | 処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロを含む) | 処遇改善加算Ⅲ・Ⅳ |
|---|---|---|
| 5つの区分(入職促進・資質向上・両立支援・腰痛を含む心身の健康管理・やりがい) | 区分ごとに2以上の取組 | 区分ごとに1以上の取組 |
| 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組 | 3以上(うち⑰又は⑱は必須) | 2以上 |
| 取組の公表 | ホームページへの掲載等により公表する | 通知の職場環境等要件に公表の定めは書かれていない |
生産性向上の取組の数え方と、満たしたものとして扱う場合
生産性向上の取組は、表の「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」に並ぶ項目から選びます。Ⅰ・Ⅱでは3以上で、そのうち⑰か⑱のどちらかは必ず実施します。Ⅲ・Ⅳでは2以上で、⑰・⑱の指定はありません。
通知は、生産性向上推進体制加算を算定している場合は、生産性向上の取組の要件を満たしたものとするとしています。また、1つの法人が1つの施設または事業所だけを運営する小規模な事業者は、㉔の取組を実施していれば、この要件を満たしたものとします。開業直後の1事業所の法人は、後者に当たるかを確認します。
公表:情報公表制度の「事業所の特色」欄に書く
Ⅰ・Ⅱを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組を、ホームページへの掲載等で公表します。通知は、介護サービスの情報公表制度を使って、処遇改善加算の算定状況を報告し、要件を満たすために実施した取組項目と、その具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に書くことを求めています。
情報公表制度の報告の対象になっていない場合などは、事業者のホームページを使うなど、外から見える形で公表します。公表する取組項目は、実際に実施したものと一致させます。実施した日や内容を示す書類は、実績報告書の根拠資料として残します(実績報告は訪問介護の介護職員等処遇改善加算の区分・算定要件・計画書と実績報告を参照)。
令和8年度の特例:取組を行うことを誓約すれば、申請時点から満たすものとして扱う
令和8年度は、申請時点で令和8年度特例要件を満たす事業所に限り、処遇改善計画書で令和9年3月末までに職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約すれば、申請時点から職場環境等要件を満たしているものとして扱われます。誓約した場合は、令和9年3月末までに取組を行い、実績報告書でその旨を報告します。
特例要件は、生産性向上や協働化に係る取組のいずれかです。(ア)ケアプランデータ連携システムを利用していること(利用を誓約して加入する場合も、申請時点から満たすものとして扱われます)、(イ)生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡを算定していること、(ウ)所属する法人が社会福祉連携推進法人に所属していることの3つが挙げられています。
通知は、(ア)を別紙1表1-2と表1-3の事業所、(イ)を表1-3と表1-4の事業所に限っています。訪問介護の加算率は表1-2に載っているため、訪問介護が使える特例は(ア)か(ウ)です。(ア)の加入の手順は訪問介護のケアプランデータ連携システムで扱います。
確認した範囲と、事業所が準備すること
このページが確認したのは、令和8年3月13日付の通知の職場環境等要件と令和8年度特例要件の定めです。別紙1表4の取組項目の内容は、このページでは一覧にしていません。実際に選ぶ取組は、通知の別紙と、都道府県への処遇改善計画書の様式で確認してください。
準備としては、まず、算定を目指す加算区分を決めます。次に、5つの区分と生産性向上のそれぞれについて、既に実施している取組と、これから実施する取組を洗い出し、必要な数に足りるかを確認します。提出と報告の時期は訪問介護の開業後の義務カレンダーにあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 算定を目指す処遇改善加算の区分(Ⅰ・ⅡかⅢ・Ⅳか)を決め、通知の別紙1表4を開いて、入職促進・資質向上・両立支援・腰痛を含む心身の健康管理・やりがいの5つの区分と、生産性向上の取組の項目を一覧表に写す
- 既に実施している取組と、これから実施する取組を、区分ごとに印を付ける。Ⅰ・Ⅱなら5つの区分それぞれ2以上、生産性向上は3以上(⑰か⑱を含む)、Ⅲ・Ⅳなら区分ごとに1以上、生産性向上は2以上あるかを数え、足りない区分を洗い出す
- Ⅰ・Ⅱを算定する場合は、実施した取組項目と具体的な内容を、介護サービスの情報公表制度の「事業所の特色」欄か、事業者のホームページに載せる日を決める。載せる内容は、一覧表の実施済みの取組と一致させる
- 令和8年度に誓約を使うときは、申請時点で特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用か、社会福祉連携推進法人への所属)を満たすかを確認し、令和9年3月末までに取組を行う予定を月次の予定表に入れる。実施した日と根拠書類は、実績報告書に備えて保管する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局長「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(老発0313第6号)」(確認日 2026-09-25)