運営 / 更新 2026-10-17

訪問介護の見守り的援助(老計10号1-6):身体介護になる範囲と記録の書き方

訪問介護の見守り的援助は、老計第10号の身体介護の1-6にある「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」のことです。利用者と一緒に家事をしたり、声かけをしながら必要なときだけ介助したりする援助が、身体介護として扱われる場合があります。この記事は、通知の例示と平成30年4月の改正、記録と訪問介護計画の書き方を、通知の本文で確認した範囲で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

見守り的援助の定義:安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り

老計第10号の改正後の1-6は、項目名を「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」とし、「自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等」と説明しています。ADLは食事や排泄などの日常の動作、IADLは調理や買い物など生活を営むための動作、QOLは生活の質のことです。

この項目は、平成30年3月30日の通知(老振発0330第2号)で見直され、平成30年4月1日から適用されています。改正前の項目名は「自立生活支援のための見守り的援助」で、説明にもIADLとQOLは入っていませんでした。通知は、この見直しを身体介護として行われる見守り的援助の明確化と説明しています。

どの行為が身体介護や生活援助に当たるかの全体像は老計10号とは?訪問介護でできること・できないこと一覧(身体介護・生活援助の区分)にあります。この記事は、その中の1-6だけを取り出して、算定と記録の実務に絞ります。

この記事で決めること

訪問介護の管理者やサービス提供責任者が、利用者と一緒に行う家事や声かけ中心の援助が、身体介護の見守り的援助(老計10号1-6)として扱える範囲を、通知の例示とケアプランへの位置付けから確認し、記録と訪問介護計画への書き方を決めるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、見守り的援助の確認シート(利用者ごとに、一緒に行う動作・声かけの内容・ケアプランへの位置付け・記録に残す項目を書き出したもの)を作成できる状態を目指します。

通知が挙げる見守り的援助の例示(排泄・食事・服薬・移動・家事)

排泄の例示は、平成30年の改正で新しく加わりました。ポータブルトイレ等へ利用者が移乗するときに転倒を防ぐために付き添い、必要に応じて介助すること、認知症等の高齢者のリハビリパンツやパッドの交換を見守りと声かけで支援することです。認知症等の高齢者に対して、声かけと誘導で食事と水分の摂取を支援することや、服薬のときに直接の介助はせず、側で見守って服薬を促すことも例示です。

家事では、利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う掃除・整理整頓、ベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換、衣類の整理・被服の補修が新しく例示されました。調理は従来の例示が「手助け」から「手助けや声かけ及び見守り」に改まり、配膳と後片付けが加わりました。ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別して、ゴミ出しのルールを理解してもらう、思い出してもらう援助も入っています。

従来から残っている例示は、入浴や更衣の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防の声かけ、気分の確認を含む)、移動時に転倒しないように側について歩くこと、ベッドの出入りなど自立を促すための声かけ、認知症の高齢者と一緒に行う冷蔵庫の整理、洗濯物を一緒に干したりたたんだりすること、車いす等での移動介助で店に行き、本人が自分で品物を選べるよう援助することです(文言は改正で「車イス等」に変わっています)。

老計第10号 1-6の例示を場面別に並べたもの(平成30年4月1日適用の改正後)
場面通知の例示(要旨)
排泄ポータブルトイレ等への移乗時の付き添いと必要時の介助/リハビリパンツ・パッド交換の見守りと声かけ
食事・服薬認知症等の高齢者への声かけと誘導による食事・水分摂取の支援/直接の介助をせず側で見守り服薬を促す
入浴・更衣・移動入浴、更衣等の見守り/転倒しないよう側について歩く/ベッドの出入りの声かけ
掃除・洗濯・衣類利用者と一緒に行う掃除、整理整頓、洗濯物を干す・たたむ、衣類の整理・被服の補修、シーツ・布団カバーの交換
調理・買い物・ゴミ出し利用者と一緒に行う調理、配膳、後片付け/車いすで店に行き本人が品物を選べるよう援助/ゴミの分別を一緒に行う
上記のほか安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもので、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの

身体介護になる条件:ともに行うこと、常時介助できる状態、ケアプランへの位置付け

通知の1-6の例示は、どれも利用者が自分で動作を行い、訪問介護員が声かけ、見守り、必要なときの介助でそれを支える形です。たとえばベッドメイクは、生活援助の2-3が「利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等」です。同じシーツ交換でも、訪問介護員が利用者不在で行えば生活援助、利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う形なら1-6の身体介護の例示に当たります。

例示の最後にある包括的な項目は、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うものであって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から自立支援・重度化防止に資するものとして、ケアプランに位置付けられたものを挙げています。この項目は、この3点を満たすものを挙げています。例示にない行為の算定の可否は、指定権者・保険者に確認してください。

留意事項通知(老企第36号、平成27年度改正版)は、身体介護の定義の中で、利用者の日常生活動作能力などの向上のために利用者の日常生活動作を見守りながら行う手助けや介助に合わせて行う専門的な相談助言を挙げています。見守りながら行う手助けが、身体介護の考え方に入っているということです。

通知は、個々のサービス行為の一連の流れはあくまで例示で、実際には利用者個々人の身体状況や生活実態に即した取扱いが求められると述べています。実際の算定は、この例示と、居宅サービス計画、訪問介護計画、当日のサービスの実態を合わせて判断します。個別の事案は、保険者(市町村)や指定権者に確認してください。

算定の考え方:身体介護の程度で組み合わせる、準備や記録だけでは単独にならない

留意事項通知は、1回の訪問介護で身体介護と生活援助が混在するときは、全体でいずれかの型の単位数を算定するのではなく、身体介護に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に、身体介護と生活援助を組み合わせて算定するとしています。その際、居宅サービス計画や訪問介護計画の作成時に、適切なアセスメントであらかじめ具体的なサービス内容を身体介護と生活援助に区分し、それぞれの標準的な時間に基づいて組み合わせて算定するとしています。

老計第10号の改正通知は、サービス準備・記録は、身体介護や生活援助を提供するときの事前準備等として行う行為であり、費用の算定では、この行為だけをもって身体介護や生活援助の単独の行為として扱わないよう留意することを求めています。見守りの前後の準備や記録の時間だけを取り出して、身体介護として算定することはできません。

実際の単位数、時間区分、加算の取扱いは、報酬の告示と留意事項通知の現行の本文で確認が必要です。この記事で確認した留意事項通知は平成27年度改正版で、現行の連結済み全文は取得できていません。報酬の個別の取扱いは、指定権者または保険者への確認を前提にしてください。

記録の書き方:サービスの提供の記録と訪問介護計画に残す項目

運営基準の第19条は、提供日と内容などを居宅サービス計画の書面などに記載し、提供した具体的なサービスの内容等を記録することを求めています。見守り的援助も、この記録の対象です。

記録に残す項目は、通知の定義に沿って考えると、利用者が自分で行った動作、訪問介護員が声かけや見守りをした内容、介助を行った場面と範囲、転倒の防止などで気を付けた点です。「見守り」とだけ書くのではなく、何を一緒に行い、どこまで利用者が自分で行えたかを書くと、身体介護として位置付けた根拠が後から読み取れます。具体的な書式は事業所ごとに決めるもので、この記事で確認した通知と基準には書式の定めがありません。

訪問介護計画は、運営基準の第24条で、サービス提供責任者が、利用者の日常生活全般の状況と希望を踏まえ、目標と具体的なサービスの内容等を記載して作成し、居宅サービス計画があるときはその内容に沿わせ、利用者または家族に説明して同意を得て交付します。見守り的援助は、一緒に行う動作と声かけ・見守りの内容を、計画の具体的なサービスの内容に書きます。計画の作成の流れは訪問介護計画の作成・変更サイクルと記載事項にあります。

留意事項通知は、生活機能向上連携加算の訪問介護計画の内容の例として、ポータブルトイレを1日1回以上利用する目標に対し、1か月目はベッド上で体を起こす介助と見守りや付き添い、2か月目は移動の介助と排泄の介助、3か月目は移動時に転倒を防ぐための付き添いと必要に応じた介助を行う、という段階的な内容を挙げています。見守り的援助を、期間ごとに利用者ができることを増やす計画の一部として書く参考になります。

次に読む記事:記録の運営基準と範囲外の依頼への対応

提供の記録の基準と記録の置き場所は訪問介護のサービスの提供の記録(基準第19条)と身分を証する書類の携行(第18条)で整理しています。身体介護と生活援助の区分の全体、範囲外の依頼を受けたときの順番は、老計10号とは?訪問介護でできること・できないこと一覧(身体介護・生活援助の区分)にあります。

この記事は、通知の例示と運営基準の条文を整理したもので、個別の行為が保険給付の対象になるかを確定するものではありません。通知は改正されることがあるため、実際の取扱いは、厚生労働省の最新の通知と、事業所の指定権者・保険者の案内で確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 利用者と一緒に行いたい動作(移乗、排泄の後始末、服薬、掃除、調理、洗濯物など)を書き出し、訪問介護員が代わりに行う行為と、利用者が自分で行う動作を分けて記録する
  2. 居宅サービス計画(ケアプラン)に、利用者と訪問介護員が一緒に行うことが自立支援・重度化防止につながる旨が位置付けられているかを、担当の介護支援専門員に確認する
  3. 訪問介護計画に、目標、一緒に行う動作、声かけと見守りの内容、介助が必要になる場面を書き、利用者または家族に説明して同意を得る
  4. 訪問のたびに、利用者が自分で行えた動作、介助した場面、声かけの内容、転倒の予防で気を付けた点を提供記録に書き、計画の見直しの材料にする

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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