運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護の源泉所得税の納期の特例:常時10人未満の数え方、申請、10人以上の届出
訪問介護事業所が職員の給与から預かる源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日が納付期限です。給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例を使って、1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日にまとめて納められます。この記事では、常時10人未満の数え方、申請の方法、10人以上になったときの届出を国税庁の案内で整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者や経理担当者が、源泉所得税の納期の特例を使えるかを判断するために、国税庁の案内で、常時10人未満の判定(平常の状態で数える、臨時に増えた人数の扱い)、申請書の提出先と適用が始まる月、10人以上になったときの届出書と納付期限の切り替わりを確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、源泉所得税の納付方法の確認表(毎月の給与の支払を受ける者の人数、平常の状態の人数、納期の特例の適用の有無、申請書の提出日と適用が始まる月、納付期限の7月10日・翌年1月20日、10人以上になったときの届出日)を作成できる状態を目指します。
納期の特例で、納付が年2回になる
国税庁のタックスアンサー No.2505によると、源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めます。納期の特例を受けると、1月から6月までに預かった分は7月10日、7月から12月までに預かった分は翌年1月20日が納付期限です。
特例の対象は、給与や退職金から源泉徴収した税額と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収した税額に限られます。納付期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たるときは、休日明けの日が期限です。
| 預かった時期 | 特例を使わない場合 | 特例を使う場合 |
|---|---|---|
| 1月から6月に預かった分 | 支払った月の翌月10日 | 7月10日 |
| 7月から12月に預かった分 | 支払った月の翌月10日 | 翌年1月20日 |
「常時10人未満」は、平常の状態で数える
納期の特例は、給与等の支払を受ける者が常時10人未満の源泉徴収義務者に限られています(所得税法第216条)。国税庁の質疑応答事例では、この「常時10人未満」を、給与の支払を受ける者の数が平常の状態において10人未満かどうかで判定するとしています(所得税基本通達216-1)。
同じ事例によると、労働者を日々雇い入れることを常態としない事業者が、繁忙期に臨時に使った人数を含めると10人以上になる場合でも、常時10人未満とされ、特例を使えます。反対に、日々雇い入れることを常態とする場合は、常雇の人数が10人未満でも、日々雇い入れる人を含めて10人未満でなければ、特例を使えません。
訪問介護事業所で、登録ヘルパーや短時間のパートなどを何人として数えるかは、勤務の実態で変わり得ます。この記事の国税庁の事例は建設業を例にした一般的な回答なので、自社の人数の数え方は、事業所の所在地を所轄する税務署か税理士に確認してください。
申請書を出すと、翌月に預かる分から特例が始まる
特例を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、給与を支払う事務所の所在地を所轄する税務署長に提出します。提出時期は特に定められていません。e-Taxソフトか、書面の持参または送付で出します。
税務署長から却下の通知がなければ、申請書を出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、提出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります。たとえば2月中に出すと、2月に支給した給与の分は3月10日、3月から6月に支給した給与の分は7月10日が納付期限です。
新しく訪問介護事業所を開いた年は、届出をまとめて出す場面と重なります。法人設立後の届出の一覧は「訪問介護の法人設立後に出す労働保険・社会保険・税務署への届出の期限と提出先」で確認できます。
10人以上になったら届出書を出し、毎月の納付に戻る
採用が進んで給与の支給人員が常時10人以上になり、特例の要件に当てはまらなくなったときは、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出します。この届出書を出すと、出した日が属する納期の特例の期間から、承認の効力が失われます。
たとえば届出書を3月中に出した場合、1月から2月に支給した分は4月10日、3月に支給した分も4月10日が納付期限です。4月以後に支給した分は、毎月、翌月10日になります。1月から2月の分は納期特例分の徴収高計算書を使い、3月分以降は毎月納付用の徴収高計算書を使います。
人数が10人に近づいてきたら、届出を忘れず、毎月の納付に戻す時期を日程表に書いておきます。人数が増える時期の計画は「訪問介護の人員計画と採用シナリオ」で試算できます。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、国税庁のタックスアンサー No.2505(令和8年4月1日現在法令等)、質疑応答事例「給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるかどうかの判定」、手続の案内「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」です(2026-10-15に確認)。
個別の事業所が特例を使えるか、登録ヘルパーや役員を人数に数えるかは、このページでは判断しません。年度更新や算定基礎届など、毎年の手続き全体の期限は「訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)」で確認できます。
次に知りたいこと
年間を通じて、どの月にどの労務・税務の手続きがあるかは、訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限で一覧できます。
住民税の天引きと納期の特例は、訪問介護事業所の住民税の特別徴収で別に扱っています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 給与の支払を受ける人を月ごとに数えて記録し、常雇の人数と、繁忙期に臨時で増えた人数や日々雇い入れる人数を分けて、平常の状態の人数を出す
- 平常の状態で10人未満なら、給与を支払う事務所の所在地の税務署に、納期の特例の承認に関する申請書を提出し、提出日と適用が始まる月を控えに残す
- 適用を受けたら、1月から6月に預かった源泉所得税を7月10日、7月から12月に預かった分を翌年1月20日までに納めるよう、日程表に書いて預かった額を毎月記録する
- 採用で人数が10人に近づいたら、10人以上になる前に税務署か税理士に人数の数え方を確認し、10人以上になったときは要件に該当しなくなったことの届出書を出して、毎月の納付に戻す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例(国税庁タックスアンサー)」(確認日 2026-10-15)
- 国税庁「給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるかどうかの判定(国税庁質疑応答事例・源泉所得税)」(確認日 2026-10-15)
- 国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請(国税庁・手続の案内)」(確認日 2026-10-15)