運営 / 更新 2026-10-13
訪問介護の勤務間インターバル制度:努力義務の内容と、導入コース助成金の条件(令和8年度)
夜間や早朝の訪問がある訪問介護事業所では、遅い時刻に終業した職員が翌朝早く始業することがあります。勤務間インターバル制度は、終業から次の始業までに一定時間以上の休息時間を設ける仕組みです。このページは、導入が義務なのかを法律の条文で確認し、導入コースの助成金を受ける事業主の条件、助成額、申請期限を令和8年度の公式資料で整理します。
この記事で決めること
夜間・早朝の勤務がある訪問介護事業所の経営者が、勤務間インターバル制度が義務かどうかと、導入コースの助成金を受けるための事業主の条件、助成上限額、申請期限を、令和8年度の公式資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、勤務間インターバルの検討票(夜間・早朝を含む勤務の終業・始業時刻の実績、導入する場合の休息時間案、助成金の事業主条件の照合結果)を作成できる状態を目指します。
勤務間インターバル制度は義務か(条文は努力義務)
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第2条は、事業主は、労働者の健康と福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定などの措置を講ずるように努めなければならないと定めています。守らないと罰則があるという書き方ではなく、努めることを求める努力義務です。
厚生労働省の助成金のページも、勤務間インターバルを、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けて、健康の保持や過重労働の防止を図るものと説明しています。制度の導入は2019年4月から努力義務化されたとしています。何時間の休息時間にするかは、この条文には書かれていません。
訪問介護で終業から始業までの時間を点検する場面
条文は、休息時間の長さを定めていません。そのため、事業所は自分の勤務表で、終業から次の始業までの時間が短い日がないかを点検します。訪問介護では、夜間の訪問の後に早朝の訪問が続く勤務や、オンコールの呼出しの対応が深夜に及んだ翌朝の勤務が、点検の対象になります。
点検のやり方は、直近の勤務表から終業時刻と次の始業時刻を書き出し、その間の時間を求めることです。短い日が続く職員がいれば、シフトの組み方を見直す材料になります。休息時間を何時間にするか、導入するかどうかは、事業所が自分で決めます。
導入コースの助成金を受けるための事業主の条件
厚生労働省の働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)は、令和8年4月13日から令和8年度の申請受付を開始しています。申請先は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で、電子申請のJグランツも使えます。
ご案内(2026.4)が挙げる事業主の条件は、労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業であること、36協定を締結していて原則として過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること、年5日の年次有給休暇の取得に向けた管理簿や就業規則等を整備していること、導入状況に関する条件に当たることです。時間外労働が少ない事業所は、この条件に当たらない場合があるため、労働局に確認します。
| 条件 | 資料の書き方 |
|---|---|
| 労災保険と事業所の規模 | 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること |
| 36協定と時間外労働の実態 | 36協定を締結していて、原則として過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること |
| 年次有給休暇の整備 | 年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備していること |
| 導入状況 | 勤務間インターバルを導入していない事業場、または休息時間が9時間以上で適用が労働者の半数以下の事業場、または休息時間が9時間未満の事業場のいずれかを有すること |
助成額の上限と申請期限
新規導入の助成は、成果目標の達成状況に応じて、改善事業の経費の一部を助成するもので、上限額は、適用する労働者の割合と休息時間で決まります。労働者の半数を超える人に適用して休息時間が9時間以上11時間未満なら100万円、11時間以上なら150万円で、補助率は4分の3です。実際の助成額は、上限額と、対象経費に補助率を掛けた額のいずれか低い金額で、賃金引上げなどの加算が別に付く場合があります。
労働者の4分の1を超えて2分の1以下に適用する場合の上限額は、9時間以上11時間未満で50万円、11時間以上で75万円です。常時使用する労働者が30人以下で、労務管理用ソフトウェアなどの導入費が30万円を超える場合は、補助率が5分の4になります。助成の対象は、研修、外部専門家のコンサルティング、就業規則・労使協定の整備などの改善事業です。
交付申請の期限は令和8年11月30日です。予算額に制約があるため期限より前に予告なく受付を締め切る場合があり、事業は令和9年1月31日までに実施し、支給申請は事業実施予定期間が終了した日から30日後または令和9年2月5日のいずれか早い日までです。導入を考えるときは、早めに労働局か働き方改革推進支援センターへ相談します。
| 適用する労働者 | 休息時間9時間以上11時間未満 | 休息時間11時間以上 |
|---|---|---|
| 労働者の1/2超 | 100万円 | 150万円 |
| 労働者の1/4超1/2以下 | 50万円 | 75万円 |
このページの範囲と、あわせて確認するページ
このページが確認したのは、労働時間等設定改善法第2条と、厚生労働省の助成金のページおよびご案内(2026.4)です。個々の事業所が助成の対象になるか、受給できる額がいくらかは判断しません。制度は年度ごとに見直されるため、申請の前に最新の案内を確認してください。
夜間や早朝の訪問に対する報酬は夜間・早朝・深夜加算で、オンコールの賃金は夜間・休日のオンコールの労働時間性で、研修に使う助成金は人材開発支援助成金で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 直近の勤務表から、夜間や遅い時間に終業した職員が翌日に早朝や午前の早い時刻に始業している例を拾い、終業から次の始業までの時間を書き出す。オンコールの呼出しがあった日は、実際の対応の終了時刻で数える
- 導入する場合の休息時間の案を書く。助成金の区分は休息時間が9時間以上11時間未満か11時間以上かで上限額が分かれるため、勤務表の実績と照らして、守れる時間数を決める
- 助成金の事業主条件を一つずつ照合する。労働者災害補償保険の適用、36協定の締結と過去2年間の月45時間を超える時間外労働の実態、年5日の年次有給休暇の管理簿や就業規則等の整備、勤務間インターバルの導入状況を確認する
- 申請を考える場合は、交付申請の期限(令和8年11月30日)と、予算の都合で早く締め切られる場合があることを書き留め、管轄の労働局の雇用環境・均等部(室)か働き方改革推進支援センターに、導入前に相談する日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 第2条(事業主等の責務)」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のページ」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内(2026.4)」(確認日 2026-10-13)