運営 / 更新 2026-10-14
訪問介護の加算が算定できなくなったとき:届出と返還
職員の退職などで、届け出ている加算の要件を満たさなくなることがあります。厚生労働省の留意事項通知(老企第36号)は、この場合の届出と算定の止め方を、第一の5「加算等が算定されなくなる場合の届出の取扱い」で定めています。このページは、通知の原文で、いつ届け出るのか、いつから算定をやめるのか、届出をせずに請求したらどうなるのかを整理します。
この記事で決めること
訪問介護の管理者や経営者が、職員の退職などで加算の要件を満たさなくなったときに、いつまでに何を届け出て、いつから算定をやめるのか、届出をしないで請求した場合に何が起きるのかを、留意事項通知の原文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、加算の要件の点検表(加算ごとの要件、現在の充足状況、満たさなくなった事実が発生した日、指定権者へ届け出た日、請求書の差し替え要否)を作成できる状態を目指します。
通知が定める3点:速やかな届出・発生日から停止・返還
老企第36号の第一の5は、事業所の体制について加算等が算定されなくなる状況が生じた場合、または算定されなくなることが明らかな場合は、速やかにその旨を届け出させるとしています。すでに要件を満たさなくなった場合だけでなく、満たさなくなることが明らかな場合も、届出の対象です。
届出の後の扱いについて、通知は、加算等が算定されなくなった事実が発生した日から、加算等の算定を行わないものとしています。届出を出した日や受理された日からではありません。
届出をせずに、その加算を含めて請求した場合は、不正請求となり、支払われた介護給付費は不当利得となるので返還措置を講ずることになるとされています。悪質な場合には、指定の取消しをもって対処するとも書かれています。
「事実が発生した日」が算定停止の起点になる
例えば、特定の職員の配置を要件とする加算で、その職員が月の途中で退職した場合、通知の読み方では、退職によって要件を満たさなくなった日が、算定をやめる起点です。月の末日まで算定してよい、翌月の届出受理まで算定してよい、とは通知に書かれていません。
通知は、事実が発生した日の特定の仕方や、月の途中で要件を満たさなくなった場合の日割りの計算方法までは示していません。具体的な請求の組み方は、指定権者と国民健康保険団体連合会(国保連)の請求の扱いに沿って確認します。
届出をせずに請求した場合:不当利得の返還と、利用者負担金の返還
通知は、届出を行わずに請求した分を不正請求とし、支払われた介護給付費を不当利得として返還の対象にしています。返還額の計算や、不正請求に当たるかの個別の判断は、通知には書かれていません。
返還の経路には、自己点検後に行う過誤調整と、不正請求として徴収される場合があります。両者の違いと、返還額に上乗せされる場合の条文は、訪問介護の報酬返還:不正請求の徴収金と過誤調整の違いで整理しています。過誤の申立ての手順は過誤申立と再請求で確かめられます。
通知の第一の6は、第一の4または5によって不当利得分を市町村へ返還することになった事業所に、市町村への返還と同時に、返還の対象になった介護給付費に係る利用者の負担金の過払い分を、それぞれの利用者に返還することを求めています。返還には、返還金に係る計算書を付けます。利用者等から受領書を受け取り、保存しておくこととされています。
別の場面:届出時点で要件を満たしていなかったと判明した場合
第一の4は、事後調査などで、届出の時点ですでに要件に合致していなかったことが判明した場面を定めています。所要の指導の上なお改善がみられない場合は、届出の受理が取り消され、届出はなかったことになるため、加算全体が無効になります。それまでに受け取った介護給付費は不当利得として返還の対象です。
第一の5は、いったん要件を満たして算定していた加算が、後から算定できなくなった場面です。第一の4は届出の時点から要件を満たしていなかった場面で、両者は別の扱いです。
| 場面 | 通知の定め | 根拠 |
|---|---|---|
| 算定されなくなる状況が生じた、またはなることが明らか | 速やかに、その旨を届け出る | 第一の5 |
| 算定の停止 | 算定されなくなった事実が発生した日から、加算等の算定を行わない | 第一の5 |
| 届出をせずに請求した | 不正請求となり、支払われた介護給付費は不当利得として返還。悪質な場合は指定の取消し | 第一の5 |
| 市町村へ返還することになった | 同時に、利用者負担金の過払い分を計算書を付けて返還し、受領書を保存する | 第一の6 |
| 届出時点で要件に合致していなかったと判明 | 指導しても改善がなければ届出の受理を取り消し、加算全体が無効 | 第一の4 |
加算を新たに算定するときの届出との関係
加算を算定し始めるときの届出の締切と算定開始月は、加算の届出の提出期限で整理しています。このページは、その逆の、算定をやめるときの取扱いです。
どの加算にどんな要件があるかは、加算ごとの記事で確かめられます。例えば特定事業所加算は、職員の割合や配置が要件の中心で、要件が崩れると第一の5の対象になり得ます。
このページの範囲
このページが確認したのは、老企第36号の第一の4・5・6の文面です。確認に使ったのは平成27年度改正時点の新旧対照表の文面で、令和6年と令和8年の改正別紙の新旧対照表には、この部分の改正は見当たりませんでした。老企第36号の連結済みの最新全文は取得していません。
個別の事業所が加算の要件を満たしているか、いつの時点で要件を満たさなくなったか、返還の額、届出書の様式と提出方法は扱っていません。実際に要件を満たさなくなった、またはなりそうなときは、指定権者に早めに連絡してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 届出している加算を一覧にし、加算ごとに要件(職員の人数や割合、研修、体制など)を書き出す
- 職員の退職や配置換えなどで要件を満たさなくなりそうなときは、その日付を先に特定し、指定権者に届け出る時期を相談する
- 要件を満たさなくなった事実が発生した日を記録し、その日以降のサービス提供分から当該加算を請求に含めないよう請求担当者に伝える
- すでに請求した分に当該加算が含まれているときは、指定権者に返還の手続きを確認し、利用者負担金の過払い分の返還に備える
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。