運営 / 更新 2026-10-15

訪問介護員の平均賃金の計算:直前3か月の総額÷総日数と時給制の最低保障60%

平均賃金は、解雇予告手当、休業手当、減給の制裁の上限、労災の休業補償の元になる金額です。労働基準法第12条の式で、賃金台帳から計算できます。訪問介護員は時給や訪問ごとの報酬で働く人が多く、出勤日数が少ない月は最低保障の60%が上回ることがあるため、その計算まで具体例で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者が、解雇予告手当や休業手当に使う平均賃金を、賃金台帳から計算できるように、算定期間の起点、時給制の最低保障、除く期間、算入しない賃金を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、平均賃金の計算メモ(算定事由の発生日、算定期間の起点となる賃金締切日、3か月の賃金総額・総日数・労働日数、最低保障との比較結果)を作成できる状態を目指します。

基本の式は「直前3か月の賃金総額÷総日数」

e-Govの労働基準法第12条第1項によると、平均賃金は、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です。総日数は働いた日だけでなく、休みの日も含めた暦の日数です。

第2項は、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から数えるとしています。たとえば月末締めの事業所で、10月15日に算定の事由が起きたときは、直前の締切日である9月30日から3か月さかのぼった期間(7月1日〜9月30日)で計算します。

時給・日給で働く人は、最低保障の60%と比べる

第12条第1項第1号は、賃金が労働した日や時間によって決まる場合や、出来高払いなどの場合に、賃金の総額をその期間中に労働した日数で割った金額の100分の60を下回ってはならないと定めています。出勤日が少ない月に、総日数で割ると平均賃金が低くなりすぎることを防ぐ仕組みです。

訪問介護員は、時給や訪問ごとの報酬で働く人が多く、シフトの日数が月によって変わることがあります。そのため、時給制の人は2通りの計算をして、高いほうを使います。第2号は、賃金の一部が月、週その他一定の期間で決まっている場合に、その部分の総額を総日数で割った額と、第1号の金額を合算した額を下回ってはならないとしています。

時給制の例(数字は計算の仕方を示すための仮の例です)
計算式結果
原則の式690,000円(3か月の賃金総額)÷92日(総日数)7,500円
最低保障690,000円÷50日(労働日数)×60%8,280円
採用する額高いほう8,280円

計算から除く期間と、総額に入れない賃金

第3項によると、算定の期間中に次の期間があるときは、その日数とその間の賃金を、期間と賃金の総額の両方から除きます。業務上の負傷や疾病による療養のための休業、産前産後の休業、使用者の責めに帰すべき事由による休業、育児休業・介護休業、試みの使用期間です。

労働基準法施行規則第3条は、試みの使用期間中に算定の事由が発生した場合は、その期間の日数と賃金も計算に入れるとしています。また、第12条第6項により、雇い入れて3か月に満たない人は、雇入後の期間で計算します。

第4項によると、賃金の総額には、臨時に支払われた賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)は入れません。通貨以外のもので支払われた賃金は、第5項と施行規則第2条により、法令や労働協約に定めがあるものだけが入ります。

条文が除外するのは、臨時の賃金、3か月を超える期間ごとの賃金、一定の範囲外の通貨以外のものです。毎月の給与の個別の手当を含めるかは、労働基準監督署に確認してください。

平均賃金が出てくる場面

平均賃金は、解雇予告をしないときの予告手当(第20条)、使用者の責めによる休業の手当(第26条)、減給の制裁の上限(第91条)、業務上の療養中の休業補償(第76条)などの金額の基礎になります。労災保険の給付基礎日額も、労働者災害補償保険法第8条により、平均賃金に相当する額です。

それぞれの場面の詳しい使い方は、「解雇予告手当」「利用者キャンセルと休業手当」「懲戒処分と減給の上限」「労災の休業補償給付」で確認できます。

このページの範囲と、確認する先

このページが確認したのは、e-Govの労働基準法第12条・第20条・第26条・第76条・第91条、労働基準法施行規則第2条・第3条、労働者災害補償保険法第8条です(2026-10-15に確認)。日々雇い入れられる人や、第1項から第6項で算定できない場合の特別な扱いは、第7項・第8項で厚生労働大臣の定めによるとされており、このページでは扱いません。

表の数字は計算の仕方を示す仮の例で、実際の額は事業所の賃金台帳で決まります。個別の事案で金額が適切か迷うときは、労働基準監督署か社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 平均賃金が必要になった事由(解雇予告、休業、減給、労災など)と、その事由が発生した日を確認し、賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日を起点に、さかのぼって3か月の期間を決める
  2. 賃金台帳から、その3か月に支払われた賃金の総額と暦日の総日数、実際に働いた日数を拾い、業務上のけがによる休業、産前産後休業、使用者の責めによる休業、育児・介護休業、試みの使用期間があるときは、その日数と賃金を除く
  3. 臨時に支払われた賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は総額に入れず、賃金総額を総日数で割った額と、時給や日給で働く人は賃金総額を労働日数で割った額の60%を計算して、高いほうを採用する
  4. 計算結果と使った賃金台帳の月、除いた期間、計算式を1枚に残し、解雇予告手当や休業手当のように額が大きいものは、支払う前に労働基準監督署か社会保険労務士に確認する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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