運営 / 更新 2026-10-13
訪問介護員の休憩時間:6時間超45分・8時間超1時間と、待機が休憩にならない場合
訪問介護員の勤務は、訪問と訪問の間に空き時間ができたり、事業所で待機したりと、いつからいつまでが休憩なのかが曖昧になりやすい仕事です。労働基準法第34条は、休憩の最低時間と与え方を定めています。このページは、労働基準法と厚生労働省の通達・モデル就業規則の解説で、休憩の最低時間、与え方の3つの決まり、待機や移動の合間が休憩として扱えない場合、就業規則に書く事項を整理します。
この記事で決めること
訪問介護員の勤務に休憩を設ける訪問介護事業所の経営者や管理者が、休憩の最低時間、与え方の3つの決まり、待機や移動の合間が休憩として扱えない場合、就業規則と労使協定に書く事項を、労働基準法と厚生労働省の通達・モデル就業規則で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問介護員の休憩の運用メモ(勤務の種類ごとの労働時間と休憩の時間、休憩の時間帯、待機を命じる場合の扱い、一斉に与えない場合の労使協定の有無、就業規則の該当条)を作成できる状態を目指します。
休憩の最低時間と、与え方の3つの決まり
労働基準法第34条第1項は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。条文は「超える場合」なので、労働時間がちょうど6時間なら法律上の休憩は必要になりません。ちょうど8時間なら45分で足ります。
始業の直後や終業の直前にまとめて置くのではなく、労働時間の途中に置く必要があります。
休憩には、途中に与えることのほか、2つの決まりがあります。第2項は、休憩を一斉に与えることを原則とし、過半数で組織する労働組合、それがなければ労働者の過半数を代表する者との書面による協定があれば例外にできるとしています。第3項は、休憩を自由に利用させなければならないと定めています。
第34条違反は、第119条第1号で6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
待機や移動の合間は、休憩に数えられない場合がある
厚生労働省のモデル就業規則の解説は、使用者の指示があれば即時に業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間を「手待ち時間」と呼び、労働時間に当たり休憩時間ではないとしています。休憩は、労働から離れることが保障された時間でなければなりません。
訪問介護については、平成16年8月27日付の通達(基発第0827001号)が労働時間の考え方を示しています。使用者が急な需要に対応するため事業場等での待機を命じ、自由利用が保障されていない時間は労働時間です。
利用者宅の間の移動時間は、通常の移動に要する時間程度であれば労働時間と考えられ、業務報告書の作成が業務上義務づけられていて指揮監督のもとで行われる場合も労働時間です。これらの条件に当たる時間は、休憩として勤務表に置くことはできません。
反対に、訪問と訪問の間の空き時間の全てが労働時間になるとは、通達は書いていません。通達は、移動や待機について、使用者の指揮監督の実態や自由利用の保障の有無で判断するとしています。移動に必要な時間を超える空き時間を、事業所が何も命じないで職員に任せているのか、呼び出しに備えさせているのかで扱いが分かれる可能性があるため、個別の勤務表の判断は労働基準監督署に確認してください。
一斉に与えない場合と、労使協定に書く事項
訪問介護員は利用者宅ごとに別々に動くので、全員に同じ時刻の休憩を与えることは現実的ではありません。労働基準法第34条第2項のただし書の協定を結ぶ場合は、労働基準法施行規則第15条により、一斉に休憩を与えない労働者の範囲と、その労働者に対する休憩の与え方を協定で定める必要があります。
施行規則第31条は、別表第一の運輸交通業(第4号)、商業(第8号)、金融・広告業(第9号)、映画・演劇業(第10号)、通信業(第11号)、保健衛生業(第13号)、接客娯楽業(第14号)と官公署の事業について、一斉付与の規定を適用しないとしています。自社の事業がこれらのどれに当たるかは、このページでは判断しません。当たるかどうか分からない場合は、労働基準監督署で確認するか、協定を結んで備えてください。
就業規則に書く事項と、このページの範囲
労働基準法第89条第1号は、常時10人以上の労働者を使う使用者に、始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇を就業規則に定めて、行政官庁に届け出ることを求めています。モデル就業規則の解説も、休憩時間は就業規則に必ず定めておくこととしています。勤務の種類ごとに休憩の時間と置き方を書き、待機を命じる勤務がある場合は、その時間を休憩に含めないことを自社の運用で確かめてください。
このページが確認したのは、労働基準法と同法施行規則の条文、厚生労働省のモデル就業規則の解説、訪問介護労働者についての通達です。個別の勤務で休憩が足りているか、空き時間が労働時間に当たるかは判断しません。移動や待機の時間の原価の考え方は雇用・勤怠と訪問介護の移動時間で、賃金の確認は最低賃金の確認で、割増賃金は時間外・休日・深夜の割増賃金で、就業規則と36協定は就業規則と36協定で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 勤務表の勤務の種類ごとに、1日の労働時間を書き出す。訪問の時間だけでなく、通達が労働時間になるとする通常の移動時間や、義務づけられた記録の作成時間も含めて数え、6時間を超えるか、8時間を超えるかを確かめる
- 6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩を、労働時間の途中に置く。訪問と訪問の間の時間を休憩にするときは、その時間に事業所が呼び出しや待機を命じていないか、利用者宅の間の通常の移動時間を含んでいないかを確かめる
- 事業所から待機を命じる場合(急な依頼に備える電話当番など)は、自由に使える時間が保障されていないかを確かめる。通達は、そのような待機を労働時間に当たるとしているので、休憩の時間に数えず、賃金の対象かどうかも確かめる
- 休憩を職員に一斉に与えない勤務なら、一斉に与えなくてよい事業に当たるか、当たらない場合は労使協定を結んでいるかを確かめる。常時10人以上の労働者を使う事業所は、休憩時間を就業規則に書いて労働基準監督署へ届け出ているかを確認票に控える
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(平成16年8月27日基発第0827001号)」(確認日 2026-10-13)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「労働基準法(第34条・第40条・第89条・第119条)と同法施行規則(第15条・第31条)」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「モデル就業規則(令和5年7月版)の解説 第4章 労働時間、休憩及び休日」(確認日 2026-10-13)